阿部ブログ

日々思うこと

イランのステルス RQ-170 捕獲 と GPSジャマーの脅威

2012年04月30日 | 日記
イランがCIAの最新鋭のステルス無人偵察機RQ-170を無傷で捕獲しており、ステルス技術や諜報観測技術の流出が懸念されている。

RQ-170は、衛星との通信リンクが途絶えた場合には、RTBと言う基地帰還機能があるため、機体は自動で出撃した基地に戻るのだが、イランは妨害電波で、RQ-170と衛星との遠隔操縦システムとの通信リンクを切断、前述のRTBで自動操縦モードに移行したRQ-170に偽りのGPS信号を送り、イラン国内に誘導し着陸させた。

このような敵機を誤誘導する事は、バトル・オブ・ブリテン当時から行われていた。
ドイツ軍は、自軍の爆撃機をフランス国内にある複数の誘導電波施設からイギリス空爆作戦用の誘導波を送信し、2本の誘導用電波が交差したポイントに誘導し爆撃していた。

これを逆手に取った対抗策を考え実行したのは、アバディーン大学物理学教授のレジナルド・ジョーンズ博士。
ジョーンズ博士は、イギリス軍情報部勤務の時、ドイツ軍が爆撃機を方向指示電波で誘導している事を発見し、敵の電波信号をコピーしてロンドンから偽りの誘導波を発信し、ドイツ爆撃機を誤誘導し、無人の荒野に爆弾を投下させた。

イランもイギリスの故事にならい、最新鋭のステルス偵察機を誤誘導して捕獲した。

さて、一番の脅威は実はGPSにある。
GPSは、GPSジャマーで妨害する事が可能だ。楽天市場でも1万8800円で売っている。

GPSジャマーを使った実験が、実際に2010年に北海の海上で行われている。
「THV Galatea」という大型船舶のGPSをジャマーで妨害した結果、GPS装置には誤った位置情報が表示され、更には航海支援システムやレーダー、衛星通信システムが利用できなくなっている。

このGPSジャマーは、北朝鮮が多用している。それは韓国軍が装備の大部分に商用GPS装置が使われており、容易に妨害する事ができるから~勿論、米軍も軍用GPSを多用しているが影響は受けている。
実際に北朝鮮は、国境付近を飛行している米軍のRC-7B偵察機に対して使用しており、これにより同機のGPSに障害が発生し、緊急着陸している。

このGPSジャマーによる妨害電波は、5分間隔で送信されるが、この影響は北海での実験でも明らかなように様々な方面に悪影響を与える。特に韓国首都ソウルは38度線に近接しているため、民間航空機や金浦近海を航行する艦船、そしてソウル市内でも携帯電話の通信状況に影響があった。

2010年8月23~25日には、韓国全土のGPS受信及び監視局29カ所のうち、全羅南道紅島から忠清南道安興に至る西海岸の一部地域で数時間、GPS電波受信障害が断続的に発生している。
韓国軍によれば、ロシア製のGPS妨害装置一式を購入し、50~100kmの範囲内でGPSを妨害する能力があると判断しているようだ。

イランは同様にロシアから電子戦装置「1L222」を購入してRQ-170捕獲作戦に使用したとされる。この分野でのロシアの能力の高さには定評がある。

日本においてもGPSは生活に欠かせないが、GPS信号のL1、L2は周波数の帯域が狭いため脆弱で、容易にジャミングされる。軍用GPSや次世代GPSが使うL5は周波数幅が広く、電波出力も高いため、ジャミングへの耐性も高いだろうが、前述のRC-7B偵察機の例もあるとおり万全とは言えない。

最大の問題は、GPSに対するスプーフィング。
スプーフィングとはGPSの信号を解読し、その信号に偽情報を組み込んで受信者側に誤った情報を送る事で、正確な位置情報の測位を妨害する事。
困ったことに商用のGPSコードは公開されている事から、スプーフィングに対する厳重な対策が欠かせない。また、軍用コードについても、軍用GPSに関する技術情報が流出している可能性があるのだ、これまた安心出来ない。

GPSは重要な社会インフラとなっているため、潜在する驚異にはリスクがあることを正しく認識し、適切に対処する事が必要。

レアメタル・レアアース回収技術&リサイクルの進展

2012年04月29日 | 日記

ご存じの通り、中国のレアアース輸出規制により、レアアースを始めとするレアメタルの回収技術の開発が国内で活況を呈しており、成果が出ている。

徳島大学の薮谷智規准教授らは、ペルオキシン化合物をつかって強酸性物質などを使わずにレアメタルを溶出する技術の実用化に目途をつけている。
非強酸・非窒素系溶媒を活用した低環境負荷的希少元素リサイクル法の開発

この技術は、レアメタルを吸着したキレート樹脂から、強酸を使わず「ペルオキシ化合物」を利用してレアメタルだけを溶出させもの。「ペルオキシ化合物」にはオゾン、過酸化水素、過炭酸ナトリウムなどで、コスト削減に寄与するし、硫酸など強酸性物質を使わないため、環境にやさしい。しかもキレート樹脂は繰り返し使う事が出来る。

徳島大学の研究チームの実験ではバナジウム、モリブデン、タングステンの溶出を確認している。
回収率はバナジウム93%、モリブデン94%、タングステン66%で、10分程度の処理が溶出すると言う。優れた研究だ。

また珍しいところでは「ティビーアール」(TBR、本社:愛知県豊川市)と言うロープメーカー会社のレアメタル回収方法。

TBR社は、特殊な化学繊維を編み上げて作ったモール(細い糸のついたひも)でレアメタルを瞬時に大量吸着できる製品を開発している。
このモールは、直径45ミリ、長さ1メートルで表面積は約5平方メートルになると言う。
このモールでニッケルやコバルトなどレアメタルの種類に応じ、電子線やガンマ線を照射して特有の化学変化を与えて吸着させると言う。吸着後は、モールを強酸性物質に浸せば溶出すると言う仕組み。

ここで気づくと想うが、徳島大学の研究と、名古屋のTBR社のモールによるレアメタル吸着技術を合わせると、極めてシンプルに希少金属類を得る事ができるのではないか?
つまりレアメタルやレアアースを吸着したモールを「ベルオキシ化合物」で溶出させ事が可能かどうかの検証が必要だが、実現性は高いそうだ。

因みにTBR社は、元々、漁業用の組みひもロープの製造・販売を手がけてきた会社で、技術開発を続ける中、1本のひもから大量の糸を伸ばしてモールを作り、水につけたところ、微生物の格好の住み処となり、水質が浄化されたと言う成果を得て、これを商品化し水質浄化材「バイオコード」となり結実した。

TBR社のモールは、以前書いた「海水資源開発」&「環境破壊を極小化する「海水」資源の開発 」にも利用出来る。
既に日本原子力研究開発機構が、海水からウランやレアメタルを回収する研究プロジェクトにTBR社のモールが使用されており、約220種類のレアメタル吸着に成功している。さらに鉛やヒ素、水銀などの有害物質を吸着できることも確認できている。

これは、フクイチ(福島第一原発)から大量に海や湖などに放散した放射性ヨウ素や同セシウムを吸着させる事も可能だろう。
是非とも、徳島大学の研究とTBRのモールによって、有益な希少資源の獲得と、有害な化学物質や放射性物質の除去に役立てもらいたいものだ。

電磁気は非線形現象である!~本当のマックスウェル方程式を知ってます?~

2012年04月28日 | 日記
本当のマックスウェル方程式の復権を、真に望んでいる。

ゴールデンウィーク突入ですね。お時間があれば是非とも参照頂きたい。
本当のマックスウェル方程式を見て観れば、空海さんが言うように、この世そのものが「生命にみちみちあふれている」と言う事が理解できると思う。

これは過去ブログにも書いている→「マックスウェルのオリジナルの方程式の復権

非線形電磁気理論の確立が必要? いえ、既にマックスウェルが提示しているではないか。
オリジナルのマックスウェル方程式を観た事がない方面が多いだろうから、URLを是非とも参照して欲しい。

相対性理論は絶対では無い~ヨ。

原点に戻る事。
そうすると本当のスマート・コミュニティが出来る。

中国人民解放軍のサイバー部隊

2012年04月27日 | 日記

中国人民解放軍のサイバー部隊について知るには「プロジェクト2049」の「The Chinese People’s Liberation Army Signals Intelligence and Cyber Reconnaissance Infrastructure」(中国人民解放軍のシギントとサイバー偵察のインフラストラクチャー)を参照すると良い。
この報告書は、昨年2011年11月に発表されたもの。

さて「プロジェクト2049」(The Project 2049 Institute)は米国の研究機関でワシントンDCにある。
この研究所は、非在来型の安全保障に関する研究、特に中国研究を通じて今世紀の半ばまでに、アジアの安全保障を強化する方向へと政策立案者を導く様々な施策を実施する事を目的として2008年に設立された。

プロジェクト2049研究所の所長は、ランドール・シュライヴァー(Randall Schriver)で元東アジア太平洋担当国務次官補代理。
シュライバーは、2011年5月24日に米下院外交委員会のアジア太平洋小委員会において「日本の将来」と題した公聴会が開かれた際、藤崎一郎駐米大使(非公式ブリーフィング)、マイケル・グリーン戦略国際問題研究所(CSIS)上級顧問兼日本部長、ゴードン・フレイク「モーリーン・マイク・マンスフィールド財団事務局長」らと共に証言を行い、日米同盟の強化を訴えている。
因みにこの研究所の理事には、ヘリテージ財団アジア研究センター上級研究員のリサ・カーティスがいる。

今回の「中国人民解放軍のシギントとサイバー偵察のインフラストラクチャー」に関する報告書をとりまとめたのは、プロジェクト2049研究所の専務理事であるマーク・ストークス。
ストークスは、元々米空軍の情報部隊所属で、北京のアメリカ大使館武官、その後、国防総省国際安全保障局中国部長に就任している。対中国の情報活動を約20年以上の経歴があり、中国語のスキルは極めて高いと言われる中国専門家だ。

ストークスの他、元国防大学研究員のジェニー・リン、「チャイナ・ブリーフ」のラッセル・シャオが共同執筆者となっている。

さて中国人民解放軍のサイバー部隊の親玉は「総参謀部第三部」で総参謀部作戦部と同じ敷地にある施設に位置している。この総参謀部第三部の編制については、後日記述したい。

最後にあまり参考にならないが中国人民解放軍のサーバー戦について、米国連邦議会の米中経済安全保障検討委員会(U.S.-China Economic and Security Review Commission)が作成した2009年の報告書「2009 Report to Congress of the U.S.-China Economic and Security Review Commission」の169ページにある「Attribution of Responsibility for Cyber Attacks」から中国のサイバー戦についての記述がある。

文化放送の中継車の車番が1134で周波数と同じだ~

2012年04月26日 | 日記
「文化放送、文化放送、JOQR」でおなじみの文化放送の中継車が学士会館に停まっていた。
ふと車番を観ると、なんと文化放送の周波数と同じ1134ではないか。
凝っているな~と関心。

今度、有楽町の「ニッポン放送」に行って社有車の車番「1242」を探してみようか。



見にくい?



トリウム溶融塩炉が取り上げられているメディア

2012年04月25日 | 日記
以前、からトリウム原子力に注目してきた。それはレアアースなど金属資源にも係わるからだ。
特にトリウム溶融塩炉は、高レベル放射線廃棄物の減量処理が可能だとされる点。しかし最大はやはり小型で安全な原子炉である事。

このトリウム溶融塩炉は、水などで常に冷やし続ける必要がある「固体核燃料」ではなく「液体核燃料」であり、原子力開発黎明期にオークリッジ国立研究所内に溶融塩炉の実験炉を構築し実験し、4年間安全に運転して終了している。
しかし米国はワインバーグの溶融塩炉を本格的に展開する事は無かった。やはり1950年代は軍事優先。ウラン235、プルトニウム239が必要とされたためだ。

このワインバーグを顕彰して2011年9月「ワインバーグ財団」が創設された。日本からは亀井敬史氏が参加している。
ワインバーグは文鮮明の統一協会信者だと言う筋もあるが、彼の原子力分野における功績は関係ない。

さて、ワインバーグのトリウム溶融塩炉について最近メディアが立て続けに出ている。
例えば前述のワインバーグ財団に参加されている亀井敬史氏は「トリウム溶融塩炉で野菜工場をつくる-北海道中川町の未来プロジェクト」を出版している。
この本は共著で、高見善雄氏は元自衛隊OBで、西川有司氏は日本メタル経済研究所の主任研究員。西川氏は、2010年11月10日、NHK「クローズアップ現代 放射性物質“トリウム”最前線」の冒頭に同僚の幡野氏と共に出ておられる。

それと復刊した『WIRED』Vol.3に「Atomic Dream~ワインバーグ博士とありえたかもしれない原発の物語」が掲載されている。これは面白く、一気呵成に読ませるイキが良い記事だと思う。

この記事の後には、古川和男氏の遺志を継いだ「NPOトリウム溶融塩炉国際フォーラム」理事長である吉岡律夫氏へのインタビュー記事もある。吉岡氏は東芝OBでフクイチ(福島第一原発)の3号機と5号機の炉心を設計された原子力の専門家だ。

それと『WIRED』はトリウムに関する電子書籍黙している。「WIRED シングル・ストーリーズ」の第8話「もうひとつの原発」である。
著者のリチャード・マーティン氏は、トリウムをテーマにした『Superfuel: Thorium, the Green Energy Source for the Future』を2012年5月に刊行されている。

亀井氏の「平和のエネルギー―トリウム原子力 ガンダムは“トリウム”の夢を見るか?」や「平和のエネルギートリウム原子力II 世界は“トリウム”とどう付き合っているか?」なども書店やアマゾンなどで購入可能なので是非ともご一読頂き、フクイチ以後の原子力を考えて頂ければ幸いである。

国際海運における温室効果ガス規制について

2012年04月24日 | 日記
随分前のブログにも書いた「船舶・港湾施設における環境対策とビジネスの可能性」であるが、国際海運に係わる船舶と港湾における温室効果ガス削減について、EUが国際的な議論を待たずにEU独自の地域規制の導入に動いている。
これに先立ち欧州連合(EU)の欧州委員会は2012年1月19日、船舶から排出される温室効果ガスの削減策について一般意見公募を行った。これはオンラインで4月12日まで実施された。

EUでは、すべての部門の温室効果ガス総排出量を2020年までに20%以上を削減する目標に掲げている。国際海運からの排出削減を含む国際協定が2011年末までに発行いなかったことから、前述の通り、欧州委員会はIMOでの議論を待たず、EU独自の地域規制を外航海運へ導入しようとしている。この独自地域規制は、国際航空分野に対しても2012年1月より適用するとしており、国際的な非難が巻き起こっている。
EUの独自地域規制に対し、当然の事ながら国土交通省は異を唱えている。これは正当な反論だ。

国際海運起源の温室効果ガス(GHG)排出量は5~10トンとされているが、国際海事機関(IMO)によれば.2007年の国際海運からの排出量は8.7億トンでこれは全世界のCO2 総排出量の2.7%に相当し、1990年当時はわずか4.5億トンだったので、ここ20年で倍近くに増加している事になる。ただこのまま推移すると2050年には2007年の2倍以上になると試算されている。

国際海運起源の温室効果ガス増加の理由は、国際的な荷動きの増加があり、排出量はほぼ荷動き量に比例していることが挙げられる。老朽船舶の解撤・代替等の効率向上要因はあるが、高速化の要求、コンテナ船の比率向上等の要因により、国際海運全体で見た原単位、即ち荷動きあたりのCO2 排出量には大きな変化は見られないのが現実である。

欧州委員会は、2009年1月28日の「コペンハーゲンでの包括合意へ向けて」(Towards a comprehensive climate change agreement in Copenhagen、COM(2009)39Finalと題したコミュニケにおいて、国際海運・航空部門に対して2020年までに2005年レベル以下を達成し、かつ2050年までに1990年レベルまでに低下させるとの野心的な目標を設定している。

これは、国際海事機関での議論や合意を得るプロセスなどをみるにつけ「此奴らじゃ駄目だ」と感じ、自分たちでどうにかしようと成るのは必然かもしれない。

また国際海運で問題となっているのが、船舶の排ガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)及び硫黄酸化物(SOx)である。
自動車もそうだが、EUではこれが問題視されている。国際条約であるマルポール 73/78 条約付属書Ⅵに基づき既に排出規制の取り組みが行われているが、規制値は、NOx 及びSOx の人体への直接的な影響のみを考慮しており、これらが大気中の光化学反応により酸化・粒子化し、ディーゼル粒子とともに粒子状物質(PM)として長距離を移流拡散し、地球環境、及び人体への直接的・間接的な影響にまで考慮されていない事に、EUは国際的な動きの鈍さに苛立ちを感じている事は間違いない。

しかし、国際海運は世界の貿易量のほとんどを担う極めて重要な物流の竜骨、背骨であり、船舶による大量・大規模な輸送手段を代替する手段を人類は持っていない。
陸続きの国の場合、鉄道・自動車またはパイプライン輸送があるだろうが、これは限定的でコストと、それこそ地球環境に深刻な影響を及ぼす輸送手段である。

荷動き量、即ちトンマイルで比較すると、国際海運の輸送量は単純に国際航空貨物の400倍を超えるのだ。これを忘れてはならない。

まあ、そうは言っても国際海運&航空に関する、1992年の気候変動枠組条約には記載されていない。しかし第1回締約国会議(COP1:1995 年)に国際輸送燃料の配分方法のオプションについて議論されており、国際輸送燃料起源の温室効果ガス排出量をどのように各国間で配分するかという点に集中した。
1996年には燃料払出量、荷主、発着地のオプションが検討されているが、1997年12月に策定された京都議定書第2条2項には、「附属書Ⅰに掲げる締約国は、国際民間航空機関及び国際海事機関を通じて活動することにより、航空機用及び船舶用の燃料からの温室効果ガスの排出の抑制又は削減を追求する」と記載された経緯がある。

しかし、EUが勝手に国際的な議論交渉の決着を待たずに、EU独自の地域規制に走るのは問題だ。
日本は先の大戦で輸送船が撃沈された末、敗戦に至った事を忘れてはならない。
アホな日本海軍など太平洋を逃げ回っている内に連合艦隊は消耗し消滅しているが、これらはある意味どうでもよい。
重要なのは我々国民が必要とする物資を運ぶ輸送船だ。国際海運で逃げる訳にはいかない事は、理解できるだろぅ、ん?

米国国家核安全保障局はIBMのスパコン BlueGene/Qをどのように使用するか

2012年04月23日 | 日記
富士通&理研が開発した「京」が、現在スパコンTOP500のNo.1であるが、IBMの本格反攻により今年2012年には、確実No.2に脱落、IBMの第三世代のBlue Gene/Q がNo.1の座を奪還する。

Blue Gene/Qは、本格的なペタコンで、最大構成で20ペタ・フロップスを叩き出す。
また、Blue Gene/Qは、第二世代の Blue Gene/P と比較して電力効率が10倍に向上しており、設置面積も、第一世代のBlue Gene/L と同じ3500平方フィート (約325平方メートル) と省スペース、省エネ設計を実現している。
これによりBlue Gene/Qは、Green500で世界で最もエネルギー効率の良いスーパーコンピュータに選ばれている。

因みに史上初のペタコンは、クレイ社がオークリッジ国立研究所に納品した 「Jaguar」 で、2009年11月に、1.75ペタを達成している。

既にIBMは、昨年の2月8日、米国エネルギー省(DOE)アルゴンヌ国立研究所に「Mira」と名付けられたBlue Gene/Qを納入している。「Mira」は、1秒間に1京回の浮動小数点演算をこなす10ペタの性能を持つペタコンで、完成は今年2012年の予定。
10ペタは、富士通&理研の「京」の処理性能である8.162ペタを上回る事となる。
「Mira」は電気自動車向け超高効率バッテリーの設計や地球の気候変化などの研究で利用する計画と言う。

ただIBMの反攻はこれで終わらない。「Mira」や「京」の2倍の性能を出すペタコンを2012年中に登場させる。
それは「Sequoia」と呼ばれるBlue Gene/Qをベースとしたペタコンュータで、国家核安全保障局(The U.S National Nuclear Security Administration:NNSA)が「先端シミュレーション・演算プログラム」(Advanced Simulation and Computing Program、ASC)の一環として使用するため。

「先端シミュレーション・演算プログラム(ASC)」とはわかりにくいが、要するにネバダ核実験場のエリア1で行われる臨界前核実験とか、備蓄核兵器評価、大深度破壊核弾頭の開発など核シミュレーション用である。

Suquoiaは、NNSAの隷下のローレンス・リバモア国立研究所で稼働中の、第一世代Blue Gene/L と ASC Purple 両スパコンの置換えが目的。NNSAによれば、エネルギー、医療&ゲノム解析研究、気象変動などの科学技術目的のためにも使用されると言うが、第一義的には軍事利用が優先。

さてSequoiaの性能目標は20ペタ。SGIがNASAのエイムズ研究センター用に現在開発中のPleiadesより2倍高速だ。

Sequoia は、約3000平方フィートの設置面積を必要とし、この広さのに160万個のプロセッサーコアと 1.6ペタバイト(PB)のメモリを実装したラック96。コンピュータノードにして98304 より構成される。

前述の通りBlue Gene/Qは、世界で最も地球環境に優しいスパコンとして知られる。だが、その使用目的は世界で最も危険で下劣なものだ。
Blue Gene/Qは、地下に存在する軍事施設を確実に破壊する為のシュミレーションに使用される。

1988年、W-61アースペネトレーターがエリア52の目標に向けて地上1万2200メートル上空から投下された。
結果は、地下施設の破壊には程遠い結果であったが、米軍は開発を諦めていない。何故なら第一次湾岸戦争で圧倒的な精密爆撃を見せつけられた、非欧米各国は一斉に重要な軍事施設などを花崗岩など堅固な地下に建設し現在に至っているからだ。
当然ながらイランも、その意図はともかく重要な原子力関係施設は地下に建設することとなる。
米軍は、各国政府が建設している地下施設を正確に、そして確実に破壊したいのだ。

1996年の包括的核実験禁止条約が国連で採択され、地中貫通型核兵器の開発は頓挫すると思いきや、ペンタゴンは計画をネバダで続けている。
例えば長さ9メートル、太さ30センチメートルの超硬金属棒を衛星から秒速1万6100キロで地上の目標に直撃させるもの。これはロング・ロッド・ペネトレーションと呼ばれるが、 これだと非核ながら北朝鮮やイランの核施設も破壊可能だと言う。
だが、米国は強化型地中貫通型「核兵器」、所謂RNEPの開発をネバダで進めている。

IBMのBlue Gene/Qに使われているチップ「PowerPC A2」これは凄いチップだ!
しかし、使われ方は最低だ。

太陽活動極小期と宇宙線飛来による影響

2012年04月23日 | 日記
最近、太陽が気になって仕方がない。
過去にも「太陽活動が電力システムに与える影響」を掲載し、太陽からのメガフレアの脅威について書いたが、直近でも太陽観測衛星「ひので」による太陽極域での磁場反転現象の観測について書いている。

気になっている点は、太陽活動の低迷による宇宙線が地球に降り注ぐことによる影響だ。
過去45年間にわたり宇宙線を中性子モニターで観測しているオウル大学のデータを見ると、地球への宇宙線量が観測史上最高となっている。

これは「ひので」の観測からも明らかで、従来の極小期とは異なる乱れた太陽風構造と太陽風圧力の低下が観測されており、この太陽風活動の低下により宇宙線が太陽圏内に進入しやすくなっている。

カリフォルニア工科大学の宇宙科学者らが『Astrophysical Journal Letters』誌に発表した記事によると、2009年の宇宙線量が、前回の太陽活動低下期と比べて、20~26%多かったことを明らかにしている。
また北極や南極で採取した氷床コアに含まれる放射性物質を測定した結果、過去500年間の宇宙線量を調査した結果、1970年代初頭から比較して、特に南極の氷床コアでは宇宙線量が40%~80%多いと結論している。つまり長期トレンドとして太陽の活動は弱くなっている事がデータから明らかでである。

短期の「ひので」の観測データからも約5%宇宙線量が増えていると結果づけている。両者の間には開きがあるが、宇宙線量が増えているのは間違いない。

宇宙線は、普通太陽風によってエネルギーの弱い粒子は弾かれる。太陽風は、太陽系の周囲に「太陽圏」と呼ばれる宇宙線シールドを形成して地球圏を防護している。
しかし、この太陽系のシールド効果は、太陽の活動周期によって変動する。つまり黒点や太陽フレアが増える太陽活動極大期と、活動が低迷する太陽活動極小期である。これを太陽は11年程度の期間をおいて繰り返している。

つまり太陽活動極小期には、太陽系外からの宇宙線の地球圏への到達量が飛躍的に増える事が懸念される。

知人の天文学者は既に、宇宙線増加が地球に及ぼす影響を明確に認知している。特に宇宙空間に浮かぶ探査機や偵察衛星では宇宙線の影響と思われるシステム・エラーが確実に増えていると言っている。

何れにせよ、太陽からのメガフレ、地球圏に降り注ぐ宇宙線など宇宙環境の観測と予報、そしてメガフレアの発生については迅速な対応が必要だ。


究極の食パン 「MIYABI」 東品川の工場だけで、ホッカホカの焼きたてを買える!

2012年04月22日 | 日記

究極の食パン「MIYABI」のデニッシュ食パン!
これは絶品だ!特に焼きたてはたまらない!!

このMIYABIの食パンは、三越や東武百貨店で1日100本も売れるパンとしてメディアでも取り上げられ、日本テレビの「ぶらり途中下車の旅」でも2011年9月17日に放映されている。

MIYABIのデニッシュ食パンは、通常の食パンの2倍の時間をかけて作られる。通常食パンは仕込みから焼きあがりまで、4時間程で完成となるが、MIYABI のデニッシュ食パンは、ナント16時間かけて作られる。

MIYABIは、京都・祇園で生まれたパン屋さんで、10年ほど前、東品川に移転してきた。

お薦めは、絶対に焼きたてホヤホヤを食べられる品川工場直売のデニッシュ食パン!
毎週火・金・土の12時から売り出される。


MIYABIのお店は、運送屋さんのビル1階にあり、ちょっと分かりにくいかもしれないが、是非一度訪れて、絶品食パンを食べて欲しい。

近くに住んでいて良かった~

三井化学・岩国大竹工場で爆発~民間企業が保管する劣化ウランなど放射性物質を統合管理する組織の必要性~

2012年04月22日 | 日記
三井化学」の岩国大竹工場で爆発と報道されている。

過去のブログ「ウランを含む廃触媒を保管し続ける企業とその解決策」でも書いているが、民間企業でも劣化ウランなどの放射性物質を取り扱い、また不要となっても廃棄できずに保管し続けている実態がある。

311の時にも、千葉県五井のコスモ石油のタンクが爆発した際、隣のチッソ石油株式会社五井製造所で保管してた「劣化ウラン含有触媒」の保管倉庫外壁が類焼すると言う事案が発生している。

チッソ石油で保管していた劣化ウラン含有触媒は鋼製ドラム缶33本
この触媒は、昭和44年当時工業用ガス製造のために使用していたもの(主成分アルミナ及びニッケル)で、劣化ウランが約10%含まれている。この触媒は、3年程度の使用の後、劣化ウランを含む為に専用倉庫で保管をしている。

三井化学の岩国大竹工場でも、過去に使用した劣化ウランを含む触媒が保管されているが、民間企業が保管する放射性物質の国家として統合的な管理が必要である。

例えば過去に使用した劣化ウランや、昭和30年代にモナザイトなどからレアアースを抽出する際、随伴生成するトリウムなど放射性物質などを、民間企業連合が半分、国が半分資金を供出して、これら放射性物質を管理する施設と、これらを減量、若しくは消滅処理する機関を創設するのはどうだろうか?

今、注目されているトリウム溶融塩炉で、これら放射性廃棄物の消滅処理が可能であろう。

太陽極域磁場の反転と地球「寒冷化」 ~気象激変を予測したペンタゴン・レポートは現実となるか~

2012年04月21日 | 日記
4月も20日になるが肌寒い。今年の冬は寒かったが、中々暖かくならない。
以前から地球温暖化には大きな疑問を持っており、逆に「寒冷化」するのでは?と思っていたが、それを示すデータが発表されている。
やはり太陽の変調で地球はこれから「寒く」なる。

その根拠となるデータは19日、日本の国立天文台と理化学研究所を中心とした国際研究チームの観測結果から得られたもので『太陽観測衛星「ひので」、太陽極域磁場の反転を捉えた』である。

従来から太陽極域の観測は、今後の太陽活動を予測する上で極めて重要であることは認識されており、日本が打ち上げた太陽観測衛星「ひので」が太陽の極域を観測し、太陽の磁場が四重極構造になる兆候を国際チームが発見した。
これは太陽の北極域の磁場が正極に反転しつつあり、片や南極行きの磁場は正極で現在も安定している事から、太陽内部の磁場が基本的な対称性を失いつつあるのだ。

つまり現在、太陽の北極域では、負極性の磁場が消滅しつつあり、南極域と同じ正極を帯びつつあり、観測から太陽の北極磁場は今年2012年の5月には完全に反転すると予想されている。

この太陽の変調は、人類の歴史上で地球が寒冷であったと言われるマウンダー極小期、ダルトン極小期と言われる時代と同じ状況で、今後のより詳細な観測により地球の寒冷化傾向が裏付けられる事になるだろう。

また太陽の北極域磁場の変調以外でも、今の太陽活動が低調である事は、地上での観測からも認識されており、通常の太陽活動の周期が約11年なのに、12.6年と伸びている。

今回の太陽観測衛星「ひので」による太陽磁場の変調から思い出すのは2003年10月に米国国防総省が出した『気象激変シナリオとそれが合衆国の国家安全保障に及ぼす影響』という文書。

22ページと言う短い報告書ではあるが、論旨は明快。即ち「温暖化の進行から深層海洋の環境、つまり熱塩循環が破綻し、結果として気象が激変し、特に北半球が寒冷化する」と言うもの。

地球の北半球の寒冷化は、太陽の北極域の磁場反転との関係を想起させるが、気象変動を予測したペンタゴン・レポートの核心は、海洋深層を流れる水塊が熱塩循環の環境変化によりその速度が遅くなる事。これにより大気循環にも深刻な影響を与え、地球環境全体に波及すると言う点。

これは8200年前にも海洋深層水塊の循環が破綻した時にも地域によっては3℃~6℃低下した事が、考古学や気象学などの研究で判明しており、海洋深層水塊の循環が完全に停止すると1万2000年前の「ヤンガー・ドライアイス期」のように1000年以上にわたって地球全体が寒冷化する事もありうる。

このペンタゴン・レポートは、内容も衝撃だが、気象変動についての調査を依頼したのは、あの「アンドリュー・マーシャル」だという事。

これは驚きだ。

気象変動の調査自体を行ったのは「グローバル・ビジネス・ネットワーク」という米国のシンクタンクだが、気象変動の調査を依頼したのは、ペンタゴンの「ヨーダ」(スターウォーズにでてくる900歳の老賢者)である事は、これは深刻に考える必要がある。

「アンドリュー・マーシャル」は伝説的な米国安全保障の戦略家で90歳超えて今なお「ネット・アセスメント室長」として現役で、最近でも「統合エアシーバトル構想(Joint Air-Sea Battle concept)」をぶち上げるなどその知的活動は止む事はない。(参考:「国防西太平洋を舞台に、米中軍事対決が始まった(鈴木通彦氏)

ペンタゴンの「ヨーダ」を知るには秋田浩之氏の『暗流~米中日外交三国志』(33ページから43ページ)を一読する事をお薦めする。
秋田氏は直接「ヨーダ」にインタビューしており、前述の統合エアシーバトル構想の記事を書かれた鈴木氏が「あのマーシャルにインタビューできたは凄い」と仰っていたのをちょいと離れた場所で聞いた事があるが、長期中期の軍事戦略を練るのが仕事のマーシャルが気候変動の影響を調査したのだ。
繰り返しになるが、これを真剣に我々も考える必要があると言う事だ。

近未来の気候変動は、既に知っている人は知っていて、粛粛と準備を進めている。
その一例が、人類が定住する最北のスヴァールバル諸島の地下に設置されている『スヴァールバル世界種子貯蔵庫』。2008年2月には運営を開始し、200万種の種子が保管されている。
あの「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」も金を出しているが、決して慈善事業ではない。

この種子貯蔵庫には、米国の植物遺伝資源システムが保管する50万の標本も着々と運び込まれており、米国が保持する植物遺伝子の全てをバックアップする事になっている。

我々一般ピープルは生き残れないかもしれないが、何れにせよこれからは、太陽が地球の気象環境と海洋環境に与える影響を詳細に調査研究して、その「知」を人類全体で共有し、最悪の事態を想定したグローバルな対応策を施す事が重要だろう。

コンビナートの高度連携と電力・水素によるエネルギー生産

2012年04月19日 | 日記
先月、千葉県市原市の五井にある石油のプラントを視察したが、その際に説明があったのは、近隣のコンビナート相互で緊密に連携している事が印象に残っている。

世界最大の京葉シーバース

原油から石油を精製する際にでる石油留分の徹底的な活用によって、石油精製企業と石油化学企業の双方にメリットがあるとの事。
千葉沿岸に展開する石油&化学コンビナート群でリファイナリー(石油精製設備)とケミカル(石油化学)プラントとの連携により、リファイナリーからケミカルプラントへ、プロピレンや芳香族などの化学原料を供給でき、また、エチレン原料の多様化も進展すると言う。また、ケミカルプラントからリファイナリーへ向けては、ガソリン基材を提供できる。
このような石油留分を相互連携により徹底的活用することで、石油精製会社も石油化学会社、競争力を強化できる。

またコンビナート内にあるエネルギー源の有効活用も可能との事。例えば残渣油を使った共同発電、熱・水素の相互融通すること。
お邪魔したリファイナリーのプラントでも水素を隣のコンビナートなどへ提供していると言っていた。
電力については、タービン2基で自家発電を行っているが、足りないので東京電力から買っているとの事。
原発の稼働状態を見ると多分将来的には、近隣のコンビナート全体で電力の最適化と相互融通を行い、多少の発電設備を共同で設置するなどの対応を行う事で電力や前述の水素などを外部へ販売する事を可能ではないか?
コンビナートの高度な統合化とエネルギー最適化は、地域経済の活性化にも大きく貢献するし、新たなビジネスの可能性がを秘めている。

特にリファイナリーからの水素には、注目する必要があるだろう。

今年に入って日本特殊陶業が、東京ガスと共同で水素製造装置の中核技術を開発している。
これは都市ガスと水を反応させてセラミックスに通すことで水素を取り出す技術で、従来より20%~30%の小型化とコスト低減が可能な技術で、水素ステーションでの実証試験を開始し、2020年以降に本格的な普及を目指す計画と言う。

この技術の肝は、多孔質セラミックスで作った反応管に都市ガスと水を送り込み、500~550度の高温で反応させる事にあるようだ。反応管の表面は、水素を透過する貴金属のパラジウムの薄膜で覆い、管の外部に出る水素を捉えると言う。

ここで思い出して欲しいのは、千葉県は巨大な水溶性天然ガス田の上に存在していると言う事。日本特殊陶業の天然ガスからの水素生産技術と千葉・五井地区のコンビナートとを連携させると、千葉から本格的な水素社会の先導的取組が可能ではないか?

水素があれば燃料電池の利用も可能であり、コンビナートからの水素と天然ガスからの水素を燃料にした発電により東京電力から電気を買う必要も無くなり、逆に売ることが可能となるかも。
間抜けな太陽光発電などよりよっぽどマシな取組になると思う。ちょっと真面目に考えてみるか~

蛇足ながら日本は千葉県内からの天然ガスからヨウ素を生産しており、実はチリに次いで世界第2位の生産量を誇る。しかも生産したヨウ素の80%は海外に輸出されている。

用語の解 ~その2~

2012年04月18日 | 日記

ぶさかわいい → ぶさいくな顔だが、なんとなく「かわいらしい」女の子。

かけし    → 芸能人の立場をフルに活用して女性をナンパしまくること。

OCL    → オタク・カップル・ライフ

溶融塩によるレアアース抽出分離技術の開発

2012年04月17日 | 日記

環境省の循環型社会形成推進科学研究費補助金の支援が決まった案件に、溶融塩によるレアアース抽出分離技術が2件ある。

①「磁石合金スクラップから希土類元素を抽出・分離する新技術の開発」

この研究では、塩化マグネシウム(MgCl2)などの溶融塩を抽出媒体として用いて、希土類合金磁石のスクラップから、ネオジム(Nd)およびジスプロシウム(Dy)を塩化物として選択的に溶融塩中に抽出し、さらに真空蒸留によって希土類塩化物を濃縮した後、溶媒抽出法などによりNdとDyの分離回収を行う新しいタイプのリサイクル技術の開発を行うもの。

この研究開発が実用化されれば、磁石のスクラップからNdとDyを高い効率で分離回収する事が可能となる可能性がある。

②「溶融塩および合金隔膜を用いた廃棄物からの希土類金属分離・回収プロセスの開発」

この研究では、廃棄物から希土類金属を分離・回収する手法として、溶融塩および合金隔膜を用いたプロセスの開発を目的としおり、溶融塩中で特定の希土類-遷移金属合金が極めて高速に電解形成され、さらにそれを陽分極すると希土類金属のみが高速かつ選択的に溶出する現象を応用してレアアースを抽出するもの。

この研究では溶融塩組成、合金隔膜組成、温度、電流密度をはじめ最適化すべき事柄が多く残されているが、複数の希土類・遷移金属イオンなどが共存する塩化物系溶融塩で実験を行いつつ、各イオンの挙動や形成される合金組成を把握する。またフッ化物系溶融塩についても、実際の希土類金属分離・回収に適した条件を明らかにする。更に希土類合金隔膜を用いて実証試験を行い、希土類金属の相互分離・精製が可能であることを実証すると言う。

これら溶融塩によるレアアース抽出分離技術の実証と実適用に期待したい。