先日、枚方いきもの調査会の10周年記念行事でも紹介した本です。
著者は水産関係の研究者、放流魚を守る立場からいやいやながらカワウの研究に携わるが、ダイバーには見えない濁り水の中でも魚を捕れる、漁師がみつけられないフナの群れをみつけるなどカワウの卓越した能力に感嘆し、敬意をいだくようになる。もちろん、そもそもの仕事は水産被害対策なので、被害も最小限にとどまるようにきっちり対策はしつつも生物多様性の理念も踏まえてカワウを滅ぼそうとはしない。さらに考えは進んで、蛇行など川の自然らしさを回復することがカワウといろいろな生物が共存するために大事との考えに至る。
私はもちろん鳥の保護を前提に考える立場ですが、絶対保護でも絶対駆除でもない視点で冷静にものを考えるというこの本の著者の姿勢には共感をもてます。
水産コーナーに並んでいるのでナチュラリストには目がとまりにくいかもしれませんが、一度読んでみてください。
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