三浦俊彦@goo@anthropicworld

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草稿(「仮題・自然選択説を生んだ自然選択」)

2005-12-15 03:13:11 | メモ
 次の六つの推論は正しいだろうか。正しいものと誤っているものを判別してください。物理学者と天文学者は五問以上、生物学者は全問正解してください。哲学者は全問正解のうえ、誤りの推論すべてに共通する誤謬を指摘してください。

 ■A 地球誕生後5億年ほどして、太陽系生成直後の地獄のような流星雨が収まり、生命の生存余地ができるやいなや、地球上に生命が誕生した。これは、生命というものは条件が整いしだい容易に誕生するものであることの証しである。よって、地球型惑星では生命が誕生する確率が高く、宇宙全体には生命が満ちているに違いない。
 ■B 生命誕生後40億年ほどして、生命進化を回顧できるほどの知的文明が生じた。知性の進化までには、太陽の寿命に匹敵する時間がかかったことになる。これは、知性というものは容易に生じえないことを示している。したがって、生命そのものがありふれているかどうかにかかわらず、知性は宇宙全体で稀であるに違いない。
 ■C 地球上の全ての生命のDNAの共通性から、生命はただ一度誕生したらしいことがわかる。他方、知性へ向かう進化は、いろいろな系統に独立に生じている。したがって、生命誕生がかりに易しい出来事ではなく稀にしか起こらないとしても、地球外のどこであれいったん生命が誕生すれば、ほぼ間違いなく知的生命へと進化しているに違いない。
 ■D 地球は、生命進化に適した惑星という点で、太陽系内で唯一である。しかし、宇宙全体で例外ということはありえない。なぜなら、次のように仮定すると矛盾が生ずるからである。生命進化に適した環境が与えられた条件下での生命誕生の確率、または生命誕生が与えられた条件下での知性誕生確率、少なくともいずれかが小さくて、生命進化に適した環境が少数しかないと仮定しよう。すると、知性の進化が一度も起こらない可能性が高い。ところが、生命が現に地球で誕生し、知性にまで進化した。これは、仮定が間違っていることを意味する。よって、地球以外にも、生命進化に適した惑星は多数存在する。
 ■E 地球には、生命そして知性が誕生した。コペルニクス原理によれば、ここは特別な場所ではないはず。よって、地球だけに生命そして知性が生まれたとは考えにくく、宇宙の他の場所でも知的生命は生じていると考えるべきである。
 ■F 地球では、生命そして知性は、細胞とか脳とかいった複雑な組織に依存している。コペルニクス原理によれば、ここは特別な場所ではないはず。よって、生命そして知性が複雑な物質にもとづいているのは地球においてだけとは考えにくく、宇宙の他の場所でも同様に生命・知性は物質の複雑系組織によってのみ生まれると考えるべきである。