阿部ブログ

日々思うこと

中国の防空識別圏設定に対しては、軍事的エスカレーションで対応

2013年11月25日 | 雑感
三中全会が終了した中国が、尖閣諸島を含む東シナ海上空に自国の防空識別圏 (ADIZ:Air Defense Identification Zone)を設定すると発表。国内の不満の捌け口として尖閣問題のエスカレーションを準備。米軍は当該地域には口先介入はするものの情報収集&偵察部隊は展開するものの、実戦部隊は投入しない。中国側は米軍の軍事的介入がないことを利用。日米同盟云々はどうでも良く、日本政府は米軍抜きで尖閣防衛をやり遂げなければならない。
戦後初の軍事衝突しかねない状況に政府・自衛隊は対処できるか? 
ここでビビって軍事的な実戦対応を行わないと、日本政府に統治能力が無い事が内外に露呈する。だから挑発し進出してくる敵に対しては断固たる攻撃的対処しかない。そうしないと韓国も軍事的に弱腰の日本に挑戦してくる。
日本政府がやるべきことは、尖閣諸島の恒久的警備施設建設と防空基地化を発表し、領土防衛の国家意志を行動で示すこと。サッサとパトリオット部隊と陸上部隊を上陸させる防衛網を構築することが肝要。引き金に手をかけたのは中国だから、今だったら出来る。これはチャンスだと思うが。
そして、
(1)P-3C対戦哨戒機を武装哨戒と戦闘機支援
(2)宮古島の下地島空港を国有化し、航空自衛隊F-15×2個飛行隊とAWACSの前方配備
(3)石垣島に海上自衛隊基地を整備とイージス艦配備
(4)潜水艦隊の西南配備強化
(5)尖閣防衛用の護衛艦隊の編制・配備
(6)台湾との国交を回復させ、将来的には正常化させるとの声明
(7)インドとの原子力&軍事同盟強化
(8)ロシア、北朝鮮との平和条約締結に向けて外交攻勢
(9)仏教、回教など宗教勢力や辺境部族への経済支援
(10)中央アジアにおける虚実様々な活動

軍事衝突覚悟で、現状戦力で出来ることは全て、日本単独でやり抜くこと。そして中国の出方を見る。今はエスカレーションしか手はない。しかし、尖閣諸島に海空部隊を集中させすぎないこと。
しかし、尖閣問題を突き詰めていくと、最終的には、中国は核武装国であることの意味の重さを知るだろう。核の脅しで尖閣諸島を中国に施政権を委譲する可能性はある。核の傘なんて幻想だから~
結局、尖閣問題の先鋭化で、日本政府は単独での領土防衛可能な軍事力の必要性を感じる事になると、核武装のオプションは現実味を増すことになる。まあ、原発が止まっている今が本格的に核武装する最適な時期もともいえる。
中国は日本の核武装を嫌がるだろうな。米中両国で核武装阻止に動くのは間違いないが、でも今の中国の出方じゃ仕方がない。

さて、中国が設定したADIZは、11月23日から既に発効している。勿論、ADIZを担当するのは人民解放軍で、ADIZの設定と同時に、下記5点の対応を示している。

・中国航空管制当局への飛行計画書提出
・中国航空管制当局との双方向の無線通信維持、及び識別の誰何(すいか)に対する迅速かつ適切な応答
・二次レーダー用のトランスポンダーを搭載している場合、飛行経路全体を通じてトランスポンダーの作動を維持
・国籍識別のための機体標示を実施
・新たに設定した尖閣識別圏内の航空機については、防御的緊急措置

これに対して Chuck Hagel米国防長官と、John Kelly米国務長官が懸念を表明。
中国による防空識別圏設定に関するケリー国務長官の声明

中国による防空識別圏設定に関するヘーゲル国防長官の声明

キャロライン・ケネディ大使の着任直後で、JFKの暗殺1日前と言うタイミングでの中国のこの対応・・・

小泉純一郎氏の脱原発とパワーシフト

2013年11月03日 | 雑感
最近、小泉純一郎氏の脱原発発言が注目を集めている。この背景には何があるのだろうか?
今年8月にフィンランド視察を行い、到底「使用済み核廃棄物」は人類の手に負えないと再認識した事もあるだろう。
しかし、小泉さんの言動の背景には、脱原発を可能とする環境変化を見据えてのものだ。
つまり、安部政権以後の政治環境を予見しての行動である。流石、機を見るに敏とはこの事だ。
2016年7月の選挙で、政治状況が一変する匂いがプンプンするが、小泉さんは今の時点で「勝負あり」と言う事で、今までのスタンスを完全に変えた。

2013年11月の今、既に消費税UPが決まり、親日国で地震国でもあるトルコに原発輸出をしつつ、国内では着々と原発再稼動に向けて動いている。
また既定路線通りにTPPに参加し、憲法96条改正に向けて雪崩れ込む。そしてアベノミクスも単なる金融緩和だから、いずれ失速する。
日本国内は金融経済状況が激変する中、既得権益が毀損し様々な混乱が国内に生ずる。このタイミングで北東アジアには軍事的緊張が生起しエスカレートする。
この軍事的な事件は、憲法9条改正の環境を生むが、経済利権を失った皆さん、低所得層や若者など浮動層の意識を完全に変貌させる。
国民の政治意識の変化は、単純なものではないだろう。多分、国家と言う概念自体が??となり、コミュニティ、生活者としての共生意識が強くなり大衆の行動が変わる。

さて、2016年に政権を奪取するのは?

こんな事を考えている中、チャルマーズ・ジョンソンの『ゾルゲ事件とは何か』を読んだ。
チャルマーズ・ジョンソンと言えば『日本の奇跡と通産省』だが、『ゾルゲ事件とは何か』と言う著書があったとは意外だったから即購入。
この本の主人公は、ゾルゲではなく、尾崎秀実が主人公。一般的なゾルゲ物とはかなり毛色の変わった著作。

尾崎さんが生きた昭和初期は、大恐慌の影響などで国民の過半が農民で困窮を極めていた時代。そんな中、共産主義思想が流入し、マルクスの影響を受ける。
彼は新聞記者として上海に行って、帝国主義の何たるかを知る。様々な国籍の共産主義者と交わる内に、中国の民族主義に共感を覚える、それも強烈に。日本の中国侵攻が、民族主義を燃え上がらせているのを実感し、これが間接的に共産党を利している事を見抜く。そして彼が予言したとおりに中国は共産党が支配する国となった。
彼は、中国侵攻と英米との戦争により、必然的に日本の既存体制が崩壊して、社主義化すると予言するが、これは違う形で実現している。今の日本は如何にも社会主義国家だ。

少々脱線すると、今の中国共産党は、いまや完全に中国帝国主義国で、これは日本の過ちを単純に繰り返している。分かっちゃいるが止められないだ。これはエドワード・ルトワックの『自滅する中国』に書かれている通り。因みにこの本は、米国防総省の戦略家アンドリュー・マーシャルからの要請により実施された調査の一つで、読み応えのある充実した分析内容だ。一読をお勧めする。

さて尾崎さんは共産主義の時代に生まれたが、今彼が生を受けたたら共生・共感・共働主義に傾倒するのではないか?と夢想する。
これらは国境を越え、国家を超える。私有財産は否定しないが、国家と言う概念・存在そのものに疑問を感じるだろうと思う。アナーキズムではない、共生・共感・共働は、個人としてコミュニティを大切にし、生活者として経済活動を行うのに国家の存在は最小で良いと言うもの。リバータリアンみたいだが、これも違うな。

何れにせよ尾崎秀実の冷静な再評価が必要だし、パワーシフトの時代を生きた彼の思想は大変興味深い。
チャルマーズ・ジョンソンの『ゾルゲ事件とは何か』を読んで、新世界秩序とは異なる世界秩序が形成されるだろうとの想いを強くした次第。