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帯とけの枕草子〔四十五〕おのこは
言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」のみ。「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。
清少納言 枕草子〔四十五〕おのこは
おのこは又ずいじんこそあめれ、いみじうびびしうておかしき君だちも、ずいじんなきは、いとしらじらし。
弁などは、いとおかしきつかさに思いひたれど、したかさねのしりみじかくて、ずいじんのなきぞいとわろきや。
文の清げな姿
男は、やはり隨身(警護官)でしょう。とっても優雅な格好いい君達も、隨身(警護)が付かないのは、まったく興ざめよ。
弁(太政官の事務官)などは、とってもいい官職と思っていたけど、下襲の裾(後ろに長く伸ばしたすそ)短くて、隨身のないのは、ひどく格好わるいのでは。
心におかしきところ
おとこは、また付随の身でしょう。とっても優雅な格好いい君達も、寄り添う芯がないのは、まったく興ざめよ。
弁(太政官の事務官)などは、とってもいい官職と思っていたけど、下かさねの後が短くて、寄り添いゆく心のないのは、ひどくわるいのでは。
言の戯れと言の心
「おのこ…男子…男の子の君…おとこ」「又…やはり…股」「隨身…要人に随時付随する警護兵…男の身に付随したもの…女の身に随伴するもの…随時寄り添うもの」「身…しん…芯…心」「弁…弁官…宣旨や行政の文書を取り扱う大中小弁の総称…弁舌巧み…口達者」「したがさねのしり…下襲の裾…下かさねの後…後技」。
枕草子は、おとなの女のための、おとなの女の随想を記した文芸で、それに相応しい「心におかしきところ」が添えてある。
伝授 清原のおうな
聞書 かき人しらず (2015・8月、改定しました)
枕草子の原文は、岩波書店 新 日本古典文学大系 枕草子による。