建築を志してもう35年になる。
最初は建築をやっていく価値なぞ考えもせず、好きだからこの道に入った。 構造計算事務所から設計の世界へ、設計図にも行き詰まり現場への道を辿り、技術屋の世界から販売も経験してみたくなり、営業も経験した。
営業の世界では、儲けたいと真剣に働いた。
その事もあって年収が一千万を越えた。 しかし何かしら満たされないものが 私の中には残り、「楽しく生きる」ってお金じゃないと思い年収1千万を捨てたのだった。
喜びは金で買える物じゃなく、生み出した物が価値を持ち、それが受け入れられてはじめて喜びが双方に生まれる。 決して押しつけた物には喜びは生まれず、押しつけられても喜びは感じない。
双方に微妙な思いがあり、それを一致させるのは、双方が心をオ-プンにして絡みあう中に発想は生まれる。
私達は、住まいづくりのプロかも知れない。
しかし、プロだからといって決して良い住まいを造れるとは限らない。 良い住まいは物づくりの過程の中にあり
通い合う言葉の中に”楽しく生きる”物がある。
楽しく生きるとは、相手があってはじめて成立するもので、双方が満たされはじめて楽しく仕事が出来る。
「ありがとう」の中に物づくりの楽しみは含まれるのだろう。