第６回中島富雄賞授賞式でワタミ過労自殺遺族を表彰

（上の写真＝第６回中島富雄賞を受賞した森豪さんと森祐子さん）

～「過労死をなくそう！龍基金」第６回中島富雄賞授賞式～
ワタミ過労自殺遺族の森豪さんと森祐子さんを表彰

「なぜ新入社員がたった２カ月と１２日で死に追いやられたか。ワタミに二度と繰り返さないために何をすべきかを考えさせ、実行させるための戦いをしたい」（森祐子さんの受賞の言葉より）

過労死をなくすために活動している「過労死をなくそう！龍基金」は８月５日、第６回中島富雄賞授賞式を東京・葛飾で開催し、居酒屋「和民」で働いていた長女の森美菜さん（当時２６歳）を過労自殺で亡くした父親の森豪（つよし）さんと母親の祐子さんを今年の中島賞として表彰しました。ＮＰＯ法人自立生活サポートセンターもやい代表理事の稲葉剛さんの記念講演もあり、８６人が参加しました。

授賞式冒頭で、ファミレスすかいらーくで過労死した龍基金の中島晴香代表の夫・富雄さんと前澤笑美子副代表の長男・隆之さん、今年の受賞者である森夫妻の長女・美菜さんに参加者全員で黙とうをささげました。

（上の写真＝過労死・過労自殺の犠牲者に黙とうをささげた参加者一同）

体調不良のため欠席だった中島代表の代わりに前澤副代表が「遺族が会社に求めてきたのはお金ではない。過労死がゼロになる社会を求めている」とあいさつ。中島賞選考委員の福島みずほさん（参議院議員／社民党党首）、玉木一成さん（弁護士／過労死弁護団全国連絡会議事務局長）、平野敏夫さん（医師／東京労働安全衛生センター代表理事）、金澤壽さん（全労協議長）もそれぞれ過労死をなくす思いを語りました。龍基金事務局の須田光照さん（全国一般東京東部労組書記長）が経過報告を行い、基金が支援してきた過労自殺の遺族が今年６月に労災認定を実現したことを報告しました。

授賞式では前澤副代表から表彰状などを森夫妻に授与しました。受賞の言葉として、森祐子さんは「なぜ新入社員がたった２カ月と１２日で死に追いやられたか。ワタミに二度と繰り返さないために何をすべきかを考えさせ、実行させるための戦いをしたい」と話しました。この発言を受けて、龍基金の須田さんがワタミ株式会社と渡邉美樹会長の言動を批判したうえで、森夫妻の今後の闘いをみんなで応援していこうと呼びかけました。

ワタミ過労自殺遺族の怒りを経営者にぶつけよう

第２部として「生きる権利が守られる社会へ」と題して記念講演した、もやい代表理事の稲葉さんは、最近の生活保護利用者へのバッシングは労働環境の悪化とつながっていると指摘。「バッシングしている人自身がワーキングプアであったり過労死寸前で働いていたりする。生活保護利用者だけがもらい得だというのは徴兵逃れを批判する考え方と同根ではないか。労働環境が兵役のようになってしまっている現状を変えるべきだ」と訴えました。

（上の写真＝「共通の敵に対して声をあげよう」と訴えた、もやい代表の稲葉さん）