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全国一般東京東部労働組合の記録

コナカ「名ばかり店長」裁判での意見陳述(1)

2008年12月24日 16時48分23秒 | 紳士服のコナカ

写真=意見陳述した高橋勇店長(右から2人目)

私たち全国一般東京東部労組コナカ支部の組合員で、新たに支部書記長になった高橋勇店長が12月4日、コナカ「名ばかり店長」裁判の第1回公判で意見陳述した全文を以下に紹介します。

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意見陳述書

平成20年12月4日

原告 高橋 勇

横浜地方裁判所 御中

 私、高橋勇は株式会社コナカに対して店長は管理監督者にあたらないものとして過去2年間の残業代を請求いたします。
 今回の裁判の最大の争点は、私たちコナカの店長が労働基準法41条2号の「管理監督者」に該当するか否かということです。管理監督者の要件は、1つには出退勤の自由があるかどうか、2つは経営者と一体的な仕事をしているかどうか、3つはそれにふさわしい待遇が与えられているかどうかで判断されていると考えています。これまでの判例や行政解釈でも、この3つがポイントになっています。
 1つめの出退勤の自由はまったくありませんでした。公休はもちろん出退勤の時間も上司が指示し、管理しています。公休は週に1度でした。また、月末3日間と月の初めの公休は禁止でした。土日の公休についても、「職務放棄」とみなされ、降格の一因となります。
 2つめの経営者と一体的な立場で仕事をしているかどうかですが、あくまで本社の営業会議ですべてが決まり、それを店長会議で具体的に指示され、統括が各店舗に落とし込んで管理していました。そこには店長の裁量が入り込む余地などほとんどありません。店長会議では売り上げが悪くなると、当時の作井副社長が「こんなに売り上げが悪くて、お前らよく平気で休めるな」と大声を張り上げていました。当時の副社長の権限は絶大で、店長はもちろんのこと統括も全員絶対服従でした。
 そもそもこのような劣悪な労働環境を生み出した原因は店長候補が集められる東戸塚研修制度にあると断言します。朝7時30分から夜は零時過ぎまで身を粉にして働くことが美徳と考えていた社風、前岸下社長と作井副社長がつくった最悪の教育システムです。この激務を経験するとトラウマとなり、降格するともう一度研修を受けなくてはならず、もう二度とあの経験を繰り返したくないという衝動にかられます。だから店長は副社長の言うことは何でも聞くのです。逆らうと降格になり研修を受けなければならないためです。かつての研修生で激務により心身喪失状態になり、研修所で手首を切り自殺未遂を起こした社員もいました。研修を体験した者ならば理解できる事件だと思います。こうして卒業した店長は本社の言うことを何でも聞く、会社にとってはもっとも都合の良い労働力になります。こうした店長が「経営者と一体的な立場」のはずがありません。
 3つめのふさわしい待遇があるかどうかですが、総支給額でみれば、管理監督者扱いされていた店長時代より、降格されて管理監督者ではない副店長時代の方が高い給料をもらっていた、いわゆる「逆転現象」が起きています。
 このように管理監督者の要件はいずれも満たしていないにもかかわらず、コナカでは店長を管理監督者扱いし、長時間労働とサービス残業のただ働きを強制してきました。
 先の労働審判において、会社は私が提出した銀行の預け入れレシートの時間をもとに計算した残業時間が労働実態を現した正確な記録ではない、という趣旨の主張をしています。会社は警備保障の施錠記録をお持ちでしょうから、それでおおよその残業時間は推定できるはずですので、ぜひ出してください。
 コナカの店長が管理監督者にあたらないことは先に述べた通りです。労働基準監督署の是正指導や先の労働審判の調書においても明らかです。管理監督者でないのならば必ず残業は発生します。同じ職場で働いていた一般社員は過去の残業代をもらっています。店長は社員1人を残して毎日先に帰っていたとでも言うのでしょうか。そんなことはあり得ません。店長は残業代がかからないのだから、休日も減らして朝から晩までギリギリまで仕事をして会社の利益につなげろという考えだったわけです。
 このたびの「名ばかり管理職」の問題で活動する中で、他の業種も同じような問題を抱えていることを知りました。この問題はコナカだけの問題にとどまらず、労働者全体の権利を守る、とても重大な問題だと思います。
 コナカは昨年10月度より多くの店長を管理監督者から外しました。つまり過ちを認めたわけです。それならば私たちに正当な残業代を支払うべきです。それがコナカとしての価値を上げることにもつながると思います。私は10月に入社20年表彰もされ、コナカ自体に愛着を持っています。どうか正しいことをやって、再生してほしいのです。これが私の真実の気持ちです。

以上

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5 コメント

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Unknown (寒がっている社員にコートを貸さないコナカ)
2008-12-24 21:39:03
私は、軽衣料も扱う流通業に勤務しております。コナカ社のように精神論など科学的・社会科学的に根拠のの無い会社運営は御免です。
 そこで、お客満足の一環として衣料管理士(テキスタイルアドバイザー)または販売士の資格を取得したいと思っています。労働相談センターで勉強会があれば参加したいです。「自立した勉強する労働者」になりたいです。
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立派です (元社員)
2008-12-26 09:11:15
高橋店長の陳述書、立派ですね。本当に事実、そして社員の皆さんが言いたかったことを的確に捉えていますね。陳述書の中にも登場している作井元副社長さん、私の勤務当時は本部長でしたがやはり相変わらずだったんですね。皆分かってましたよ。そして辞めていきました。私は幸いにも少なくともコナカさんよりはまともな会社に入れましたが、元同僚の中には落ちぶれてしまった人も知っています。聞いた話では自殺してしまった方もいるとか。現在のこの状況で退陣なさっているのならお気の毒ですが、何千人の元社員は名もなく去っていったのを忘れないで頂きたい。貴方がたはお辞めになっても十分な資金はあるでしょうが、名もない元社員は違いますよ。現社員の方々もおっしゃっていますが、我々元社員も仕事が嫌で辞めたんではありませんよ。好きな仕事だったのに辞めざるを得なかったんです。この気持ち、分かってくれるんですかね?
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Unknown (Unknown)
2008-12-26 15:45:59
正直、今のコナカに対しては何も期待してません。上層部が退任しても、今のGM、AMたちって自分達がこうやって実績つくってきたんだから、こうしろ、こうやらないからダメだ的な考えの人が多いんで結局変わらないんですよね。時代は変化してるに。頭が固いというか、学習してないというか!労働問題、業績の低下も結局誰もが自分の立場でしか仕事しなくて会社のために本気で取り組んでる人が少ないのでは。だから、おかしいと思ったり、下の社員が苦痛と感じてることも、決まったことだからとかの1点ばりで押し付けになる。だから社員のモチベーションもあがらず業績もどんどん低下する。先日も94億の損失の件朝日新聞にでてましたね。リストラ、倒産まっしぐらな予感がします。
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残業代 (Unknown)
2008-12-28 22:34:23
ただ売上が悪い、数字を見て人が多いと判断をし社員をシフトで帰し残業をつけさせない、もとから志願したわけではなく 暇だかシフトで帰ってください。
私は週四回もシフトを入れられました。
店長に話しをすると昨年三人の残業分を今年は人が増えた為四人で同じ残業代にしますと
エリアマネージャーに話しをしても話しにならない
残業代の発生しないエリアマネージャーに相談してもいみはなく 景気がわるいから とかわされます。
あとはGMのせいにします違うと思います 残業しないとやっていけない給料だから困るんです
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昨日… (弱小株主)
2008-12-28 23:56:10
株主優待券と共に株主総会の報告が来ました。役員は相変わらず再任でしたね。 配当金も僅ながら頂きました。でも、コナカ社員の苦労を考えると、素直に頂きづらいです。
株価もどこまで下がるのか底がわかりません。
一番よかった時に比べると1/10になってしまいました。
それなのに、役員が同じっていいんですかね。
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