斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

DLC/SWCNTsコンポジット

2015年12月14日 06時56分25秒 | 斎藤秀俊の着眼
"Conditions for forming composite carbon nanotube-diamond like carbon material that retain the good properties of both materials" J. Appl. Phys. 118, 194306 (2015)
フィンランドのUniversity of HelsinkiとAalto Universityの共著論文。

カーボンナノチューブとダイヤモンドライクカーボン(DLC)のコンポジットを作る研究。
ナノチューブはシングルウオールで、高温触媒CVDで形成。一方DLCはカソーディックアークで形成。PVDによるDLCの合成だから、ナノチューブの上に形成可能といえばそれまでの話。

ナノチューブ上にDLCが堆積できるか分子動力学シミュレーションと実験で確認していて、高sp3-DLCが特定の状況の下でナノチューブ上で形成されるとしている。温度600K以上では形成しないし、高sp3を得るためにはナノチューブ側にも少し工夫が必要で、このあたりの最適化は必要だ。

ただ、高sp3-DLCのsp3比率の決定にXPSを使っているところに不満が残る。XPSによるsp3比率の決定方法は世界的に認められているわけではなく、やはりNEXAFSやNMRによるクロスチェックがなくてはならない。ただ、この論文の意図するところは、高sp3であるところが必至というわけでもないので、公表にこぎつけたというところか?

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