空の道を散歩

私の「仏道をならふ」の記

まとめて映画のこと

2011-03-07 22:07:29 | 映画

 シルバー料金で映画を見られるようになって、よく映画に行くようになった。

 平日の昼間は、私と同世代の中高年が多い。料金が安いのと、時間ができたせいでもあるが、テレビ漬けになる前に映画の洗礼を受けて、映画の面白さを知っている世代なので、せっせと映画館に足を運ぶのではないだろうか。

 両親の介護が始まってからは、映画は絶好の気分転換になるので、昨年から今年にかけて、立て続けに見た。ブログに書かなかったもので、印象に残った映画を羅列してみると、「幸福の雨傘」「愛する人」「ハーブ&ドロシー」「ヤコブへの手紙」「ノーウェアボーイ」など。

 先日は、中国映画「再会の食卓」を見ようと出かけたが、間違えて別の映画館に行ってしまった。ちょうど10分後に、コーエン兄弟監督の「シリアスマン」が上映されるとのことだったので、まっ、いいかとそのまま入場。

 おもしろかった。コーエン兄弟が生まれ育ったユダヤ人コミュニティーの描き方や、登場人物のセリフ、スピーディーな展開、どれもコーエン兄弟の才能が感じられた。アカデミー賞を取った「ノーカントリー」の方が好きな作品だが、「シリアスマン」もなかなかいい。

 コーエン兄弟の映画は、ほかのハリウッド映画と違って、監督が作りたい映画を作っているという感じがする。スリラー映画なのにどこかおかしくて、残酷な場面なのにどこか神話的あるいは寓話的。

 週末は自宅のテレビで、偶然放送されていた映画を見た。先週はロミー・シュナイダーの「プリンセス・シシー」3部作、今週はジュリー・デルピーの「恋人たちの2日間」。

 ロミー・シュナイダーは、少女時代、テレビ名画座で「制服の処女」を見て以来、憧れの女優だ。

 アラン・ドロンとの婚約解消以後、彼女の実人生は不幸が続き、最愛の息子の事故死、自らは睡眠薬の大量服用で43歳の若さで亡くなった。遺作となった「サン・スーシの女」は、彼女の悲劇的な死の影があらゆる場面に漂っているような映画だった。

 皇妃エリザベートを描いた「プリンセス・シシー」は、ロミーの若き日の作品で、その輝くような美しさには微塵の陰りもない。それが、却って痛々しく感じられる。

 「恋人たちの2日間」は、題名も出演者も分からないまま見ていた。内容が「恋人までの距離〈ディスタンス〉」に似ているなあと思ったら、「ディスタンス」に出ていたジュリー・デルピーが監督・脚本・主役を務めていた。

 「ディスタンス」は原題が「Before Sunrise」。続編の「Before Sunset」とともに、ジュリー・デルピーとイーサン・ホークが恋人同士を演じていて、日の出まで、あるいは日没までの短い時間に街を歩き回り、二人の会話だけで成り立っているような映画だ。その二人のセリフがすごくいい。

 「恋人たちの2日間」も、登場人物は多いけれども、フランス女とアメリカ男の恋人たちの会話を中心に、いろいろな人物との間にやりとりされる会話が、とてもおもしろかった。

 恋人同士の会話、家族との会話、別れた男との会話、タクシーの運転手との会話などをとおして、現代のフランス社会、男女、家族のあり方、フランスとアメリカ文化の違いなどが描かれている。脚本を書いたジュリー・デルピーはすごいと思う。

 映画って、やっぱりおもしろい!