早稻田松竹で「ザリガニの鳴くところ(Where the Crawdads Sing)」(2022年、米、オリビア・ニューマン監督)を観に行った。シニア料金900円。なぜこの映画を観ようと思ったか。私は毎日洋書を30分程度読むことを習慣づけている、最近一冊読み終わったので、次は何を読もうかな、とAmazonの洋書コーナーで探したところ、この本のレビューコメントが38万件もあるのに驚き、読みはじめた。ところが、この小説の英語が非常に難解でわからない単語だらけなため、途中で諦めて読むのを止めた。滅多にこういうことはないのだが(カズオ・イシグロの本も難しかったがそれ以上であった)。そこで同名の映画があるのでそれを先に見てから読んだらかなり楽に読めるようになるのではないかと思い、今回観ることにしたものだ。
ストーリーは、ノースカロライナの湿地帯(March)にあるとき、1人の青年の死体が見つかり、容疑者としてその湿地帯の中の家に一人で住む若い女性カイア(デイジー・エドガー=ジョーンズ、英、24歳)が浮かんできた。そして裁判で彼女の驚くべき生い立ちが明らかになっていく、もともと親子でこの湿地帯に住んでいたが父親の暴力に耐えかねて母親が、子どもたちが次々と逃げ出し、最後に年少のカイアだけが残った、学校にもなじめず、雑貨屋の夫婦に親切にしてもらいながら成長していくが、あるとき若い男性と湿地帯で出会ってから彼女の人生が徐々に変わっていく、そして裁判の最後でどんでん返しが・・・
見終わってみると、私はそれなりに面白かったと感じた。ハッピーエンドなところやどんでん返しがアメリカ映画らしいとは言えるが、素直に楽しめた。この湿地帯の場面であるが、私が10年ほど前にマイアミに行った際、エバーグレーズ国立公園にも足を伸ばしたが、そこの景色とよく似ていると思った(下の写真2枚はその時の写真)。
若干のコメントをすれば、(ネタバレ注意)、湿地帯で死亡していた男性はカイアが殺したのだろうが、それはレイプされそうになったときの抵抗時に彼が死んだのか、そうだとしたら、見晴台のところまで死体を引きずっていって偽装工作をしたのか、そこがわからなかった。もしそうだとしたら、正当防衛で裁判で勝てるので、そう正直に弁護士に言えば良かったのではないか、と思った。また、この映画を見終わって、何を考えさせられるのか、と言う点だが、単純に差別はいけないとか人を偏見で見てはいけないとか、陪審員制はそこを最後の砦としてきちっと仕事をしたとか、そういうことなのか。何か自分の身に置き換えて深く考えさせるような映画ではなかったかな、と思うが如何であろうか。あと、どうでも良いことだが、裁判で勝訴してから、兄が湿地帯の家に来て、その後母親が死んだことをカイアに話したが、白血病(leukemia)で死んだと言っているのに字幕では死因までは言わなかったのが気になった。
以上のコメントはあるが観て損は無い映画だと思う。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます