阿部ブログ

日々思うこと

イノベーション・ハブ『革新的繊維・繊維製品製造イノベーション機構』が立上がる

2016年05月26日 | 雑感
MITが中心となって『革新的繊維・繊維製品製造イノベーション機構』(New Revolutionary Fibers and Textiles Manufacturing Innovation Hub )が立ち上がる。
このイノベーションハブは、オバマ政権が助成する8番目のハブで、極めて軽量かつ耐火性がありながら、相当程度の強度がありセンサーが組み込みが可能なものなど画期的な繊維素材を開発する。この新たな特性を備えた革新的繊維素材開発に7,500万ドルの連邦資金と、それ以外の約2億5,000万ドルの投資金が投入される。
イノベーション・ハブは、15ヶ所が全米に設立され、製造イノベーション全米ネットワーク(NNMI)を構築する。この為、連邦政府は総額6億ドル、産業界、大学や州政府から12億ドルの資金が用意されている。

『革新的繊維・繊維製品製造イノベーション機構』では、高熱の炎に耐える消防士の防護具の製造、軽量繊維組織中へのスマートウォッチのセンシング機能を組み込み抗菌剤治療を必要としている負傷兵の検知を可能にするなど将に革新的な繊維素材と製品を開発することになる。

(1)Advanced materials manufacturing: designer materials that are “born ready” for specific next-generation products, approaching atomic precision at kilogram scales
(2)Bio-manufacturing for regenerative medicine: repairing and replacing cells, tissues, and organs that might one day lead to 3D-printed organs
(3)Continuous manufacturing for pharmaceuticals: uninterrupted production enabling greater quality, yield, and flexibility toward personalized medicine

米国の先進製造に関する詳細は、下記を参照されるとよい。
Advanced Manufacturing: A Snapshot of Priority Technology Areas Across the Federal Government

GPSを活用した送電システム革命の可能性

2016年05月18日 | 雑感
最近、電力システムを根本から変えてしまう可能性のある技術が開発された。この技術は電力をインターネットのようにパケット(小包)にして送電し、GPSの信号を利用して電力システム全体を制御する技術である。
インターネット登場以前の通信システムは、アナログ通信と呼ばれる方式で、音声やデータを電気的な波形に変換して送信していた。インターネットは、これを様々な通信ルートを経由して通信できるように柔軟性を持たせる為、送信データを細切れにして送る技術を確立した。これが前述のパケットである。パケットには、送り先が分かるように「荷札」(送り先の住所が書かれている)に相当する情報を付けて送信され、様々な経路を通って確実に送り先に送り届けられる。今の電力システムも交流と言う連続した「波」で送電しており、アナログ通信と考え方は同じである。これをインターネットと同様に電力をパケット化して送電する技術開発が1990年代から行われてきた。しかし、送電ネットワークの中継装置などにおいて電力パケット同士が衝突する可能性がある。インターネットにおいては、衝突して失われたパケットは再送信するだけで良いが、電力パケットの場合は、中継装置などが破損し停電となる。この問題を解決する為の研究が日本や欧米で行われて来たが抜本的な解決には至っていなかった。
この電力パケット衝突問題を抜本的に解決する技術が、大阪市立大学において開発された。これは、電力システムに接続されている電力ルーター、中継装置などの機器をGPS信号により時刻同期させ、かつパケットを制御するアルゴリズムにより、パケット衝突を回避する技術である。(※GPS信号には原子時計の時刻情報(3000万年に誤差1秒)が含まれる)
このように電力をパケット化して送電・制御できるようになると、風力や太陽光発電の導入で問題となる周波数変動問題を回避することができることから、 今まで以上の再生可能エネルギー導入が可能となる。また電力小売自由化により、希望する電力会社が発電する電力(電力パケット)を選択して購入出来るようになる等、電力システム全体の効率化と最適化が可能となる。将来的にこの技術が導入されると電気エネルギーに大きく依存する現在の社会システムのあり姿を変貌させる可能性が高いことから、今後の技術動向には十分な注意が必要である。

凝縮系核反応の研究開発動向に注目~次世代のエネルギー源

2016年05月18日 | 雑感
今年4月、東北大学の電子光理学研究センターに「凝縮系核反応共同研究部門」が設立された。この研究部門設立の背景には、内閣府の「革新的研究開発推進プログラム」(ImPACT)のプログラムである「核変換による高レベル放射性廃棄物の大幅な低減・資源化」のフィージビリティ・スタディの一つに選定された事がある。高レベル放射性廃棄物は、10万年以上、生物界から隔離する必要があり、原子力の負の遺産であるが、凝縮核反応がこれを低減化する可能性があるとして期待されている。
凝縮系核反応とは、固体のように原子や電子が多数集積した状態で元素が別の元素に変換する現象を言う。凝縮系と言う言葉は「固体」を意味し凝縮系核反応は別名「固体内核反応」とも言われている。通常、元素変換を行うには、原子炉や加速器が必要だが、凝縮系核反応の研究開発は、比較的簡単な装置で行える利点がある。元素変換は、太陽内部において水素同士が融合してヘリウムに変換しており身近な物理現象である。この元素転換の際には莫大なエネルギーを生んでいるのはよく知られているが、この凝縮系核反応においても、過剰な熱エネルギーの発生が観測されており、新たなエネルギー源として研究が行われている。2009年には米海軍(Space and Naval Warfare Systems Command:SPAWAR)やNASAが研究を始め、2012年にはミズーリー大学、2015年にはテキサス工科大学が凝縮系核反応の研究センターを開設している。既に欧米ではベンチャー企業が試作品の開発に着手している。
しかし、凝縮系核反応の研究を現在まで主導してきたのは日本である。特に三菱重工の「パラジウム多層膜による核変換」現象の発見は、世界の注目を集めた。東北大学の凝縮系核反応共同研究部門には三菱重工で核変換技術の研究に携わってきた岩村康弘氏が特任教授で参画し、凝縮系核反応のメカニズムと熱利用、放射性廃棄物の低減化についての研究を開始した。凝縮系核反応は「試験管の中の太陽」とも言われ核変換によって生じる熱を利用した次世代クリーンエネルギーとして期待され豊田中央研究所など民間での研究も行われてはいる。しかし、日本は基礎研究では世界最高レベルにあると評価されることが多いが、研究成果の商業化には失敗する確率が高いと指摘されている。だが、凝縮系核反応のエネルギー利用については、確実にビジネスとして成功させる為、産官学の緊密な連携のもと、継続的かつ長期的な投資を可能とするオールジャパン体制での取組が重要である。

ロシアに対抗するNATO

2016年05月17日 | 雑感
ロシア海軍のフリゲート艦Admiral Grigorovichがバルト海から大西洋に向けて移動する中、英海軍のフリゲート艦HMS Iron Duke随伴監視を行った。 監視は、バルト海からデンマーク沖の北海まで。その後は、同英海軍フリゲート艦HMS Sutherland引き継監視を継続した。今回の随伴監視には、オランダ海軍のHNLMS Rotterdamとベルギー海軍BNS Castorも参加している。
既報の通り、バルト三国でのNATO軍によるスクランブル&哨戒監視が行われているが、エストニアの Amari空軍基地に展開するイギリス空軍のタイフーン戦闘機が、ロシア軍の輸送機に対しスクランブルを行っている。エストニア領空に接近したアントノフ26とアントノフ12、イリューシン76の3機編隊で、防空識別レーダーの問い合わせに応じなかったことからスクランブルと相成ったもの。今後、スクランブルは増加するだろう。
ロシア空軍の動向に敏感なポーランド軍は、防空監視機と洋上哨戒機を調達する意向を示している。それぞれ3機を調達し実戦配備したいところだが、実際に投入されるのは2026年以降となりそうだ。
それと、北欧諸国もロシアの軍事力に警戒を強めているが、ようやくフィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク 4ヶ国共同で、軍事装備品の調達を行う契約に調印した。Nordic Joint Procurement Agreementと呼ばれるもの。

米軍も対ロシア包囲網を着々と準備中だ。米海軍第 6 艦隊は、European Phased Adaptive Approachのフェーズ IIとなるAegis Ashore Missile Defense Systemが作戦可能となった。当該システムは、ルーマニアのDeveseluに配置され、開所式には、米ワーク国防副長官、NATOのスト流転バーグ事務局長、ルーマニアのシオロス首相らが出席。米軍とNATOは防衛施設だと主張しているが、ロシアはこれを認めていない。
また、米軍と英軍は、ジョージア (旧グルジア)軍がと合同演習 "Noble Partner 16"を開始。参加兵力はそれぞれ米500名、英650名、ジョージア150名で、主としてジョージア陸軍歩兵部隊に対する訓練と、防衛力強化が目的。この演習を期にファロン英国防相とジョージアのキビリカシュビリ首相と会談を行い、両国の軍事的協力関係の強化について声明を出している。これもロシア包囲網の一環である。

ロシアの対抗策は如何に。

NATOに対抗するロシア軍

2016年05月05日 | 雑感
既報の通り、バルト三国や東欧でNATOが、対ロシアの戦力強化&監視を強めている。
そんな中、イギリスは、空中管制機E-3D センチュリーAEW×1機をNATOの空中管制部隊(Airborne Warning And Control System:AWACS)に提供し、東欧での警戒飛行任務を行う事となった。既にGeilenkirchen空軍基地には、E-3A×16機が配備され任務遂行中である。
苛立つロシアの国防相は、ロシア西部・南部国境地域におけるNATO軍の戦力増強に対処するため、西部と南部に陸軍3個旅団を新規に配備するとしている。また、親ロシアのベラルーシがロシアからS-300 PS地対空ミサイルの4個の防空連隊の配備が完了することになった。これら防空連隊は、Polotsk地区に第377防空連隊ともう1連隊を配備し、Grodno地区とBrest地区にそれぞれ1連隊が配置につく。この防空システムは、リトアニアとポーランドにとっては脅威であるし、ロシアの飛び地であるカリーニングラードの防空システムとの連携により両国空軍の活動を抑止&制限することになる。

毛沢東を巡る数祕~8341部隊と9月9日

2016年05月04日 | 日記

中国共産党中央弁公庁警衛局中央警衛団は、61889部隊として知られる中国共産党幹部が住む中南海を警備する部隊だが、本当は8341部隊なのだ。それは毛沢東を直接警備・警衛する部隊が8341部隊。
有名なことだが、8341には数祕があり、83は毛沢東の寿命で41は権力の座にある期間を示している。これはとある高僧から示されたものだが、この数祕を知るのは周恩来と葉剣英など数名だったという。そして8341部隊は所謂「禁衛軍」なのだ。敗戦した後、日本軍が解体され皇居を防衛する近衛連隊も解体された為、宮城と天皇を守る為に「禁衛府」が編成されたことは、余り知られていない。禁衛府は、昭和20年9月20日に創設され、昭和21年3月末には解体されている。禁衛府を知る人は殆どいない。

脱線したが、1993年10月、中国は人工衛星を打ち上げた際「8341」と刻印されたコインが搭載されていたと云われている。
8341も良いが、毛沢東の因縁は9月9日にある。毛沢東は、1927年湖南省で秋収蜂起し井岡山に篭ったのが9月9日。日本降伏後の国共内戦を経て北京城に入城したは1949年9月9日。そして、83歳の生涯を閉じたのが、1976年9月9日。
毛沢東は9.9に支配された人生であった。まあ、世の中には9.11とか3.11とか数祕にこだわる一群の人々がいる。

オランダとベルギー政府がヨード剤を配布~これからの原発事故を見据えた措置

2016年05月02日 | 雑感
ベルギー政府は、ワロンとフランダースにある原発事故を想定した結果、ヨード剤を100キロ圏内に住む住民の全てに配布する措置をとる。
オランダ政府もヨード剤の配布を進めている。オランダで稼動している原発はボルセレ原発だが、原発事故に際して影響はオランダ全域に及ぶと評価した。これはベルギーも同じ。ヨード錠剤は隣国ドイツのエムスランド原発、ベルギーのドゥル原発、チアンジ原発に隣接した地域に暮らすオランダ市民にも配布される。
これから起きる欧州での原発事故のささやかなる準備だ。