木地師の住んだ村へ散策に行った。この地はとても山深く、川の上流の水源付近にはケヤキ、ブナなどの原生林が繁る樹海が広がり清浄な気が宿る。まさに神々が宿る聖地という趣きがある。
ここに昔、山岳信仰を持った木地師の集団が入った。その集団は、この地では天狗と呼ばれ、天狗椀と呼ばれる漆器を作り、米や塩などと交換し生計をたてていた。
木地師は技術と平行し、修験的信仰から地形検分し霊場を構成した上で潔斎修行をし、霊力を身につけ、自分たちや住民のために加持祈祷、雨乞い、水利図りなど、住民の指導者的な役割もはたし住民の帰依と尊信を集めた
木地師という仕事の祖は惟高親王。農民化するまで、惟高親王に関わる者としての誇りを胸に秘めながら全国の山を渡り歩いた。
この地の天狗木地師は3年間上方に詣り林材の霊に感謝し奉仕し、神人(天狗・山伏)の境地に入り、次の伐採が許され、免許状が授けられ生業の地へ帰った。その際に「御所桜」を持ち帰ったらしい