阿部ブログ

日々思うこと

次の戦争に備えるイスラエルと米国の援助

2012年12月21日 | 日記
停戦に合意したもののイスラエルはこの度の紛争で多数のアイアンドームを始めとするミサイルや爆弾など大量の弾薬を使用し、備蓄が若干危機的な状況を呈しており、米国に援助を求めていたが、650万ドル相当のミサイル、誘導爆弾薬6,900発の供給を受ける事となった。

特にJDAM(Joint Direct Attack Munition)3,450発はイスラエル軍に更なる精密攻撃能力を付与する事になる。JDAMの他、燃料気化爆弾(Fuel-Air Explosive Bomb)も1,725発が供給されるが、これがガザ地区など市街地で使用されると無差別の大量虐殺の汚名をイスラエルは受ける事になる。
この他、250Kg爆弾など大量の爆弾・弾薬も受け取るが、今回最大級の活躍をしたアイアンドームのミサイルのレイセオンの工場で大車輪で生産されている。因みにアイアンドームは撃破率86.3%に達している。弾道計算の結果、被害が皆無と判断した場合にはミサイルが発射される事がないのが、このロケット弾の破壊率は素晴らしものだ。

イスラエルに対するアメリカの援助は、これだけで済まないようで、二人の上院議員が大統領に対して、イスラエルのミサイル防衛計画に対する支援を増額するように要請しており、現在の支援の約2倍となる6億 億8000万ドルを達する規模となる。この支援が現実となるとアイアンドームの部隊がイスラエル軍が必要としている13個部隊が早期に完備するだろう。個人的には18個部隊は必要と思うのだが~

それと遅々として開発が進まなかったミサイル防衛システム「ダビデ・スリング」もようやく迎撃実験に成功しており、いよいよアロー・システムと「ダビデ・スリング」とアイアンドームの3段階防衛システムが完成する。因みに「ダビデ・スリング」は射程70~250キロである。

シリア情勢:トルコにパトリオットを配備

2012年12月18日 | 日記

以前のブログにも書いたが、報道にもある通りトルコにパトリオットが配備される。
シリア情勢とトルコ

シリア軍は、自由シリア軍に向けてスカッド・ミサイルで攻撃しているとの情報があり、アレッポ地域がターゲットになっている模様で、打ち込まれているスカッドは北朝鮮製(Hwasong-6)とも言われており、シリア情勢は化学兵器問題もあり緊迫している。

トルコに配備されるのは、シリアに一番近いディヤルバクル県にあるNATOの空軍基地。
発射サイトは当初2サイトで、1サイト当たり発射機は6基で、総配備数は12基。実戦運用は米軍が行い400名がトルコに装備と共に移動する。それと、マラトゥヤ県のキュレジッキ地区チャルシャク高地(標高2100m)にあるミサイル防衛(MD:Missile Defense)レーダー基地にもパトリオット1サイトが配備される予定。このレーダーシステムは、レイセオン社のAN/TPY-2(Xバンド・レーダー)で最新鋭。

米軍以外には、オランダとドイツがパトリオット配備を検討している。ドイツではパトリオット部隊とAWACSの派遣についての審議が行われ、賛成461、反対86、棄権8で可決。派遣期間は最長で2014年1月31日。

因みにトルコのミサイル防衛は3段階から構成されており、パトリオットは、短距離ミサイルとロケットからの防衛を担当し、THAAD(Terminal High Altitude Air Defence)が中距離の防衛する。大気圏外を通る長距離弾道ミサイルに対しては地中海に展開している米海軍イージス艦2隻が迎撃する。

さてトルコ空軍は、シリアとの国境線上空をF16による武装偵察飛行を継続しているが、このF16は第2戦術航空司令部の第181航空隊と182航空隊の所属で、部隊はパトリオットが配備されるディヤルバクル県の空軍基地に所在している。
現在もトルコ空軍は、シリア空軍機が国境地帯に進出した場合、躊躇なく攻撃する態勢を崩していない。

最後に自衛隊は「パトリオット」と呼ばず「ペトリオット」と呼んでいるが、個人的にはパトリオットよりもイスラエルのアイアンドームを配備した方が良いと思っている~

北朝鮮のミサイル発射とイラン、そしてイスラエル

2012年12月16日 | 日記
北朝鮮のミサイル発射において、イラン軍将校が前回同様にミサイルの発射を視察している。
これは、いたくイスラエルを刺激しており、今後重大な影響をもたらす事となりそうだ。

まあ、韓国情報機関の間抜けさもさることながら、北朝鮮も安穏としてはいられない状況だ。国内での反乱が現実味を帯びている。これは中国新政権も憂慮するところであり、ダイレクトな外交チャネルで意見しているが、北朝鮮は聞く耳をもっていないようだ。

イスラエルは、中国の初めての核実験に多大なる寄与をしているが、中国政府の北朝鮮政策に対して大いに憤り、対抗策を講じているが近隣からのロケット攻撃の影響で対応が十分でない。アイアンドームが有効であることは証明されたが、3個部隊では今後の一斉攻撃には十分でない。
しかも、今回の北朝鮮のミサイル発射成功でイランは勢い戦略的ミサイルの製造と配備に力点を置くことは間違いない。
これは大いにイスラエルを困惑させる事となる。更に米国の財政危機は中期的にイスラエルに不利に作用するので、これからの防衛体制について抜本的な改善と和平交渉も含めた平和に向けた外交力が必要となる。さて、大丈夫か?

シリア情勢とドイツ連邦情報局の活動など

2012年12月16日 | 日記
ドイツ連邦情報局(BND)長官は、シリアのアサド政権は長く持たないと明言しているが、これは確度の高い情報である。
現在、ドイツ連邦情報局は、情報収集船を地中海に派遣しており、通信傍受や準軍事要員によるの潜入工作活動を行っており、シリアの反体制派グループを様々支援している。またアダナのNATO軍基地を拠点にしてシリア政府軍の部隊配備や政府内部の動向調査を行っている。ドイツはシリア政府中枢に情報情報提供者を複数名アセットしており、連邦情報局員が非公式に接触している。
シリア情報について言えば、アメリカ、イギリス、イスラエルよりもドイツが有力な情報を収集し得る位置にあり、前述の長官発言の重要性はここから来ている。

ドイツは、現在、イスラエルの諜報機関、及び軍情報部の要員と連携しながら、シリア軍の化学兵器の探索を行っている。特にアレッポ近辺を重視しているようだが、政府軍は化学兵器部隊をその装備を移動させているようで、現在まだ所在は明確ではない。
それとイギリスSAS部隊は、スカッド部隊の特定と破壊を目的に潜入している模様で、湾岸戦争時のイラクにおけるスカッド狩りの実績があることから、イスラエルなどは脅威の排除に期待している。勿論イスラエルの縦深偵察部隊が連携支援している。

アメリカについては、武器支援を開始している。これは旧リビア軍の武器弾薬を自由シリア軍に供給するもので、エジプトやトルコを経由して提供される事とになるだろう。それともし化学兵器の使用をアサド政権が認めた場合には、米軍が直接軍事介入する事態となる。
このような欧米諸国の動きを受け、ロシアも黒海艦隊の巡洋艦など6隻を東地中海に派遣しており、当初のガザ紛争の激化がトリガーとなって艦隊の派遣となっていたが、今はシリア情勢の緊迫化から積極的な情報収集活動に従事している模様。

さて、ドイツやアメリカ、イギリスなどからの支援を受けている自由シリア軍はアレッポ近くの歩兵111連隊基地sheikh suleimanや、軍事行政学校を制圧しており、歩兵学校については政府軍を基地内に押さえ込んで封鎖している。
シリア政府軍の情勢は急速に悪化しつつあり、軍人の離反も相次いでいる。特にシリア情報局調査部長も自由シリア軍に投降しており、ドイツ連邦情報局長官の発言の通りになりそうだ。

最新の北極研究船「シクーリアック」が進水

2012年12月09日 | 日記

米国国立科学財団(National Science Foundation:NSF)は10月13日、マリネット造船所(Marinette Marine Corporation:MMC、ウィスコンシン州マリネット)及びアラスカ大学フェアバンクス校(University of Alaska, Fairbanks:UAF)と共同で、世界最大規模の次世代研究船「シクーリアック(Sikuliaq)」を進水させた。

「シクーリアック」の設計は、2004年に完成していたが、建造自体は2011年4月に始まっている。同船は2014年1月までには運用を開始する予定で就役する期間は30年とされている。1966年に建造された現用の「R/Vαヘリックス」北極調査船は、「シクーリアック同船の就役ながら、既に2007年8月に売却されている。

「シクーリアック」は全長80メートル、幅16メートルで排水量3724トン。5750馬力×4基のディーゼルエンジンで80センチ以上の氷を砕氷する。最大速度は14.2ノット。18,000海里(33,000キロメートル)を航行することができる。

「シクーリアック」船は、オバマ政権第一期の米国再生・再投資法(American Recovery and Reinvestment Act:ARRA)を利用して最高額の2億ドルをかけて建造されたもので、UAFの水産学部(School of Fisheries)及び海洋科学部(School of Ocean Sciences)が、米国学術研究船団(U.S. Academic Research Fleet)が操船する。

同船は、日本の大深度調査船「ちきゅう」と同様に国際研究船であり、年間約500人の研究者を乗せて北極圏で最長270日間の連続しての長期活動が可能であり、北極海域の調査研究活動において大きな役割を果たすだろう。

前述の通り2014年に就役するが、第1回の航海は、UAFのスワード海洋センター(Seward Marine Center、アラスカ州スワード)からする科学ミッションとなるようだ。

ペタコンからエクサコンへ

2012年12月09日 | 日記
10月29日に公開されたオークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory:ORNL)のスパコン「タイタン(Titan)」が、11月12日の最新世界トップ500スパコン・リスト第40版で第1位となった。「タイタン」はなんと毎秒17.59ペタフロップス(Petaflop/s)の演算能力を叩き出す。これは毎秒2京回の浮動小数点計算をこなすもの。

「タイタン」は、オークリッジ研究所のスパコン「ジャガー(Jaguar)」の後継機。
「ジャガー」は、グラフィック・プロセッシング・ユニット(Graphic Processing Unit:GPU)により演算するが、今回の「タイタン」は、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)と、GPUを複合的に組み合わせることにより「ジャガー」と同様のサイズ及び使用電力で10倍以上の演算能力を発揮できる。CPUは、AMD社のOpteronでコア数は29万9008。GPUはNVIDIA社のTesla(K20x)で26万。
因みに「ジャガー」の消費電力は、7メガワット。タイタンは8.21メガワット。

2012年6月の前回トップ500スパコン・リスト第39版で第1位だったローレンス・リバモア国立研究所(Laurence Livermore National Laboratory:LLNL)の「セコイア(Sequoia)」は第2位で、省電力は8メガワット。16.32ペタフロップスの「京」は第3位。

今後は、ペタコンからエクサコンの開発に向けて研究開発が進められる事となるが、技術的なハードルは極めて高い。このハードルを越える為にはプロセッサとストレージの一体化技術や、プロセッサとメモリの3次元積層など大きなイノベーションが必要だ。

第 1 位 オークリッジ国立研究所「Titan」(1京7,590兆回/秒)
第 2 位 ローレンス・リバモリア国立研究所「Sequoia」(1京6,325兆回/秒)
第 3 位 理化学研究所「京」(1京510兆回/秒)
第 4 位 アルゴンヌ国立研究所「Mira」(1京66兆回/秒)
第 5 位 ユーリッヒ研究センター「JUQUEEN」(4,141兆回/秒)
第 6 位 ライプニッツ研究センター「SuperMUC」(2,897兆回/秒)
第 7 位 テキサス大学「Stampede」(2,660兆回/秒)
第 8 位 国立スーパーコンピュータセンター「天河1号A」(2,566兆回/秒)
第 9 位 CINECA「Fermi」(1,725兆回/秒)
第10 位 IBM Development Engineering「DARPA Trial Subset」(1,515兆回/秒)

「京」以下の日本勢は、青森県六ヶ所村の国際核融合エネルギー研究センターにある「六ちゃん(英語名Helios、ヘリオス)」(1,237兆回/秒)が15位、GPUメインの東京工業大学「TSUBAME(ツバメ)2.0」(1,192兆回/秒)は17位となっている。

中国空軍部隊が福建省など沿海部に大規模進駐、海軍部隊と共に尖閣へ

2012年12月03日 | 日記
中国空軍の部隊が福建省など沿海部に部隊を大規模に移動させており、防空体制も強化されている。

この動き以前に、南京軍区、広州軍区、済南軍区では陸上部隊による大規模演習が行われているが、この動きには要注意。警戒を怠ってはいけない。可能であれば潜水艦による中国沿海部の偵察、及び電波傍受など部隊の展開、移動の分析が欠かせない。

習金平政権への移行後、ある時期をみて尖閣諸島への軍事的動きを行う事となるだろう。取りあえず、中国共産党は、12月16日の衆議院選挙の結果を慎重に見極めて今後の政策を決め、断固として実行するだろう。