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HTS支部 時給制への不利益変更撤廃を求める裁判 不当判決糾弾!

2018年03月23日 12時16分50秒 | 添乗員・旅行業界

添乗員の実態に目をそむけ、最高裁判断を無視する不当判決
裁判所は恥を知れ!

「偽装みなし労働」をめぐる裁判で出された最高裁の判断をねじ曲げる時給制導入の撤回を求めて東部労組HTS(阪急トラベルサポート)支部が2015年11月に提起した裁判で3月22日、東京地裁(民事第19部 春名茂裁判長)は判決を出しました。

判決において裁判所は時給制移行前の日当制における「固定残業代の時間(1日4時間)分を超える労働に対する残業代不払い分」として、会社に対し原告2名合計で付加金を含め80万円あまりと遅延損害金の支払いを命じました。

会社に対し不払い残業代の支払いを命じていますが、この判決は長時間労働を温存・助長するとして原告組合員が撤廃を求めていた時給制への変更を是認する、司法判断(最高裁判断)によって示された「あるべき賃金体系」を司法自らが否定するという不当判決、それも不当極まりない判決です。

「偽装みなし労働」の是非をめぐる前回の訴訟において高裁・最高裁は、従来の日当は8時間分の労働の対価であると判断しました。そうである以上、会社は8時間分の賃金は確保しつつ、8時間超の時間について残業代を支払わなければならないはずです。そして、これまで支払われていなかった残業代を会社に支払わせることにより長時間労働が抑制される、それが司法判断によって当然に導かれる「あるべき賃金・働き方」であるはずです。HTS支部もそれを求めていました。
しかし会社は、HTS支部の反対にもかかわらず、各自の日当を13で割って算出された時給をもって時給制への移行を強行しました。これにより、添乗員の賃金は司法判断によって示された「あるべき賃金」よりも低額となりました。時給制への変更は司法判断(最高裁の判断)をねじ曲げ、会社として残業代の支払いを抑制する(=出費を抑える)、長時間労働を温存する「ための」ものであると言わざるを得ません。

また、往復の航空機移動における拘束時間は、時差や利用する航空便の遅延などが考慮され、以前は「日当」が保証されていたところ、時給制により2時間分のみしか支払われなくなったことなど、添乗員の収入・生活に直結する不利益もあります。

これら不利益の大きい、最高裁の判断をねじ曲げる時給制導入について、判決は原告(HTS支部)の主張を排斥し、概要以下の通り会社の主張に基づく不当な判断を行っています。
「会社が実態調査を行い、従前の日当制と人件費総額は概ね変わらない」から時給制への移行が「不利益を与えるものとはいえない」。
「労働時間管理にあたり派遣先(阪急交通社)から1時間単位で料金の支払いを受けることになったことで時給制に変更した」から「時給制への変更必要性もあった」。
また、HTS支部が一貫して反対していたにもかかわらず、「組合との間で複数回にわたって交渉」していたことをもって組合への義務も果たした、としています。
そしてこれらの判断をもって時給制を規定した就業規則は「原告らに対して効力を生ずる」と判断しています。

この判断はまったくもって容認できるものではありません。
第一に、HTS支部原告組合員は「従来の日当制を時給制に変更したことによる不利益」もさることながら「司法判断(最高裁の判断)によって導かれる『あるべき賃金体系』が時給制に変更されたこと(『あるべき賃金体系』と時給制との間)の不利益)を争い、それにより時給制の撤廃を求めているのです。
この「あるべき賃金体系」と時給制との関係・不利益性、ひいては最高裁の判断を守らせよう、との認識・観点がこの判決にはまったく欠けています。

第二に、この判決は添乗員の長時間労働を是認・助長するものに他なりません。
時給制導入により、組合が望んだ長時間労働の抑制・撤廃は実現しておらず、まったく改善されていないという実態を、原告である大島さんはこの裁判の証人尋問において「添乗した10日間のツアーのうち7日間の合計労働時間が100時間超、1日平均では約14時間にものぼり、そのツアーを含むその月の2本のツアーで残業時間合計が114時間にのぼる」と証言しました。過労死ライン(月80時間の残業)をはるかに上回る残業時間です。
このような長時間労働、いわば命と健康を削りながらの労働が時給制の導入によって温存されているのです。
「時給制への移行により従来の賃金水準を維持するためには長い時間働くことが必要となる。そうすると、長時間労働の改善を労働者側からは要求しづらくなるのは明らか」。HTS支部が懸念した通りの状況です。

第三に、裁判所が支払いを命じた「不払い残業代」は「固定残業代(1日4時間分)を超えた残業」に対してのものであり、HTS支部・原告組合員の「従来の日当は8時間分の対価である」との主張・実態を無視したものです。

このような不当判決を認めるわけにはいきません!
裁判所は恥を知れ!

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