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帯とけの枕草子〔五十一〕小舎人童
言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」のみ。「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。
清少納言 枕草子〔五十一〕ことねりわらは
ことねりわらは、ちいさくて髪いとうるはしきが、すぢさはらかに、すこし色なるが、声おかしうて、かしこまりて物などいひたるぞ、らうらうじき。
文の清げな姿
小舎人童、小さくて髪とっても麗しいのが、毛筋さらさらとしていて、少し色気のある声が感じよく、畏まってもの言いっているのは、上品で愛らしい。
心におかしきところ
こと煉り子の君、小さくて下見とっても麗しいのが、性質さわやかで、少し色づいてるのが、小枝感じよくて、堅くなって情け交わしているよ、巧みなこと。
言の戯れを知り、言の心を心得ましょう。
「ことねりわらは…舎人所で使われている童子…男どもの連れているわらは…おとこ」「小舎人…殿上の雑務をする役人」「こ…子…おとこ」「と…門…女」「ねり…練り…ゆっくりゆっくりあゆむ…入念に行う」「わらは…童…おとこ」「すぢ…筋…血筋…技の質…性質」「さはらか…すっきりしている…雑多ではない」「ものいふ…言葉をかける…言葉を交わす…情けを交わす」「らうらうじき…可愛い…洗練された感じ…経験豊富で巧みな感じ」。
枕草子は、おとなの女のための文芸。もののわかる大人には「いとをかし」と読めるような、「心におかしきところ」が添えてある。
伝授 清原のおうな
聞書 かき人しらず (2015・8月、改定しました)
枕草子の原文は、新 日本古典文学大系 枕草子(岩波書店)による。