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添乗員残酷物語 添乗員日記②

2006年09月11日 12時01分05秒 | 添乗員・旅行業界
添乗員日記② 
<素敵な公園と豪華?クルーズ日帰りツアー>

○月×日
  出発朝5時、帰着夜11時45分。

太陽がさんさんと照りつく沼津への日帰りバスツアー。
出発地は千葉県の茂原。典型的な東京のベットタウンである。仕事場から翌朝5時にお客様を待つ茂原のビジネスホテルに直接向かう。茂原駅前には大型スーパーがあり、寂しい夕食を買うのに申し分ない。寝る前には欠かさずお酒を飲む。明日の緊張で眠れない事が多いからだ。

私たちバスツアー会社の添乗員のほとんどは正社員ではなく派遣社員であるが、そんなことは決してお客様にわかってはいけない。
バスは茂原、大網と順調に進みお客さまを乗せて行くが、最後の東金で2人来ない…。会社に連絡し、お客様にも電話をする。しかし、両方とも良い結果はでない。添乗員にできることは他のお客様のプレッシャーに絶えつつ、決められた10分間をひたすら待つことだ。来ない…。
当日キャンセルである。日帰り旅行は当日キャンセルが非常に多い。5回に一回は当たる。定員を2名欠き、41名でのスタート。

始めに行ったのは今回唯一の観光地、湧水公園。
駐車場からお客様を見所へと案内する。
添乗員は初めての場所でも知ったように案内しなければならない。事前の勉強や調査は徹底してやらなければならない。
今回の公園はわかり易くて助かった。なぜなら、葛西臨海公園よりはるかに小さいからである。

ハプニング発生!いつも渋滞する東名道と沼津のバイパス道が順調に進んでしまった???がために次のランチクルーズが早すぎた。「昼飯には早すぎる」というお客様の声を背中で聞きつつ、船上でお寿司の昼食。

クルーズの出発時。また問題発生!一名参加の男性が消えたのだ。待っても待っても来ないので船は出港した。会社とやきもき連絡を取っているさなか、その男性は現れた。事情を聞くと自分で好きなお店に入り食事をしていたとのこと。

途中で集団を離れる場合は必ず添乗員に言って下さいね♪と笑顔で応えているさなかまたもや問題が発生。

クルーズ船から帰ってきたお客様のひとりの女性が足を引きづっているではないか。しかも、とても怒っている…。添乗員の顔色が変わる。
理由を聞くと船員が船のドアをちゃんと閉めず、揺れによってドアがしまり、彼女の足がはさまれたのだ。傷も腫れもないが女性は気分が収まらない。
添乗員は宥める一方で船側とも事情を聞く。船側の店主は彼女に小2枚をお詫びとして渡す。彼女にようやく笑顔がもどる。

今回これ以上大騒ぎには至らなかったが旅行中のちいさな事故は非常に多い。その度に添乗員の責任が最大限追及される。

茂原帰着は23時45分、添乗員は結局一度の休憩も取れなかった(会社はバスの中は休憩時間だというのだが)。勿論残業代も一円も付かない。

気の休めない一日であった。日報には「本日異常なし(と書くようにと会社に言われているのだ)」といつものように書く事が今日も悔やまれる。これが派遣添乗員の運命なんだと心で思いつつ、暑き日の仕事を終えるのであった。
(つづく)
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3 コメント

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Unknown (ビックリツアー)
2006-09-12 00:42:18
日記を読んで、素晴らしい旅を演出するために、添乗員さんが労働的に苦しんでいるかが理解できました。



「寝る前には欠かさずお酒を飲む~」とのフレーズにショックを受けました。
返信する
Unknown ()
2006-09-12 01:35:00
添乗員に応募するの少し考え直しなした。変な世界ですね。
返信する
koroさんへ (スタッフ)
2006-09-28 00:06:37
本当にそうですね。

結局は添乗員の犠牲の上で、最後にはお客にとっても決していいことはありませんよね。

添乗員の死屍累々の上に会社だけが一人もうかって成長していくという。

頑張ります。

スタッフ
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