ワタミ過労死裁判で遺族が意見陳述 渡辺美樹参院議員は出廷せず！

（写真＝裁判後に行ったワタミ過労死裁判報告集会）

ワタミ過労死裁判第１回期日で遺族が意見陳述
ワタミ側は争う姿勢　被告の渡辺美樹参院議員は出廷せず！

大手居酒屋チェーン「和民」で2008年に正社員だった森美菜さん（当時26歳）が入社２カ月後に過労自殺した問題で、遺族がワタミと当時社長だった渡辺美樹参議院議員らを相手取って起こした裁判の第１回口頭弁論が２月17日、東京地裁で開かれ、森さんの父母である豪さんと祐子さんが意見陳述を行いました。法廷には遺族を支援する私たち全国一般東京東部労組の組合員をはじめ、友好労組、メディア関係者、一般市民ら約70人が駆けつけ、傍聴席は満席になり廊下にあふれました。他方、被告側は代理人弁護士のみで渡辺議員らは最後まで現れませんでした。

意見陳述に立った豪さんは「営業時間が勤務時間だと言い、店舗勤務の最初から連日の長時間労働・時間外労働を強制し、休憩も休日も十分に与えず、勤務時間外に強制的に購入させた渡辺氏の著書や課題図書のレポート提出、理念集の暗記テストなどを強制し、研修会やボランティア活動も、任意でなく強制しました」とワタミでの過重労働を指摘したうえで、「娘が突然放り込まれた労働環境は、娘の人権、生活権を奪うほどの過酷なもので、このような労働環境をつくり、運営した渡辺美樹氏らの経営陣とワタミという会社が、娘を死に至らしめました。被告らには、娘を死に至らしめた責任があり、その賠償を求めます」と訴えました。

続いて意見陳述した祐子さんは「娘をだまして就職させて、肉体的にも精神的にも追い詰めて、死に追いやったワタミを許すことはできません。それでも、ワタミが新入社員をたった２カ月と12日で死なせてしまったことに、正面から向き合い、その原因を自ら見つけ、私たち遺族とも話し合い、２度と同じ過ちを繰り返さない方法を探り、努力し続けるというのであれば、提訴することはありませんでした」と提訴に至るまでのワタミ側の不誠実さを告発し、「ワタミ側から損害賠償額確定のための民事調停を申し立ててきましたが、安全配慮義務違反はない、当方に責任はない、が、金は払っても良いという内容でした。そんな考え方では、これから先もまた同じ事を繰り返すでしょう」と述べました。

被告側は、裁判所に提出した答弁書によると、「原告らの請求を棄却する」と記し、過労死の責任を全面的に否定し争う構えです。

裁判後、遺族と弁護団、支援者らは弁護士会館に移動し、報告集会を開きました。冒頭、参加者全員で森さんに哀悼の意を表するために黙とうを行いました。東部労組の須田書記長は「渡辺議員は２月４日の自民党の会合で過労死について『一生の悔いであり、一生かけて償っていきたい』と発言したと報道されているが、その発言が真実であればなぜ法廷に来ないのか。口先での謝罪ではなく、遺族の声に向き合うべきだ」と話しました。

報告集会で森さんの遺影を前に、豪さんは「今回の裁判を通して同じような立場で困っている人たちの力になりたい」と声を詰まらせながら発言しました。祐子さんは「ワタミはトップの綺麗事ばかりで実態が外に出ない。娘のようにだまされる人が出ないように訴えていきたい」と今後の裁判にかける決意を語りました。弁護団を代表して玉木弁護士が、ワタミの答弁書を分析し「ワタミが責任を認めない態度に変化はない」と批判しました。その後、東部労組の菅野委員長、コミュニティ・ユニオン全国ネットワークの岡本事務局長、首都圏青年ユニオンの武田委員長、ブラック企業対策プロジェクトの佐藤さん(ポッセ）から連帯の発言を受けました。

次回のワタミ過労死裁判第２回期日は３月27日（木）13時30分から東京地裁705号法廷で開かれます。引き続きの傍聴支援をお願いします！