新型コロナウイルスの影響で2020、21年が統合された国内男女ツアーは、1年半にも及ぶシーズンを終えた。今季も“初優勝”、“復活”など印象的な場面がファンの心をつかんだ。そんなシーンをさらに彩ったのが、選手たちが流した涙。ただ、そこに至るまでの理由は人それぞれだ。そんな数々の涙に注目し、長かったシーズンを振り返る。
賞金女王を決めた瞬間の稲見と奥嶋氏
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シーズン9勝、東京五輪の銀メダル獲得、そして賞金女王。激動の一年を過ごした稲見萌寧は、宮崎の地で頂点に輝いたとき大粒の涙を流した。だが、そこに至るまでに22歳は今年何度もほほを濡らしていた。
最初に公の場で見せたのはうれし涙だった。2021年の2試合目、高知で行われた「明治安田生命レディス ヨコハマタイヤゴルフトーナメント」。2位に3打差をつけて首位でスタートした最終日。これまで見せていた安定感がウソのようにスコアを落として永井花奈に追いつかれてしまい、プレーオフへと突入する。
難ホール18番で行われ戦いは3ホールに渡るサドンデスとなったが、祖父から受け継いだ座右の銘に掲げる『忍耐』の通り我慢を重ねてパーで相手を退けた。その直後に行われた優勝インタビューで「つらかった」と胸のうちを明かしたときに思いがあふれた。
ここからは悔し涙が続く。まずは6月の「宮里藍 サントリーレディス」。東京五輪代表争いが激化するなか、2位に4打差をつけて首位で最終日を迎えた。ここまでの3日間はノーボギー。先の明治安田生命を含めこの時すでに5勝を挙げており、誰もが「また稲見が勝つな」というムードだった。
しかし「アイアンショットが荒れた」と、最後に生命線に狂いが生じた。チャンスが来ないどころかボギーが2つと伸ばせず。1打ビハインドで迎えた最終18番で、「途中まで入ったと思った」という8メートルのバーディパットがわずかに外れると、ヒザから崩れ落ち、涙を流して感情をあらわにした。「単独トップで出て負けたのは初めて。自分のミスで負けたのが悔しい」。この敗戦はのちに何度も口にするなど、稲見にとって大きなものとなった。
ここから時は進み、同じく兵庫で行われた「NOBUTA GROUP マスターズGC レディース」。東京五輪に出場し銀メダルを獲得、メジャー制覇を経て女王争いが佳境に入ってきた10月のことだった。賞金総額2億円のビッグトーナメント、マネークイーンへは何としても上位に入りたい大会だ。
だが、発症した腰の痛みは日を経るごとに大きくなっていく。それでも首位と5打差のトータル4アンダー・10位タイで3日目を終えたが、ついに最終日に「朝起きたら動けなかった」とプレーできない状況に。コースを訪れ棄権を申し入れた時には、涙が止まらなかった。
そうして腰痛を抱えたまま賞金ランキング1位で迎えた最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」。2人1組の2サムで回った初日に、女王争いのライバル・古江彩佳に目の前でコースレコードをたたき出されてしまい窮地に立たされるが、稲見も意地を見せて徐々に順位を上げるとライバルはその後伸ばせず停滞。先にホールアウトするとキャディも務めた奥嶋誠昭コーチとともに古江のプレーをモニターでチェック、女王戴冠が決まると8カ月ぶりのうれし涙を流した。
「泣くつもりはなかったんですけど、コーチに目の前で泣かれちゃうと…。こらえきれなかった」と照れ臭そうに理由を明かした稲見。戦いから解放されると、茶目っ気たっぷりに「メイクが落ちちゃった」と話したショットメーカーは長いシーズンを終えてようやく安どした。
貼り付け元 <https://www.alba.co.jp/tour/news/article/no=177879?page=2>
以上、アルバニュース
稲見は、ゴルフ界に大きな貢献をしたと思います。
オリンピック銀メダルは素晴らしかったです。
さらに賞金女王にも輝いた。
後半は体調も悪いながらも粘った。
それを支えた奥嶋コーチも喜びもひ
としおだったと思います。