[ワシントン 15日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏が打ち出した新たな経済政策は、土台部分が典型的な誇大表現で出来上がった「砂上の楼閣」の趣がある。トランプ氏は15日、減税などを通じて米国の国内総生産(GDP)成長率は3.5%に達し、向こう10年で2500万人の雇用が生まれると力説した。だがそこには、数多くの仮定条件が存在している。
トランプ氏はニューヨーク経済クラブで講演し、第2次世界大戦後の平均成長率が年間3.5%だった時代を取り戻すと訴えた。とはいえ、当時と今の違いはいろいろある。すべて挙げることはしないが、少なくともかつて労働力人口を急増させたベビーブーマー世代は引退を迎えつつあるし、以前は海外経済の成長ペースがもっと高かった。米成長率が今年第2・四半期の1.1%より上向く可能性はエコノミストも認めるものの、4%に迫る事態に現実味があると考える向きはほとんど見当たらない。
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トランプ氏の見通しでは、所得税率の大幅引き下げと法人税率を35%から15%に下げることが成長を刺激する。しかし減税効果が同氏が期待するほど経済をテコ入れするかどうかは分からない。米商務省経済分析局によると、過去3四半期は企業利益が高水準だったにもかかわらず投資は減少していた。
温室効果ガス排出などの環境規制を撤回すれば、石炭その他の化石燃料使用コストが減少してGDPを押し上げる、というのもトランプ氏の持論だ。
経済政策実施に伴う歳入の落ち込みは単純に計算すると10年間で4兆4000億ドルに上るが、成長上振れを考慮すれば不足額は2兆6000億ドルまで縮小するとみられる。このうち半分以上は、規制緩和や「米国第一」に通商政策を修正することで取り戻せる見込み。残る8000億ドルの不足は、社会福祉と国防を除く分野での段階的な歳出削減(具体的には明らかにしていない)で賄える、とトランプ氏は説く。
もっともこの計算には、最大1100万人の不法移民の送還もしくは国境管理強化といった他の政策がもたらす影響が抜け落ちている。また非営利団体「責任ある連邦予算委員会」の分析に基づくと、トランプ氏が標榜する国防政策には1500億ドルの追加費用がかかる。
ニューヨーク経済クラブでトランプ氏の講演を聴いた金融関係者や企業幹部は政策内容を称賛したのだが、現実離れしていると特徴づけられるようないくつもの前提がクリアされない限り、そこに潜む膨大なコストが顕在化せずには済まない。
以上、ロイターコラム
>トランプ氏が打ち出した新たな経済政策は、土台部分が典型的な誇大表現で出来上がった「砂上の楼閣」の趣がある。
この記事だけでトランプの経済政策の評価はできない。ただ、記事では批判的だ。
ホワイトプアの人々を救済できれば、トランプ支持層への恩返しになるでしょうが。。。