るるの日記

なんでも書きます

日本文化の根幹に自然の人間化がある。自然の人間化は呪術思考に深く関わる

2021-06-30 14:37:00 | 日記
レヴィ=ストロースは「日本の人々は自然を人間化する」と語る。

日本の自然は人間の「受動的働き」によって作り出されている

日本人は弥生時代に水田による稲作を開始するが、田んぼは土地を均さないと作れないので、大きな自然破壊を行ったともいえる。しかし人間の目的のために完全に自然を改変しつくすやり方ではなく、自然の持つ自発性を生かしながら、最適な環境を作り出す努力を重ねてきた
日本の美しい風景はそうしてできていることをレヴィ=ストロースは明確に認識していた

人間の自然化
🐺と🦉と
🐺と🦉そっくりの人間



自然の人間化
🐦️が人間の扮装で人間生活を演じる



レヴィ=ストロースは
日本人は【自然を人間化】すると
語った
【自然の人間化】は、【呪術】の思考方法とも深く関わり、日本文化の特徴を成している。自然を人間化することによって、人間と自然の間に通路が開かれるが、これは西欧の【人間の自然化】を象徴する狼男を恐れることとは対照的だ

自然の人間化の回路を通ると、自然は敵対的で恐ろしい対象ではなくなり、人間の世界とうまく接続されるようになる。しかし完全に人間に同化してしまうわけではなく、どこまでいっても自然は自然、人間は人間としての固有性は失われない。ただ両者の間には通路ができていて、その中間に自然と人間の混成世界がつくられている。こうゆう世界観が日本の根幹にある



レヴィ=ストロース・金沢の金箔職人を訪ねる

2021-06-30 13:52:37 | 日記
レヴィ=ストロースが金沢で金箔職人を訪ねた時のことです。職人が金箔を紙に挟んで、それを打ち延ばしていくとき、紙が金箔を自ら押し広げていくという事態が起こり、それを実現するために紙を扱う特別な秘法があると、職人は打ち明けます
レヴィ=ストロースはその表現にいたく感心しました

職人は金箔を打ち延ばす作業もお見せしましょうと言ってくれた
隣室に向かうと部屋にはハンマーが置かれていて、職人はものすごい騒音をたてながら、その作業を行ってみせた。レヴィ=ストロースは繊細な仕事とのギャップにびっくりしますが、同時に感心もしました

機械の使用に関して職人はアニミスト(すべてに霊が宿る・アミニズム)の態度で機械を扱い、機械を使用することにぐずぐずしない。日本人の科学技術の発展の秘密はここにあると彼は感じました

レヴィ=ストロースは日本で受けた印象の一つとして【自然を人間化】すると語りました

日本人の核心部分

2021-06-30 13:15:49 | 日記
レヴィ=ストロースは日本の職人たちが作った様々な陶器、塗物、着物、家具などを注意深く観察している。また画工や絵師などが書いた絵をたくさん見ている
そこにポイエーシス的労働(自然物が望んでいることを職人が実現する)の考え方が生きているはずだと思ったのだ

宗教学者・柳宗悦は
「どうしてこのような【用の美】ができるのか?」
「職人がそれを作る過程で、どうしてこの美しい形が出てきたのか?」
と考えたとき、その時に柳宗悦は【受動性】ということに気づいた

芸術家は自分のプランを、木や土に押しあて、それを変形することで作品を作る。職人は自然物の中に隠れている本来の機能を、受動的に取り出して民藝品を作る。それを使用すると、庶民の感覚にぴたりとはまる

美は自力でなく他力から生まれる
職人は自然物からの語りかけを聴きとり、符号によってそれを理解し、それを内から外へと取り出す
計らいなき働き
このあたりを探っていくと、日本人の精神構造の一番深いところに辿り着く。鈴木大拙の言葉を借りれば【日本的霊性】の核心部である

自然物が望んだことを実現する職人

2021-06-30 12:43:15 | 日記
古代ギリシャでは、働くことを
【プラクシス】
【ポイエーシス】
2つの言葉で表現していた

プラクシス
行為する人間が、自身の目的のために、事物を使用する

ポイエーシス
事物自体の目的のために、【作り出す】

木工職人が何か有用なものを作る場合、これはポイエーシス。その物の中にすでに存在する形を外に取り出すと考える。それは「木が望んでいることを実現する」という考え方に近く、自然物の中に隠されている目的を外に取り出して、役に立つ用具に仕立てるという作業が職人の仕事であり、ポイエーシスだということになる

ヨーロッパでは、労働概念の中で、このポイエーシスの考え方が消えていった
レヴィ=ストロースは、労働概念の中にこのポイエーシスの要素を取り戻そうと考え、ポイエーシスは日本の職人の中に生きているはずだと睨んだ

西欧の労働概念・神によって科せられた罰

2021-06-30 12:18:34 | 日記
レヴィ=ストロースが【神話論理】の仕事が終えてから、社会人類学研究室の共同研究のテーマとしたのが【労働の概念】だった。その一環として日本を調査対象にした

レヴィ=ストロースの研究室に集まっていた研究者たちの来歴は、現役の、あるいはかつての、マルクス主義者が多かったが、彼らはマルクス的労働の概念はもはや不充分だと考えた

マルクスが対象にしたのは、西欧資本主義社会における労働で、商品経済システムの中で、あらゆる種類の労働が等質化されてしまう。そこで研究者は、世界の【労働の概念】の意味を研究し、西欧的な労働概念を相対化しようと考えた

西欧の【労働概念】には、神によって科せられた【罰】という、ユダヤ=キリスト教特有の考え方が影響し、労働は厭わしい時間を耐えなければならないというニュアンスがある