(2015年提訴時の記者会見)
最高裁判決をゆがめた時給制への不利益変更を許さない!
東部労組HTS支部の裁判に支援傍聴を!
東部労組HTS支部は2015年11月、時給制への変更による労働条件の不利益変更の撤廃を求め、日当が8時間分の労働の対価であることを前提として、添乗員への「事業場外みなし労働」の適用を否定した最高裁の判断によって示された「あるべき賃金」との差額請求の裁判を提起しました。
この裁判の証人尋問が9月25日に行われます。
阪急交通社の100%子会社で、主に同社のツアーに旅行添乗員を派遣する「阪急トラベルサポート」の旅行添乗員で2007年に結成した東部労組HTS支部は、添乗員の長時間労働・残業代不払い、いわば「定額働かせ放題」の理由となっている「事業場外みなし労働」は、詳細に時間管理をされている添乗員には適用されないことの確認を求め、08年、残業代請求裁判を提起しました。
2014年1月、最高裁は添乗業務への「事業場外みなし労働」適用を否定し、これにより不払い残業代の支払いも確定。HTS支部の勝利でした。
最高裁が「事業場外みなし労働」についての判断を示したこの裁判は、「阪急トラベルサポート事件」として知られることとなりました。
この最高裁の判断をうけ、阪急トラベルサポートは2014年2月、「添乗員の勤務状況を把握し、労働時間の管理を行う」と表明しました。それ自体は当然の方針です。しかし会社は同時に、賃金体系の変更(日当制から時給制への移行)を表明しました。これにつき組合は、司法の判断をねじ曲げた労働条件の不利益であるとして反対を表明し、導入の撤回を求めましたが、会社は同年10月、時給制への移行を強行しました。
時給制への移行は労働条件の不利益変更に他なりません。
前回の訴訟において裁判所は、従来の日当は8時間分の労働の対価であると判断しています。そうである以上、会社は8時間分の賃金は確保しつつ、8時間超の時間について残業代を支払わなければならないはずです。
しかし会社は、各自の日当を13で割って時給を算出しました。これにより時給は千数百円代と、それ自体が低額になっていますし、司法判断によって示された「あるべき賃金」よりもさらに低額となっています。
また、従来の日当制における賃金水準を維持(減収分を補てん)したり、さらに収入を増やそうとする場合、必然的に長時間労働を余儀なくされることになり、添乗員の心身の健康に悪影響を及ぼすことは明らかです。
組合はこのような観点から、時給制の導入に反対してきました。
何より、会社のやり方=時給制の導入は「いかに追加の支出を抑えるか」、つまり「最高裁の判決・判断によって生じる当然の結果をいかに骨抜きにするか、会社にとって有利なものにするか」が動機になっていると考えざるを得ず、それはすなわち添乗員に不利益を強いるものと言わざるを得ません。
そこで組合は、HTS支部組合員2名(大島組合員・境組合員)を代表に、従来の日当が8時間分の労働の対価であることを前提として、最高裁によって示された「あるべき賃金」との差額=未払い賃金の支払いを求める訴訟を2015年11月、東京地裁に提起しました。この訴訟は同時に、時給制への移行が労働条件の不利益変更であることを確認し、その撤廃を求めるためのものでもあります。
原告の一人である大島組合員はこの裁判の初回弁論における意見陳述で「たとえ私が今後添乗の仕事ができなくなってしまっても、前訴訟からのそれを機とする不利益変更を、このままにしておきたくはないと思い、再びの訴訟を決意いたしました」と決意を表明しました。
この不利益変更撤廃を求める裁判がヤマ場となる証人尋問を迎えます。原告2名を励まし、会社を包囲するため、以下の通り行われる証人尋問にみなさんの支援傍聴を要請いたします。
【東部労組HTS支部 不利益変更撤廃を求める裁判 証人尋問】
■日時:2017年9月25日(月)午後1時15分
■場所:東京地方裁判所527号法廷(地下鉄「霞ヶ関」駅A1出口3分。527号法廷は建物5階)