オカンとワンコ

過去と他人は変えられない 自分と未来は変えられる

「踏んでもいい女」

2021年11月17日 07時57分01秒 | 読書
斉木香津著「踏んでもいい女」読了です。
著者は大分県生まれ。

昭和19年、19歳の主人公は見栄えのしない容姿は自分でも分かっている。
ある日、お見合いをするのだが相手の男性は見合いとは知らされておらず、
主人公をいっさい顧みることなく、さっさと席を立ってしまう。
母にも姉にも近所のオバサンにも粗略な扱いを受けている彼女は思う。
道端の雑草は踏みつけられてもキレイな花は避けて通る。
人並み以下の容姿の自分は踏まれてもいい女なのか?と。

男性には心に思う人がいたらしい。
その女性と知り合って、短時間だけ家事を手伝うことになる主人公。
戦時下の物資不足で国民は窮乏しているのに、
その女性の家には様々な物資が山と積まれている。
そして皆は国民服やモンペで暮らしておるのに、
女性は日々オシャレな服に身を包んでいる。
なぜここにはこんなに物資が?
いったい彼女とその夫は何者なのか?
女性の暮らしに反発しながらも気付かぬうちに惹かれている主人公。

女性が何者かは最後に明かされるのだけどね。

人の問にすぐに答えられず一見グズに見えるけど、
頭の中では問いに対する答えが様々に浮かんでいる主人公なのです。
なんだかさ、オカンの子供時代を思い出す場面です。
そんな子供だっただよね(と、遠い目)