るるの日記

なんでも書きます

構造とは、円も三角形も四角形もみな同じということ

2021-06-29 16:37:59 | 日記
レヴィ=ストロースの言葉で定義すると【構造とは、変換を行っても不変の属性を示す諸要素と、その諸要素間の関係の総体】ということになる

難しいですね

16世紀ドイツの画家デューラーの絵

人間の横顔の輪郭を、方眼の比率を変えたり、ます目を曲線に変えたりして変形させていくと、顔はだんだん変わっていくが、それでも眼と鼻の関係性や、口と眼の関係性は変わらない。もう一度比率を変え、歪んだ方眼を元に戻すと、また元の顔に戻る

変換をほどこしても、相互の関係が不変の属性を保っている。これが構造だ


もともと空間的な性質。数学ではトポロジー(位相幾何学)の考えと似ている。柔らかい素材の上に図形を描いて、その素材を自由に変形しても、図面の要素間の関係性は破いたり、切ったりしない限り変わらない

トポロジーでは、円と三角形は同じ特質を示すと考える。円の上の三点をゴムのように引っ張ると三角形ができるし、四点なら四角形もできる。連続変形しても変わらない性質を示すのがトポロジー。構造も同じ考え方。人間の心の構造は、このような自在な変換が起こっている。レヴィ=ストロースは構造によって、人間が行ってきたすべての領域を統一的に理解しようとした。

それを親族、トーテミズム、神話、儀礼などの領域に適合した




進歩発展に目を向け、熱い社会が生まれ、出来事過剰な世界となった。クールダウンが必要

2021-06-29 16:12:35 | 日記
■なぜ、今日、呪術的思考と科学的思考がこれほど違っているように見えるのか?それは構造と歴史(出来事)の問題に関わってくる

構造に適合した思考方法はブリコラージュ的な呪術
歴史(出来事)に適合した思考方法は科学
2つは同じものから発達しながら
構造から歴史への変化に適合するように、分裂し対立しあうようになった

■構造は循環的な活動をする。そこに異質な要素が入ってきても、自分に取り込んでしまうことが可能。構造は新しく生まれてくる出来事を自分の中に回収して、同じサイクルで反復させていくことができる。ところが、構造に収まりきらない条件や要素が発生して構造が機能しなくなる事態が起こってくる。そのときは構造は無力となり、かわって歴史の思考が前面に出てくるようになる

現代に向かって突き進んできた人間は、構造を否定して、歴史に向かい、それを表現する【進歩や発展】という考えを広めてきた。こうして【出来事によって変化していく歴史】が人間の思考を支配するようになった

■この変化の大きな原因の一つは【人口過剰】にある。親族を構造の中で循環させていくためには「お前はどこの部族の、どこの氏族に族するか」と聞かれて、それにすぐ答えられるようであれば構造は働き出すことができる。だが都市で暮らしている人や家庭生活を失って久しい人たちは、なかなかその質問には答えられないものだ。人間が増えすぎてくると、もはや構造に収めることはできなくなる

★構造は冷たい(乱雑さが少ない)
構造は循環的作動をすることができる
★出来事は熱い(乱雑さが多い)
構造は機能しなくなり
熱い社会が生まれてくる

■新石器時代は、後期旧石器時代から受け継いだ野生の思考をシステムとして組織するのに成功し、そのとき栽培植物と家畜動植による農業が開始された。そのとき野生の思考に対立する【栽培思考】、【家畜化された思考】が登場し、そこから構造を否定する芽が育っていった

人口過剰の原因は穀物の余剰生産にあった。その分配システムに矛盾が発生することによって歴史と国家が生れたとマルクスは言ったが、レヴィ=ストロースも同じことを別のやり方で考えた

私たちの世界は現在、【出来事の過剰した世界】に突入しており、人間の従来の政治的思考では、もはやこの出来事過剰の世界に対応できなくなっている。【縮減と構造化を原理とする人類は構造を破壊された世界で漂流している】

だから、私たちはここで立ち止まって、人類の本性と能力の限界について、深く考え直してみなければならない

■ブリコラージュによる呪術的思考は、構造の世界に適合する知性であって、決して遅れた思考方法ではない。科学的思考と呼ばれるものは、出来事による歴史の世界に適合した知性だが、おおもとは同じ人類の心的構造から生れたものだ

効率を優先する科学的思考は、栽培、家畜化された思考として、現代世界を現出させてきたが、それが今は壁にぶつかっている。【野生の思考】は救世主ではないが、人類の心のおおもとをなすもので、繰り返しそこに立ち戻る必要がある

旧石器時代呪術を行っていた人の脳とまったく同じ脳が、現代は科学を思考している

2021-06-29 15:13:20 | 日記
■先住民は現代の植物学者を、ときにはしのぐほどの精密さと正確さで自然観察を行い、その観察と実験は彼らの知る世界の全域に及んでいる。その情熱は自然学者と同じだ

科学者も、役にたつからという理由だけで新しい種の発見のために困難な研究の旅をしているわけではない。この地球上にありとあらゆる植物の多様な姿を知りたいだけだ

植物学者も先住民と同じように、第一の目的は実用性ではなく、物的欲求を充足させるものでもなく、【自己の知的欲求に答えよう】としているのだ

先住民思考と科学的思考を対比させ、前者を【呪術的思考】と呼ぶ。対立ではなく、呪術と科学が用いている知的操作は本来同一のもので、新石器時代の呪術によって蓄積された知識が、近代科学を生み出すおおもとになった

■プリコラージュ
ありあわせの道具材料を用いて、自分の手でものを作ること

★科学的思考
概念を組み立てることからはじめる。概念は抽象的なもので、ある特定の用途にぴったり合うように作り出された知的道具。科学者はそれを用いて実験や研究を行ったり、新しい製品を作ったりして、整合性のある世界をつくる

★先住民思考
記号を用いる。記号は概念と違ってはじめから「ゆらぎ」「ずれ」が含まれる
言語という記号では
メタファーとメトニミーが基礎になる。あるものを似ているもので表現するのがメタファー(女性を花に喩える)。似ていなくてもいいから、近くにある別のものを持ってきたり、部分で全体を表現するのがメトニミー(帆でヨットを表現する)

記号は対象とぴったり合致することなく、たえず「ゆれ」「動き」をはらんでいる

意味するものは、意味されるものから絶え間なくずれていく。【ありあわせの道具材料】を【記号】として用いるプリコラージュでは【出来上がったとき、計画は当初の意図とは不可避的にずれる】

■呪術、神話、儀礼といった新石器時代に生み出されたものの多くは、ブリコラージュの仕組みでできている。別の時代に別のところで考え出されたものを、今考えていることのために再利用する。うまくいくかは【構造の感覚】による。プリコラージュによる表現には、これで完成ということがない。記号は絶えず「ゆらぎ」や「ずれ」をはらんでいるからだ。また次のものを作らなければならない。そしてまた作る。。このような形でどんどん変形を重ねていって豊かな文化の世界が形成される

■呪術と科学の違いは大きくない。
天文学者ケプラーは占星術師でもあり、占星術による思考方法から「惑星の公転周期の2乗は、楕円軌道の長半径の3乗に比例する」という法則の発見が導かれ、ニュートンは「自然哲学の数学的諸原理」を書き上げたあとの興味の対象は【錬金術と占星術】にあった

占星術と錬金術のような呪術的思考は、科学の母体となったというのが今の科学の考え。新石器時代に呪術的思考が組織的に体系化されていたからこそ、のちの時代に科学が生まれたのであって、呪術と科学は別物ではない

■後期旧石器時代に人類の脳構造に飛躍的な進化が起こって以来、その構造は変化していない。旧石器時代人が呪術を行っていたのとまったく同じ脳が、現代では量子論や宇宙物理を思考している。呪術を行っていた人類と科学を行っている人間は、同じ心の構造を持っているのだ。

のち呪術と科学という2つの方向に分岐して、現在では科学的思考は正しくて、呪術的思考は間違った思考だと思われているが、【野生の思考】はそのような考えを真っ向いから否定した。現代の科学が用いている道具と手法のすべては、呪術的思考の中に準備されていた

対象を理解するために縮減する

2021-06-29 13:48:43 | 日記
エリザベート・ドートリッシュの肖像。レースの襟飾りの綿密な描写に驚かされる。実物の繊維はもっと複雑に入り組んでいるが、このレース模様は縮減作用によってミニチュアサイズに縮められ、しかも実物に勝るほど細密だと思うような錯覚を見る側に与える


【縮減】
情報のある部分を消していって、大切な部分だけを取り出して、縮小した模型をつくること。人間が自然音から原語音を抽出するとき行っていた。美術作品の大多数が縮減模型である

人間の認識はたえまなく縮減を行っている。情報の縮減を行いながら、実物の像を正確に再生することで、世界をとらえている

自然認識情報が与えるカオスな流れの中から、ある要素を取り出し、それを組み合わせることによって、実物と同じぐらいの、ときにはそれをしのいでいると錯覚させるほどの細密さ、複雑さを持った像を作り出す


新石器時代の考え方は、現代の未開の人の考え方と同じ分類・変換の【構造思考】

2021-06-29 13:26:29 | 日記
後期旧石器時代は私たちと同じ人類で、すでに詩や神話を語り、祭を行い、原初的な科学的思考を行っていた

新石器時代に入ると革命が起こり3万年も続いた後期旧石器時代に蓄積された知識に、組織化がほどこされるようになる【土器、織布、農耕、動物の家畜化、という文明を作る緒技術を人類がものにしたのは新石器時である】。人類は巨大な飛躍をとげた

縄文人=前期新石器時代人は、自分のまわりの自然を徹底的に観察し、食物に利用できる動植物ばかりでなく、利用しない動植物についても、風や水など自然界の出来事すべてに対しても、【野生の思考】を適用し考えぬいた。分類・変換つまりは【構造の思考】によって知識の体系をつくりあげていた

未開と呼ばれてきた世界各地の先住民の考え方は、新石器時代の人間の考え方とほとんど同じで、旧石器時代以来の科学的思考を受け継いでいる。新石器時代の人間は長い科学的伝統の継承者である