東部労組マツモト支部の固定残業代裁判第2回の報告
三嶋支部委員長が固定残業代無効を訴える意見陳述
三嶋支部委員長が固定残業代無効を訴える意見陳述
全国一般東京東部労組マツモト支部の組合員3人【写真】が、株式会社マツモトに対し、固定残業代の無効と残業代の支払いを求めて提訴した裁判の第2回口頭弁論が3月23日に東京地裁で行われ、東部労組の組合員らが傍聴支援に取り組みました。
この日の法廷では、原告の同支部組合員3人を代表して三嶋委員長が意見陳述に立ち、「過労死してもおかしくないような長時間労働をあらかじめ固定残業代として設定すること自体が非常識。労働者を人間として扱っていない」などと会社による固定残業代制度の無効を堂々と訴えました。
意見陳述の全文は以下のとおりです。
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裁判の開始にあたり、私、三嶋真は原告3人を代表して意見陳述を行います。この機会を与えていただいたことに感謝申し上げます。
私は、被告である株式会社マツモトにおいて、事業者用の一般廃棄物の収集・運搬を行う乗務員として5年間にわたり、その業務に従事してきました。
2021年11月に労働環境の改善のため、職場の仲間とともに全国一般東京東部労働組合の力を借りて労働組合を立ち上げ、私が執行委員長に就任しました。
私たちが会社の労働条件でもっとも疑問に感じているのは、残業代の支払い方法についてです。
会社の乗務員は深夜早朝の時間帯を含む深夜労働従事者と深夜早朝の時間帯を含まない日中勤務従事者に分かれています。私も含めた原告3人はいずれも入社以来、深夜労働従事者としての勤務を割り当てられてきました。私は午後9時から翌朝の午前7時までが勤務時間です。
日中勤務従事者はほとんど残業がありませんが、私たち深夜労働従事者は恒常的に長時間の残業があります。それに加え、私たちは、月100時間以上もの深夜労働を強いられています。
しかし、深夜労働従事者も日中勤務従事者も同じ残業代なのです。それは会社が固定残業代制度の採用を主張しているからです。
深夜労働はとても過酷です。夜は寝て昼に活動するという人間として当たり前のサイクルが逆転し、私たちは夜通し働いて昼間に寝るという生活が毎日続いています。
昼間に寝るといってもなかなか寝付けるものではなく、原告の一人は睡眠薬を服用しないと眠れない状態です。
私は昨年60歳になりましたが、深夜労働が体と心に与えるダメージを日々実感しています。この仕事を始めてから体重が増え、年2回の健康診断では毎回「異常」が指摘されています。医師からは十分に睡眠が取れず代謝が落ちたからではないかと言われています。
原告の中にはまだ小学生の子どもを抱えている人もいますが、子どもを遊びに連れて行ってあげたくても、身体がつらくて連れて行ってあげることもできません。昼間は、車の運転すらままならないので、遠出なんてできません。私たちには、週1日しか休みがなく、昼前には仕事に行く準備に取り掛かるため心おきなく休める時間はありません。
このように深夜労働は労働者の健康や生活に大きな負担をかけるからこそ、その補償として通常の賃金よりも割増の深夜労働手当を支払うよう労働基準法は会社に義務づけているのではないでしょうか。
過労死してもおかしくないような長時間労働をあらかじめ固定残業代として設定すること自体が非常識ですし、労働者を人間として扱っていないと思われても仕方ありません。
固定残業代をのぞいた基本給で計算すると時間単価が最低賃金を下回っていた時期もあったほどで、会社のいい加減さに怒りを感じます。
今になって会社は「固定残業代制度だから」と言って正しい残業代の支払いを拒否しています。しかし、求人案内には賃金総額しか書かれておらず、入社時にも私たちは固定残業代についての説明を受けたことはありません。当然、合意したこともありません。
社内にある就業規則・賃金規程などにも固定残業代を導入しているといった記載は一切ありません。
このような固定残業代が無効であることは明らかではないでしょうか。
私たちが求めているのは、残業をすれば残業をした分だけ、深夜労働に従事すればその分だけ、その時間と苦労がきちんと報われる残業代を支払ってほしいだけです。
裁判所におかれましては、私たちの労働実態を十分考慮をいただいたうえ、どうか公正な判断をお願い申し上げます。
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次回の裁判は5月11日に弁論準備手続きを予定しています。
引き続きみなさんのご支援をよろしくお願いします!
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