規則だから。
守るしかない。
そういった内容も世の中にはあります。
不足しているものがあります。
「なぜその規則が作られなければならなかったのか。」
規則が作られた理由や背景を
説明する側も規則を守る側も分かることにより
適切な行動を取ることができます。
もし規則が実態と沿わない場合でも
規則ができた背景が分かれば、
自分の置かれた状態が分かれば、
イレギュラー処理もできます。
しかしながら現実は、
「規則だから。。。。」
これでは何の進歩もありません。
航空ファンとしては以下の事例があります。
焼津市上空でニアミスが起きた事故です。
※本ブログ既出
本来ならばTCAS(空中衝突防止装置)に従うのが常ですが、
TCASの指示とは反対に747-400D側は操縦桿を思い切り倒しています。
重軽傷者は出たのもの、
空中衝突という大惨事は避けました。
ここからは推測があります。
事実に完全に即しているかは分かりませんと前置きします。
当時の規則ではTCAS最優先ではありませんでした。
また両機とも降下中です。
降下中はエンジン出力を絞ります。
エンジン出力を高めた状態で降下すると
速度超過に陥りやすいためです。
※当時エンジン出力を若干高めた状態で、
スポイラー等で減速しながら降下していた可能性もあります。
速度超過を起こすと、
翼面から気流は剥離します。
気流が剥離を起こすと十分な揚力を得ることができません。
それ以上の速度超過になると振動が起き、
機体の破壊に至る恐れもあります。
さて仮にエンジン出力を絞った状態で、
操縦桿を引き上げると「失速」に至る可能性があります。
ではエンジンの出力上昇はすぐにできるかというと、
直径2mほどのエンジンの出力を上げるには数秒の時間を要します。
慣性モーメントというものです。
回っているものは回り続けようとし、
止まっているものは止まり続けようとします。
ですからとっさの判断になりますが、
操縦桿を押し倒して、
急速な降下を掛けるというのは、
衝突防止という観点からして
結果論ですが、間違っていたかどうかは分からないと思われます。
無論事故ですから複合要因ですが。