4月25日 ユニトピアささやま里山活動新年度第1回。この日は田んぼの耕作準備を始め、関連する水路整備や里山林の作業などメニューがいっぱいです。自然面でも春の花をはじめ、さまざまな生き物が確認できました。
水路の作業が行われ、田んぼに水が入ってきました。
そういえば、2月に池で見たヒキガエルなどの卵はどうなったでしょうか?オタマジャクシがたくさん発生しています。
黒くて小さくたくさんいるのがヒキガエルのようです。するとこの大きめのがアカガエルのようです。カエルはあとトノサマガエルの成体を確認しました。
水辺ではシオヤトンボが飛び回っていました。ほかにこの日見たトンボは、クロイトトンボ、ホソミオツネントンボ。春のささやま棚田のトンボは出そろっていました。
トンボ以外の昆虫はキムネクマバチ、ビロードツリアブ、キタキチョウ、コツバメ、ハンミョウ、オオセンチコガネ、ツマキチョウを確認しました。キタキチョウ、ツマキチョウはたくさんいました。昆虫以外の動物としてはニホントカゲ(これも多数)を確認しました。
次に植物ですが、以下に記録したのは主に花の咲いていたものです。
田んぼのまわりの植物は、ミツバツチグリ、セイヨウタンポポ、ムラサキサギゴケ、ノビルを確認しました。田んぼは田土を近隣から導入したので、直近の植物はほかの法面と分けて見ています。
以前からの植物が多いと考えられる法面では、カンサイタンポポ、キウリグサ、トキワハゼ、ジシバリ、ミツバツチグリ、キランソウ、ノミノフスマ、オランダミミナグサ、ミツバツチグリ、タチツボスミレ、オオイヌノフグリ、ムラサキサギゴケを確認しました。これも法面ですが、小屋周りではカキドオシ、トキワハゼ、ミツバツチグリ、オッタチカタバミ、カンサイタンポポ、ハコベ、ノミノツヅリを確認しました。
トキワハゼ
ハコベ
川沿いではタネツケバナ、カキドオシ、キランソウ、ハコベのほか今回初めてイチリンソウを確認しました。これは20年ほど前に行った調査でも確認されておらず、ユニトピア初確認です。大切にしたいと思います。
このほか段々畑ゾーンではスミレ、カンサイタンポポ、ニガナ、ミツバツチグリ、ジシバリ、スズメノヤリなどがありました。
林縁に目を移すと、ヤマツツジが満開です。
里山のサクラ類の代表のひとつウワミズザクラの花も満開でした。
今回特筆したいのは段々畑の東側の林縁にチゴユリが多数見られたことです。この部分はササが茂っていましたが、シカがササを食べ、草刈り後のような明るい林縁になりました。シカの野草に対する食害が問題になっていますが、この部分ではチゴユリの再生に貢献したといえるかもしれません。ユニトピアでは冬の期間の食害が大きく、猟期あけの春の植物は比較的花が見られるのではないかとふと思いました。
周辺林に入ってみます。
入口のアベマキは萌芽が成長しています。
採草や柴刈をする予定の場所です。
林床に見られる芽生えや若木としては、ヒサカキ、ヤブニッケイ、コバノガマズミ、フジ、スギ、テイカカズラ、ソヨゴ、ヒイラギ、ナツハゼ、マメツゲ、ササ、サルトリイバラ、サクラ類、アベマキ、アセビ、サカキ、ウスノキがありました。全体に常緑のものが多く、アベマキは少しだけでした。
里山再生地区を離れて、隣の旧棚田を見に行きました。ここもヒキガエルが多数産卵していた場所です。
くろくちいさなオタマジャクシが群れている湿地ではサワオグルマが見事に咲いていました。
周辺の山ではヤマブキや咲きかけのコバノガマズミが見られます。
さきほどイチリンソウを見ましたが、別のところにはニリンソウも見られます。ここにしかないので大事にしたい場所です。
園内でもうひとつ気になっているものがありました。それは、キツネノカミソリです。2013年に確認しましたが、翌年はみかけませんでした。前年秋の水害で流されたものと想像しましたが、今回よく見るとキツネノカミソリと思しき葉がみつかりました。シカに食害されています。よもやキツネノカミソリは食べないのではと思っていましたが、見られなくなったのはシカの食害が原因かもしれません。ここを食害防止柵で囲んでみたら復活するだろうかと思いました。次の写真のうち1枚目は2013年、2枚目は今年。3枚目はそこで今年見られたキツネノカミソリ?の葉です。
他にも気になる群落があります。カンゾウ(ヤブ?)みたいですが、まだ園内でカンゾウの花を見たことがありません。
シカ食害対策は急務です。今年こそ米つくりを成功させようとフェンスが厳重になりました。
里山再生地区の小屋には絶滅危惧種の両生類を紹介するパネルも設置されました。