海と緑とこどもたち HONDA ECOACT

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魚道調査8月31日

2014-09-05 17:55:15 | 石津川

 石津川本川に設置された魚道で調査が行われるとのことで、8月31日、見に行ってきました。場所はJR津久野駅に近い場所なのでどなたでも見に行けます。四手湯井堰と呼ばれる取水堰の端っこに設置されました。ここは跳ね上げ式の取水堰で、現在は使われていませんが、堰板は水平位置でストップしていて、水は滝のように落ちています。魚道の設置された場所は堰板が落とされています。
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魚道下の水中にはボラらしき魚の群れが見えます。
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魚道に近付くにはロープを伝って急坂を降ります。たいへんです。
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魚道のふちにそって網がはられています。
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網の最上部には筒型のトラップがありここに魚が追い込まれる構造になっています。
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魚道の反対側には取水口があります。
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取水口には金属製のふたがあり、閉じられています。また、水面よりやや高く、堰板を完全に跳ね上げた状態でないと水は入らないようです。
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さて、トラップに入った魚の確認です。います!います!
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先端を開いて魚を取り出します。
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魚ではボラの子が最も多く、あとモツゴ、タモロコ、テナガエビ、モクズガニが入っていました。
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周辺の川の中の魚(魚道の上下)も並行して調べられます。採取は投網で行います。ボラがたくさんいました。魚道でつかまったものよりやや大きいようです。魚道をつたってボラが入り込んで育っていることがわかりました。

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今回の網は最近入手されたもので、今年のアユの遡上時期には間に合いませんでしたので来年が楽しみです。ボラの子は乗り越えてきたわけですから、アユも乗り越えられないことはないでしょう。

帰りふだんサギをあまり見ないところでサギが群れているのを見ました。一度捕まったあとの魚は普段と違う行動をするのでしょうか。


ササゴイ登場

2014-07-03 10:38:32 | 石津川

 石津川とはじめて分岐する支流百済川、その分岐点にある落差工には満潮時に潮が乗り越えますが、7月2日は午前に満潮がありました。ここでは落差工を行き来する魚をねらってサギがやってきますが、この日は珍しくササゴイが現れました。餌をさがしているようですが、コサギやアオサギほどうまく採れないようでした。

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百済川落差工の生物たち

2014-06-25 12:00:20 | 石津川

 先に石津川について紹介した記事の中で百済川との分岐にある落差工のことにふれましたが、24日夕方。その落差工での生き物たちのようすについていい写真が撮れました。
 石津川は河口部から約2kmの位置で百済川と分岐します。分岐点すぐには百済川、石津川本川のそれぞれに落差工があります。満潮時には潮がここまで達することがありますが、このところの満潮では百済川の落差工は完全に乗り越えられます。
 6月24日夕方の満潮は堺港のデータで17:58。139cm。潮が落差工の上部に近付くとまず小魚たちが乗り越え始めます。これは16時過ぎごろに目撃できましたが、写真はありません。
 写真は5時過ぎに撮ったもので、完全に潮が落差工を越えています。撮影の前には大型の魚が上流側(右側)に乗り越えてゆく姿が見られました。撮影時は16時25分ごろですが、下流側(左側)への移動の方が盛んです。
 魚をめがけてアオサギやカワウがやってきます。亀も集まってきています。亀は何か食べているらしいのですが、口元が見えませんので何かはよくわかりません。スズキらしき魚がジャンプしました。この魚は一気に落差工を飛び越しました。
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 アオサギがただ立っているだけみたいですが、この前に小魚を捕まえているシーンがありましたので、それを掲載。

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 水かさが増えると小魚がとりにくいのか、川岸の構造物あたりでの漁も
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 カワウの漁場は川の中ですが、アオサギとの間に争いも。
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 ちなみに同じころ石津川本川側の落差工はこんな感じ。百済川側に比べてやや高い。しかし、大型の魚がここを移動する姿はみかけませんでした。
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 百済川には魚たちを誘う何かがあるように思えます。しかし、入り込むと狭い空間でカワウに追い掛け回されるので、逃げ出す・・・ということかもしれません。


石津川沖のシラス丼

2014-06-16 09:59:30 | 石津川

 先日ふとした偶然から岸和田自然資料館のKさんが石津川沖でとれたシラスを入手したとの話を聞き、幸運にもおすそ分けいただくことができました。
 さっそく釜揚げし、どんぶりにしていただくことに。
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おいしかったです。石津川の運んできた栄養で育ったんでしょうね。生態学的に言うと陸域へ回収された栄養塩ということですね。


石津川

2014-06-06 18:22:11 | 石津川

 先日、浜寺水路でウナギシラスを確認しました。大阪湾の漁業について知っている人ならば大阪湾河口域でウナギシラスの漁がおこなわれていることは周知の事実のようですが、今回浜寺水路ではじめて確実なデータを得ることができました。
 さて、ウナギは川を遡ることが知られています。浜寺水路に流れ込む石津川の支流百済川でも堺市の調査などでウナギが確認されていますし、私自身もコサギがウナギらしきものを捕えているところを見たことがあります。また、最近ではアユが石津川で確認されています。川で孵化したアユは海に入りますが、沿岸域で育ったのち、再び川に帰るそうです。
 つまり、浜寺水路は石津川と不可分の関係を持っているわけです。では石津川はどんな川なのか?今回おおよその姿を見るために石津川を遡ってみました。地図の番号は写真の番号です。

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 出発点は石津川と百済川の合流点です。ここには、石津川本川、百済川双方に落差工があります。この落差工はどちらもふだん水が小規模な滝となって落ちていますが、大きな満潮のときには乗り越えることもあります。つまりこの落差工のあたりまでが観潮域といっていいのではないかと思います。
 しかし、このふたつの落差工には大きな違いがあります。百済川側には数羽のコサギが小魚などを待ち受けている姿をよくみかけるのに対し、石津川本川では待ち受けるサギはほとんどみかけません。

写真2 百済川の落差工

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写真3 石津川本川の落差工

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 石津川本川の落差工のほうが高低差が大きい、水たたきの部分が深いなども理由として考えられますが、最大満潮で潮が乗り越えているときでもほとんどサギ類をみかけません。魚などコサギが狙う生物の通過が少ないように思われます。百済川ではこれより上にもコサギなどが見られます。川底の石に藻類?が付着しているのも見えます。百済川では数年前に浄化機能の向上などを目的とした改良がおこなわれました。また、瀬と淵の構造が見られます。

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 石津川本川を遡ります。阪和線に近いところに魚道があります。最近作られたものです。アユの遡上を狙っているようです。

写真4 左隅に階段状の魚道が作られている。
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 百済川合流点の落差工からしばらくは瀬や淵的なものはあまりなく、単調な流れになります。砂州は1か所のみです。

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 毛穴町あたりから砂州がしばしば見られるようになります。ただし、植物はあまりありません。

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 和田川との合流点です。右から来ているのが和田川。

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 石津川は堺市内に源流部のある堺市オリジナルの河川ですが、和田川には光明池からの水が入っています。光明池には槇尾川水系の水が導水されています。また、さきほどの百済川の上流には狭山池からの水が入っているのではないかと思われますが、まだ確かめていません。

 和田川合流点から少し上がったところに、下水処理場からの水が流れ込んでいます。つまり、石津川は堺市内のオリジナル河川ですが、流れ込む水は槇尾川水系や淀川水系からの水も含まれているということです。
写真8
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 ここを過ぎると河川内の植物群落も増えてきます。コサギやカルガモもぽつぽつと見かけるようになります。ヨシ原もあり、オオヨシキリが鳴いているところもあります。ただ、オオヨシキリはヨシだけの群落ではなく、中に樹木があるヨシ群落を好むようです。なお、オオヨシキリは堺市の絶滅危惧種に指定されています。コサギもです。

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写真10 ヨシ原
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 さらに進むと可動堰が2か所見られます。このあたりから農業利水が本格的に行われてるということでしょうか?近くには農地も広がっています。ケリの声が聞けました。
写真11 可動堰(これは使われていない状態。数日後稼働開始。)
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写真13 可動堰(使用中)
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 泉北ニュータウンに入ります。写真14は泉北高速鉄道下の豊田橋から上流を見たところです。
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 妙見川との合流点あたりから河川内は植物群落が圧倒するようになります。川の水は透明度が高くなり、ヨシノボリがコンクリート護岸の上を上る姿も見られます。
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 泉北ニュータウンからさらに奥の昔からの村落のある地域に入るとファブリダムが出現しました。このダムには魚道が併設されています。ダムの貯水は最近のようで、水の中には陸上植物が見られました。
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 ファブリダムの湛水域は400mほど続きます。写真は湛水域の終点付近です。
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 湛水域より上すぐでは河川内にガマやキショウブが見られますが、さらにあがるとみられなくなりました。湛水域より上部はツルヨシが優勢で。ここで見たサギはダイサギでした。

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写真20 ツルヨシ
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 湛水域から上はの川の名前が変わり、法道寺川といいます。法道寺川は最上流部に堺市自然ふれあいの森があります。堺市自然ふれあいの森の用水は最上部にある取水堰から入っていますが、そのあたりは雑木林の中を流れています。さらに上にはゴルフ場があるようですが、この取水堰であがりとしました。
写真21 自然ふれあいの森入口付近の取水堰
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写真22 最奥部の取水堰
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 石津川は環境面ではいくつかに区分できるように思われます。それぞれの区分ごとの課題、水系全体の課題を探求するのも興味深いと思いました。