ゴルフの空(GET Golf Academy 主宰 松村公美子のブログです)

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江國香織さんの小説を読んで…

2010年03月10日 | 読書 ・鑑賞・観劇録
何故だか江國香織さんの小説を一度読んでみたくなって、『ウエハースの椅子』を読んだ。
『ウエハースの椅子』を選んだのは、色々と見た中で、比較的、最近、文庫になった本だったため。
危うくて、物憂げで、切ない小説だった。

小説の主人公である”私”は、妹との電話で、次のような会話をする…。
「道があると思うことがそもそも錯覚なのよ。人生は荒野なんだから」と”私”。
「でも、けもの道はあるのよ。みんなが通って自然についた、少し歩きやすい道がちゃんとあるのよ」と、妹。
でも、せっかくけものに生まれたのなら、自分でけもの道をつけたいと、”私”は思う。

この箇所を読んで、高村光太郎さんの『道程』の中の一節、「僕の前に道はない 僕の後ろに道はできる」を連想した。

また、茂木健一郎さんの著書の中にあった”最初のペンギン”も連想した。
ペンギンは面白い生態を持っていて、最初のペンギンが海に飛び込むまで、他のペンギンは、もじもじして、なかなか飛び込もうとしない。
何故か?
海には餌になる魚もいるかもしれないけれど、同時に天敵もいるかもしれないから。
それで、最初のペンギンが海に入って安全なことが確認できれば、せき切ったように、他のペンギンたちも次々と海に飛び込むらしい。

他の誰かが切り拓いてくれた道を、後から続くことは、荒野の全く道なき道を歩こうとするより、少し歩きやすいかもしれない。
”最初のペンギン”となるペンギンは、もしかすると天敵に襲われてしまうかもしれない恐怖を抱きながら、勇気を振り絞っているかもしれない。

『ウエハースの椅子』の主人公の”私”のように、自分でけもの道をつけたいと思うかどうか?
「僕の前に道はない、僕の後ろに道はできる」と、そんな思いでいられるかどうか?
”最初のペンギン”になれる勇気が有るかどうか?

前例が無いとか、誰もやったことが無いからとか、そういうことにとらわれずに、自分がやろうとか、やってみたいと思ったことには、果敢にチャレンジする。
道なき道を歩もうとする。

江國香織さんも、高村光太郎さんも、茂木健一郎さんも、そういう心意気の持った人なんだろうな…と思った。

そして、江國さんの小説を読むのは初めてだったけれど、もう1冊くらい読んでみようかなって思った。

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