メトロコマース支部「自分たちの仕事についてきちんとものが言えるようになり、労使は対等だと思えた」
パート・契約社員など非正規労働者は組合結成で立ち上がろう!
東京地下鉄(東京メトロ)の駅売店「メトロス」で働いている契約(パート)社員らでつくる、私たち全国一般東京東部労組メトロコマース支部の活動が11月16日付『毎日新聞』朝刊で取り上げられました。
記事抜粋
****************************************
働くナビ:パート労働者の労組加入が増えています。
◆パート労働者の労組加入が増えています。
◇契約・環境、改善を実感
◇団体交渉で成果/「労使対等」自信に 全体の5%…組織率なお低く
パート労働者が労働組合に加入する割合が年々増加している。連合などナショナルセンターが非正規雇用労働者の組合加入の取り組みを強めていることが大きな要因だ。しかし、パート全体に占める組織率は5%で、労組加入へは依然として壁がありそうだ。あるパート労組の結成の経緯と、その後の取り組みを紹介する。
(略)
今年3月に結成されたのが、地下鉄の売店で働くパート労働者で構成される「全国一般東京東部労組メトロコマース支部」(後呂良子委員長)。東京メトロの子会社で作られたパート労組だ。
(略)
後呂委員長は「会社の労組に加入したいと言ったんですが『契約(パート)は入れない』と言われたんです」と打ち明ける。後呂さんらパート仲間は、パートの契約が2種類あり、同じ仕事をしているのに賃金や賞与で大きな差がついていることに納得できず、何とかしたいと考えていた。しかし、会社の労組には加入できず、地域労組の全国一般東京東部労組に相談し、自分たちで労組を結成することにした。
メンバーは結成の際、「労組を作ったらクビになるんじゃないか」と心配した。けれど、自分たちの労働条件にどうしても納得できなかった。1000円の時給は、働き始めからほとんど上がらない。狭い売店で8000個を上回る商品を覚え、効率良くさばく。工夫を重ね、月700万~1000万円を売り上げる組合員もいる。しかし、努力も工夫も賃金には反映されない。
地下鉄の通過音やアナウンスの大音量、狭く蒸し暑い売店、座ることも許されない環境、1日の仕事が終わると粉じんで真っ黒になる。そんな労働環境も変えたい。さらに、別契約のパートにはある忌引休暇や食事補助が自分たちにはない。正社員が使える福利厚生施設も使えない。「同じ仕事を同じように一生懸命やっているのに、なぜ扱いが違うのか」。仲間同士の怒りが突き動かした。
*
会社との団体交渉で、売店に扇風機を付けさせたり、熱くならない蛍光灯に変えるなど労働環境の改善を勝ち取った。ある組合員は「仕事を失う恐怖もあったけれど、組合を作って職場が良くなった。力を合わせれば変えられると実感した」と笑顔を見せた。契約も3カ月更新だったのを、半年、1年と安定した雇用に変えることができた。後呂委員長は「自分たちの仕事についてきちんとものが言えるようになり、労使は対等だと思えた。これが一番大きい。黙ったままではどんなひどい扱いを受けても何もできない」と話す。
長い間黙々と働いてきたパート労働者たち。組合活動に取り組むことで、職場の風景を変えつつある。【東海林智】