舞踊界の巨匠
高田せい子舞踊の會
主催 高田舞踊團後援會
後援 信州文藝協會
時 昭和7年10月17日 夕6時
處 長野市 相生座
プログラム
第一部
Ą ‥ 陽光を浴びて ‥‥‥‥ バルテルミー曲
木邨文子 稻葉初枝 酒井由紀子
中村笑子 北村季佐代 平岡斗南夫
藤原俊彦 佐藤浩 玉田麟三
B ‥ 香を捧ぐる女 ‥‥‥‥ チャイコフスキー曲
高田せい子
夕暗に仄白く浮き出づる純淨の姿一紫に香の煙は立ち迷ふー靜寂
C ‥ 葡萄 ‥‥‥‥ フリムル曲
稻葉初枝 中村笑子 木邨文子
D ‥ ピチカット ‥‥‥‥ デリーブ曲 酒井由紀子 北村季佐代
E ‥ 嵐 ‥‥‥‥ ケンピンスキー曲 高田せい子 稻葉初枝
F ‥ 秋 ‥‥‥‥ ビゼー曲 木村文子 稻葉初枝 酒井由紀子 佐藤浩 玉田麟三 中村笑子 北村季佐代 平田斗南夫 藤原俊彦
第二部
Ą ‥ ノクターン ‥‥‥‥ ショパン曲 高田せい子 木村文子 稻葉初枝
酒井由紀子 中村笑子 北村季佐代
B ‥ 武人 ‥‥‥‥ サンサーン曲 平田斗南夫 藤原俊彦 佐藤浩
玉田麟三
C ‥ 幻想〔瀧の白糸〕‥‥‥‥ ドビュッシー曲 高田せい子
古い曲藝の女を時代、風俗、國境を超越し一つの動く繪畫として幻想的に舞踊化した新しい試みである。女學生時代に讀んだことのある泉鏡花氏の小説「瀧の白糸」の淡い記憶から題名だけをとったが材は決してこれに據ってはゐないものである。
特番 A ‥ 影を慕ひて ‥‥‥‥ 古賀政男曲 高田せい子
別外 B ‥ 金婚式 ‥‥‥‥ メエリー曲 高田せい子
先般ラヂオ舞踊講座で女史がAKから全國に放送し好評を博せる新作二つ ‥‥‥‥
D ‥ 戯れ ‥‥‥‥ ルーベンス曲 中村笑子 木村文子 酒井由紀子
鄙びた和蘭の風光に溶けつゝたゞ他愛なく戲れる少年少女の如何に心の清きことよ ‥‥‥‥
E ‥ 情怨 ‥‥‥‥ マルケティ曲 高田せい子 平岡斗南夫 佐藤浩 藤原俊彦 玉田麟三
第三部
A ‥ 虐げらるゝ者に榮光あり ‥‥‥‥ ベートーヴェン曲 高田せい子 平岡斗南夫 藤原俊彦 佐藤浩 玉田麟三 稻葉初枝 中村笑子
B ‥ 支那の幻想 ‥‥‥‥ クライスラー曲 木邨文子
C ‥ 劒の舞 ‥‥‥‥ ハーバート曲 高田せい子
D ‥ タランテラ ‥‥‥‥ ズイルカ―曲 木邨文子 稻葉初枝 酒井由紀子
玉田麟三 中村笑子 北村季佐代 平岡斗南夫 藤原俊彦 佐藤浩
第四部
A ‥ 戯曲舞踊 火刑 ‥‥‥‥ ボロディン ボビー曲 高田せい子 外一同
未開の原野に生れながら異敎徒の靑年に戀した娘の罪や恐ろし、回々敎の神の御堂に彼女は火刑に處せられて犠牲の苦しみを受けつゝも愛に微笑みつゝ永遠の眠りにつく ‥‥‥‥
總演出振付 高田せい子
伴奏指揮 篠原正雄
配光 北野健輔
紹介 ‥‥‥‥ ■高田せい子女史は本名中村せい子大正三年石川縣立金澤高女を了へて東京音樂學校器樂部に學び帝劇附屬の洋劇部に入り大正十一年から三ヶ年間歐米にて數十回の公演を爲し歐洲藝術家ソサイエティ及びストール會社の専屬藝術家となり昭和四年良人雅夫氏に死別してから原せい子を高田せい子と改名高田舞踊研究所を主宰松竹樂劇部の指導等に當る一方世界風俗の研究等に努力されてゐる。
■音樂指導に當る篠原正雄氏はお馴染の東京ラヂォオーケストラの指揮者である。