帯とけの古典文芸

和歌を中心とした日本の古典文芸の清よげな姿と心におかしきところを紐解く。深い心があれば自ずからとける。

帯とけの枕草子〔四十五〕おのこは

2011-04-15 00:09:22 | 古典

 



                      帯とけの枕草子〔四十五〕おのこは



 言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」のみ。「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。



 清少納言 枕草子〔四十五〕おのこは

  おのこは又ずいじんこそあめれ、いみじうびびしうておかしき君だちも、ずいじんなきは、いとしらじらし。
 
弁などは、いとおかしきつかさに思いひたれど、したかさねのしりみじかくて、ずいじんのなきぞいとわろきや。

 文の清げな姿 

男は、やはり隨身(警護官)でしょう。とっても優雅な格好いい君達も、隨身(警護)が付かないのは、まったく興ざめよ。

弁(太政官の事務官)などは、とってもいい官職と思っていたけど、下襲の裾(後ろに長く伸ばしたすそ)短くて、隨身のないのは、ひどく格好わるいのでは。

 心におかしきところ
 おとこは、また付随の身でしょう。とっても優雅な格好いい君達も、寄り添う芯がないのは、まったく興ざめよ。

弁(太政官の事務官)などは、とってもいい官職と思っていたけど、下かさねの後が短くて、寄り添いゆく心のないのは、ひどくわるいのでは。

 

 言の戯れと言の心

「おのこ…男子…男の子の君…おとこ」「又…やはり…股」「隨身…要人に随時付随する警護兵…男の身に付随したもの…女の身に随伴するもの…随時寄り添うもの」「身…しん…芯…心」「弁…弁官…宣旨や行政の文書を取り扱う大中小弁の総称…弁舌巧み…口達者」「したがさねのしり…下襲の裾…下かさねの後…後技」。



 枕草子は、おとなの女のための、おとなの女の随想を記した文芸で、それに相応しい「心におかしきところ」が添えてある。



 伝授 清原のおうな

聞書  かき人しらず   (2015・8月、改定しました)


  枕草子の原文は、岩波書店  新 日本古典文学大系 枕草子による。