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帯とけの枕草子〔四十八〕うしは・〔四十九〕ねこは
言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」のみ。「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。
清少納言 枕草子〔四十八〕うしは
うしは、ひたいは、いとちひさくしろみたるが、はらのしたあし尾のすぢなどは、やがてしろき(牛は、額はとっても小さく白んでいるのが、腹の下、足、尾の毛筋など、そのまま白くなっているの・趣がある……憂しは、突き出た部分はとっても小さくて、白んでいる腹の下悪し、おの性分は、すぐ白ける)。
言の戯れと言の心
「うし…牛…憂し…うっとしい…つらい」「ひたい…額…突き出た部分…おでこ…おとこ」「はらのしたあし尾のすぢなど…腹の下、足、尾の毛筋など…腹の下悪しおとこのすじ」「すじ…筋…素性…性分…性質」「やがて…そのまんま…すぐに」「白…おとこの色…ことの果て…白い粉飾」。
清少納言 枕草子〔四十九〕ねこは
ねこは、うへのかぎりくろくて、はらいとしろき(猫は上だけが黒くて腹は真っ白いのが・かわいい……ね子は、うわべだけ強そうな色で、はらはとっても白々しい)。
言の戯れと言の心
「ねこ…猫…根子…寝子…伏しているおとこ」「黒…強い色」「腹…心のうち…本心…本性」「しろき…しらけた…果てた…興ざめな」。
枕草子は、子どもの作文ではない。おとなの女のための文芸として「をかし」と読むには、われわれと「聞き耳」を同じくすればいい。
今では、「うし」や「ねこ」という言葉から、「憂し」や「寝子」などという意味は、変換候補から排除される。それは近代人の合理的な理性の所為だから、過ちと考える人はいないので、残念ながら、改まることは無いでしょう。
伝授 清原のおうな
聞書 かき人しらず (2015・8月、改定しました)
枕草子の原文は、新 日本古典文学大系 枕草子 (岩波書店)による