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添乗員「みなし労働時間」裁判 東京高等裁判所の判決文報告その3

2011年10月07日 09時00分00秒 | 添乗員・旅行業界

 

添乗員「みなし労働時間」裁判
 東京高等裁判所の判決文報告その3

判決文全文はこちら(PDF)
http://www.toburoso.org/9.14hanketu.pdf

9月14日東京高等裁判所判決(阪急トラベルサポート残業代請求事件)

判決文(要旨)報告その3
東京高等裁判所の判断

阪急交通社の責任②
パンフレット・指示書・添乗日報等について

パンフレット・最終日程表について
「パンフレット及び最終日程表におけるツアーの行程の記載のうち、旅行開始日及び旅行終了日、観光地又は観光施設(レストランを含む。)その他の旅行目的地、運送機関、宿泊機関等は、主催会社(阪急交通社)と参加者との間の契約に基づく旅程保証の対象となり、その変更は、原則として変更補償金の支払義務を発生させるものであるから(乙9。旅行業約款(募集型企画旅行契約の部)29条)、添乗員はそのような変更が生じないように旅程管理をすることが義務付けられている。

「また、添乗員は、旅程保証に反しない限りでは行程の入替、滞在時間の調整等を必要な範囲で行うことはできるが、それは天候、ツアーの目的、参加者の要望や状況、目的地あるいは目的場所の状況等によるやむを得ない事由あるいは合理的な理由がある場合に限られており、そのような事由や理由もないのに、これを変更することは許されてはいないものと認められる。」

指示書について
指示書は、行程の記載も含めて全体として阪急交通社の添乗員に対する業務指示を記載した文書であることは明らかである」「業務指示として重要な役割を果たすものということができる

「<指示書は、参加者に渡される最終日程表をより詳細なものとしたもので、各ツアーの出発から帰着までの行程が、食事の時間も含めて行程ごとに目安となる到着時刻、出発時刻、滞在の時間・・・と共に記載され、さらに、買物店などの立寄り場所、昼食場所・昼食内容、その他の注意事項の記載がされていることが認められ、>」

「<指示書は、行程の記載も含めて全体として阪急交通社の添乗員に対する業務指示を記載した文書であることは明らかである。>」

業務日報(添乗報告書)について
実際に行われたツアーの出発から帰着までの駅、空港、港、観光場所や施設、ホテルあるいは旅館等の各行程への着時間や発時間、夕食が会食か自由食かに関する詳細な記載がされている。」

控訴人は、添乗日報の記載の信用性には問題があると主張するが、添乗日報は、指示書によって予め阪急交通社から指示された行程の管理の状況について作成されるものであり、各ツアーの出発時刻は、いずれの移動手段を利用する場合でも容易に客観的に把握できるものである。」

しかも、添乗員は一人で行動しているわけではなく、そのほとんどの時間を参加者と行動を共にし、その行程ではバス、列車、飛行機や船などの乗務員、阪急交通社と契約関係にあるレストランや土産物店などの店員、ホテルあるいは旅館のフロントの係員とその都度接触しながら移動している。」

したがって、添乗員の行程管理については多くの現認者が存在しており、添乗日報の到着時刻や出発時刻について虚偽の記載をすればそれが発覚するリスクは大きく、その点も添乗日報の記載の信用性を高める状況の一つということができる。」

社会通念上、添乗業務は指示書による阪急交通社の指揮監督の下で行われるもので、控訴人は、阪急交通社の指示による行程を記録した添乗日報の記載を補充的に利用して、添乗員の労働時間を算定することが可能であると認められ、添乗業務は、その労働時間を算定し難い業務には当たらないと解するのが相当である。」

*********************************************************

東京高裁は、判決文において、会社の添乗員の労働時間の把握は、パンフレット・指示書・添乗日報等で可能であり、しかも、
添乗員は一人で行動しているわけではなく、そのほとんどの時間を参加者と行動を共にし、その行程ではバス、列車、飛行機や船などの乗務員、阪急交通社と契約関係にあるレストランや土産物店などの店員、ホテルあるいは旅館のフロントの係員とその都度接触しながら移動している。」「したがって、添乗員の行程管理については多くの現認者が存在しており、添乗日報の到着時刻や出発時刻について虚偽の記載をすればそれが発覚するリスクは大きく、その点も添乗日報の記載の信用性を高める状況の一つということができる。」と述べ、その上で「添乗業務は指示書による阪急交通社の指揮監督の下で行われるもので、控訴人は、阪急交通社の指示による行程を記録した添乗日報の記載を補充的に利用して、添乗員の労働時間を算定することが可能であると認められ、添乗業務は、その労働時間を算定し難い業務には当たらないと解するのが相当である」と全く正しい判決をだしているのです。

派遣添乗員を
過酷な超長時間労働から解放させよう!
「偽装みなし労働」は違法ですから、
添乗員には絶対に残業代を支払うべきです。

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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2011-10-07 23:35:30
ちゃんと残業代の支払いしてくれたら、もう、苦しいなか、月に何度もツアーに出なくても、やっていけるかも・・・実際、本当はそのくらいの時間、働いているはずだし。
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「旅程管理」と「旅程安全管理」 (o.m(フランス現地旅行係員))
2011-10-09 17:01:04
添乗員の主な業務は「旅程管理」だと思います。主催会社には「安全管理」の義務もありますが現在多く催行されている添乗員単独引率ツアーは、添乗員に「旅程管理」以外にも「ガイディング」「安全管理」も行わせている為、長時間の荷重労働が発生するのだと思います。ストライキ 天候 交通渋滞 お客様の傷病 盗難(特にパリ中心部ではスリ、置き引き、中心部以外は更に傷害を伴う盗難事故も多い)何らかの不測の事態は旅には付きものです。不測の事態に備えて配置されるのが現地係員だと思います。現地係員 ガイドが付いていても、「レストラン ホテル到着時間等の予約時間変更無全く無しで行程が進む事は稀である」と、いうのが現場に働く旅行係り員全体の実感ではないかと思います。
「旅程の安全管理」「ガイド(ツアーの質)」に関する人件費を削除して、全ての主催会社の責任義務を添乗員に押し付けているのですから、超勤手当ての支払いだけでは済まされない問題だと思います。

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