阿部ブログ

日々思うこと

吉村昭著 『大本営が震えた日』 ~陸軍特種情報部・北多摩通信所~

2012年05月29日 | 日記
今日、朝4時起床にて最後の30ページを読み吉村昭氏の『大本営が震えた日』を読了した。
『大本営の震えた日』は緊迫する開戦に向けた状況を描いており、時間させあれば一気呵成に読み切る事が出来る優れたノンフィクションだ。

同書を読む切っ掛けとなったのは鳥居秀晴氏の『日本陸軍の通信諜報戦』を読んだからだ。この本には陸軍の特種情報部の北多摩通信所を詳細にレポートしている。特種情報部については、昨年2011年のNHKスペシャル『原爆投下活かされなかった極秘情報』で報道され、ようやくその存在が一般にも知られるようになった。

この陸軍・特種情報部に関する書籍は少ない。
一般に入手できるのは、吉村氏の『大本営が震えた日』を筆頭に、元大本営情報参謀だった堀栄三氏の『大本営参謀の情報戦記~情報なき国家の悲劇~』、檜山良昭氏の『暗号を盗んだ男たち~人物・日本陸軍暗合史~』などぐらいである。

過去のブログでも書いているので参照頂きたい→『日本陸軍の通信諜報を読んで知った事など

日本の電波傍受と暗号解読は、イギリス、米国と比較すると極めて小規模な組織ながら、それ相応の成果をあげていた評価している。実力はほぼ同じ。
暗号解読で事前に情報が漏れたから、日本は戦争に負けたのだと言う誤った認識を広げ、日米間の国家間戦争だとしたい人達がいるが、ドイツの前期・後期のアルディンヌ戦やダンケルクなどをみても相互調整しながら戦闘が行われているのが明らか。
これについては、時間があれば書いてみたい。

TENGA~「典雅」の語源

2012年05月22日 | 日記
インターネットでTENGAが売れているらし。

売れているTENGAの語源について書く。

TENGAは「典雅」。

「典雅」の「典」はソフトオンデマンド社の代表取締役の高橋がなり氏の奥様の名前の一文字から取った。
これは推測だが「典子」さんではないか? つまり「高橋典子」さん。

「典雅」の「雅」は、高橋がなりさんの本名である「高橋雅也」から取ったもの。

因みに高橋がなり氏は、国立ファーム有限会社の代表取締役でもある。

以上です~


H2Aロケット打ち上げ成功と日本における宇宙開発の行方

2012年05月20日 | 日記

5月18日午前1時39分、種子島宇宙センターから、地球観測衛星「しずく」と、韓国の「アリラン3号」を搭載したH2Aロケット21号機を打ち上げた。これは初めての商用衛星の打ち上げで、無事に軌道投入に成功している。

因みに韓国の「アリラン3号」は、超高解像度衛星で、所謂「サブメートル観測衛星」。サブメートルとは0.7mの解像度を持つ衛星の事。この手の衛星は米国、EU、イスラエルしか保有していないが、今回の打ち上げ成功で韓国は第4のサブメートル級衛星を保有する事となった。

今回、日本のH2Aロケットでの打ち上げを何故、反日国家・韓国が選択したかと言えば、日本側が超格安の価格を提示したから。提示価格は13億円。流石のロシアもこの価格では負け。利益などある筈もなく、初めての外国衛星打ち上げと言う実よりも名を取った。

さて商業衛星打ち上げ市場は、約3400億円規模と言われるが、三菱重工とJAXAは、この市場で生き残っていけるのだろうか? 個人的には三菱重工に踏ん張って欲しいと思っている。三菱の頑張りでH2Aロケットの打上げ成功率は、今や95%以上に達している。2005年の7号機打ち上げから今回の21号機打ち上げまで連続成功しているのだ。

発射成功率の向上は、重要なアピールとなる。だが打ち上げコストがネックだ。商業衛星打ち上げの平均は70億円前後と言われるが、米スペースX社のファルコンの打ち上げ費用は50億円程度であり、商用衛星市場で生き残るには、激しいコスト競争が待ち受けている。
三菱重工は、次世代のH3ロケットの開発を進めており、2022年の初打ち上げを目指しているが、H3は米スペース社のファルコンとのコストにも匹敵する競争力を持たせると言う。

今後の日本における商用衛星打ち上げビジネスを含む宇宙開発はどのような政策で動いていくのだろうか?
日本政府は、小泉政権以降、政府主導での産業振興を縮小させているが、原子力と宇宙開発については政府主導での財政投資を含む官民連携でのプロジェクトを進めている。原子力については「フクイチ」(福島第一原発)事故で、国民の信頼を失墜しており、縮小はあっても拡大はあり得ない状況。だが宇宙開発と海洋開発については、縮小ではなく拡大あるのみだろう。

しかし、日本の宇宙開発については問題もある。特に宇宙開発を手動する政府組織が存在しない点。しかし、それを改善する努力は払われている。
2011年4月8日の当ブログでも「宇宙庁構想について記載しているが、宇宙開発の司令塔機能の強化の為、今年2012年2月14日に「内閣府設置法等の一部を改正する法律案 」(宇宙開発戦略本部事務局)が国会に提出された。(詳細は下記参照)

概要  
要綱  
法律案・理由  
新旧対照表  
参照条文  

宇宙開発利用の枠組みを定めた宇宙基本法(平成20年法律第43号)が平成20年に制定されたことを受け、宇宙開発利用の戦略的推進を目指して内閣に宇宙開発戦略本部が設置されている。が、しかし、宇宙開発戦略本部の設置後も、戦略的な意思決定が可能な本部機能が必要であるとの議論が続き、この議論を受け。平成24年2月14日、宇宙戦略の本部機能を内閣府に組成する事を目的とする「内閣府設置法等の一部を改正する法律案」が国会に提出されたのだ。

今回の法改正に向けて、平成22年12月の専門調査会において、宇宙開発に関する司令塔機能の見直しを平成24年度予算に反映させるべきとの結論が導き出され、また宇宙開発利用体制検討ワーキング・グループの中間報告や有識者会議の提言を踏まえて、宇宙庁構想を視野に入れた検討が進められたが、防衛省が運用する情報監視衛星を含む、宇宙関係予算の執行の一元化の難しさ、JAXAとの一体化による弊害などが様々指摘され、意見の集約が行われなかった。

紆余曲折を経て、平成23年9月30日の閣議決定で、内閣府に宇宙開発の司令塔機能を設けることが再確認されたものの、宇宙庁の設置や宇宙関係予算の執行の一元化は見送る方針が示された。しかし、宇宙政策委員会が平成24年1月に報告書を発表し、この報告書に基づいて、今回の改正法案が作成され、国会に提出された。
海洋開発もそうだが、宇宙開発も単純に政策遂行と行かない状況があり、国益を損する事となっているが、現在の非公式権力は単なる共通利益共同体と化している為、適切な対応が出来ていない。これは北朝鮮と同じ構図であることが理解できない。国民が市民として個人としての意識が確実に変わっているのに偉い人達は無認識だ。

さて、今回の改正法案の概要は、以下の4点である。

(1)内閣府は、今回の法改正を受け宇宙政策の企画立案と総合調整を受け持ち、他府省の所掌に属するものを除く宇宙開発利用の推進(バスケット・クローズ規定)し、準天頂衛星システムの整備運用が加えられる。

(2)宇宙政策委員会が設置される。この委員会は、内閣総理大臣の諮問に応じて、宇宙政策の重要事項や経費の見積りの方針に関する調査審議を行い、内閣総理大臣や関係各大臣に対し建議と勧告を行う組織で内閣府に設置される。(宇宙政策委員会の委員は、非常勤で、国会同意人事の対象ではない)

(3)内閣府に宇宙政策委員会が設置されるため、文部科学省の宇宙開発委員会は廃止。今まで宇宙開発委員会が行っていたJAXAのプロジェクト評価なども宇宙政策委員会が行うこととなる。

(4)上記を受けてJAXAの主務大臣は、文部科学大臣と総務大臣から内閣総理大臣となる。

今回の法改正に伴い重要なのは安全保障会議との関係である。
安全保障会議では、「防衛計画の大綱」及び「中期防衛力整備計画」に基づき宇宙基本計画や、防衛省の宇宙開発利用推進委員会で策定された「宇宙開発利用に関する基本方針について」に基づき、情報収集及び情報通信機能の強化等の観点から宇宙開発利用について言及されており、宇宙と安全保障の両領域に関わる課題として、情報収集衛星の機能強化や早期警戒衛星の開発と実戦配備、防衛技術についての防衛省と民生及び学術分野の研究開発機関との協力関係の構築と秘密保全強化が挙げられている。宇宙政策委員会と安全保障会議との密接な連携により、国益に資する宇宙開発施策の適切かつ強力な施行が期待される。

宇宙政策の司令塔機能をめぐっては、前述の通り「宇宙庁」構想が議論されていた。しかし、宇宙政策に関する企画立案と実施の一元化については、組織の肥大化の弊害などが指摘され、関係省庁との調整がつかず、同構想は見送られている。

しかしながら経団連などでは宇宙庁構想の実現を求める声もあるが、宇宙政策の司令塔機能をめぐる議論は今後も続けられるだろう。実は宇宙政策は、大陸間弾道ミサイル開発の技術保持と核武装した際の運搬手段としての国家プロジェクトの含みもある事から、宇宙開発を専管する組織が存在すること自体、非公式権力の皆さんから観ると、望ましくないのだろう。

既に核武装は時代遅れ。これより強力な武器が存在する事を理解した上で、今後の宇宙開発をどのように進めるのかが問われているのですよ。

スピントロニクス分野で新たな研究成果が!

2012年05月17日 | 日記
産総研の ナノスピントロニクス研究センターが「スピントロニクス」分野で注目すべき成果を挙げている

独立行政法人 産業技術総合研究所のHPによれば「室温で半導体ゲルマニウムに電子スピン情報」の入力に成功したという。

この発表に先立つ5月1日には「電子スピンの共鳴運動を電圧で制御」する事に成功している。
(※:このプレスリリースはビジュアルに、しかも懇切丁寧に解説しており非常に良い!) 

産総研の成果は、昨年8月の原子力機構と東京大学による「磁気・電気的性質を制御できる磁性半導体を開発」に続き、スピントロニクス分野における画期的な成果であり、今後の研究の進展により超省電力のスピントランジスタの早期開発と商品化が期待される。

産総研は、フルネームだと独立行政法人産業技術総合研究所だが、この産総研が次世代半導体材料であるp型ゲルマニウムの中へ、磁性体のスピン情報を入力することに世界で初めて成功した。p型のゲルマニウム基板、スピン情報源である鉄、厚さ約2ナノメートルの酸化マグネシウムを積層した電極を作製し、この素子の垂直方向に電流を流して、鉄からのスピン情報をゲルマニウム中へ入力すると言う芸当で、この現象をハンル効果で検証している。

前述の通り、産総研は大阪大学大学院の研究グループと共同で、超薄膜の磁石を使い電子スピンの共鳴運動を電圧制御することに成功している。
この共鳴運動の電圧制御は、鉄コバルト合金をサブナノメートル(ナノは10億分の1)まで超薄くし、絶縁体を使って、高周波電圧を加えるた所、電圧での制御が可能であることを実証した。この実証により従来の電流駆動制御に比べ200分の1以下での制御が可能となる為、所謂グリーンITと言うか低消費電力化が可能になる。

スピントロニクスと言う、電子が持つ磁石としての性質、所謂スピンを利用すると、極めて低消費電力のデバイスを作る事ができるので、今後の研究開発と速やかな商品化が期待される分野であるし、これまでは磁気的性質と電気的性質とを独立に変えられず、電子回路の製作に不可欠なpn接合などの素子が作れなかったが、これまた前述の原子力機構と東大、磁気・電気的性質を制御できる磁性半導体の開発も含め新スピントロニクス素子の実現が待ち遠しいのは自分だけではないだろう。

超伝導関連での国内動向が活発化している

2012年05月16日 | 日記
中部電力は、電磁力2000メガパスカルに対応した超電導コイルを開発したと14日発表している。
同社は、2004年頃から高性能な超電導電力貯蔵装置(SMES)等のマグネットや大容量・低損失な超電導ケーブルの開発を進めており、超電導線材の中でも、特に電流密度が高く、磁場中での特性低下が少ないイットリウム系線材の開発を進めてきている。

中部電力によれば、通常の金属系超電導コイルの電磁力に対する耐力は300~400 MPa程度。同社が開発を続けてきたイットリウム系超電導コイルの、超電導線材の強度限界は1000 MPaが最大。因みに100MPaは、直径1mmの糸で8kgの重さのものを吊ったときに糸に加わる力とされるので、イットリウム系超電導線材の電磁力耐性の強さが分かる。

しかし、今回の新たな構造の超伝導コイルは、1000MPaの2倍以上となる2000MPa以上の電磁力に耐えることが可能と言う。中部電力のイットリウム系超電導コイルは、通常の金属系超電導コイルの6倍と言う電離磁力耐性を持つコイルで世界最高。
これは凄い。

このイットリウム系超電導コイルは、金属技術では定評の東北大学と共同で開発したもので、重要な絶縁の部材には低温で硬化する液状のポリアミド樹脂を用い、超電導線材の特性を保ったまま絶縁する事を可能としている。従来の樹脂テープだと、コイルの曲げ加工の際にテープが切れて絶縁性能が低下することがあったが、ポリアミド樹脂はそれがない。
今回の中部電力によるイットリウム系超電導コイルの開発で、従来の超伝導コイルより小型でエネルギー容量が大きい超電導電力貯蔵装置(SMES)などへの実用化が加速されるだろう。

今後は、中部大学で直流超伝導を研究している山口作太郎教授との連携により交流&直流の超伝導研究に更に弾みがつくことに期待したい。

それと東京電力も超伝導ケーブルでの送電に関する実証実験を、今年11月に行うとしている。
この実証実験には、住友電気工業の超電導ケーブルを使い、国内初となる一般家庭への超伝導送電を行うもので、横浜市にはる東京電力・旭変電所から超電導ケーブルを引き、約20万キロワットの電流を流す事で、送電中の損失に関するデータを取り、既存の送電網を将来的に置き換えられるかを調査すると言う。

実は、東京電力管内には、275kV以上の高電圧送電ケーブルの総延長は400kmを超える規模で運用されており、送電中に約4万キロワットのエネルギー損失を出しており、これを超電導ケーブルに換装する事で、送電ロスを半分の2万キロワット以下に抑えたいのが本音。

それと先月19日、理化学研究所とNECの共同研究で、超電導の新たな物理現象が発見されており、新たな超伝導世界が開ける可能性がある。この新発見は、量子磁束と言う磁力線の最小単位が、超薄の超電導物質を「すり抜ける現象」。
この現象はジョセフソン効果とは真逆の現象で、2006年に理論的には予測されていたものを、今回の研究実験で確認したもの。この発見により、新たな超伝導の原理で動く素子の開発にもつながると期待されるいる。

まあ、何れにせよエネルギー損失を最小化した送電網の必要性は、国民一般もその必要性を感ずる所。
今後の積極的な技術開発と早期の超伝導送電網の実現に向けて邁進して頂きたい。

核セキュリティと核鑑識技術

2012年05月13日 | 日記
「核セキュリティ」(Nuclear Security)とは911以降使われるようになった言葉で、それ以前は「核物質防護」」(physical protection of nuclear material)と言っていた。

「核セキュリティ」の定義は、IAEAによると「核物質、その他の放射性物質、又はそれに関連する施設に影響を及ぼす盗取、妨害破壊行為、無許可立ち入り、不法移転あるいはその他の悪意のある行為の防止、検知及び対応」とされている。このIAEAの核セキュリティの定義範囲は極めて広いものだ。以前、核物質防護と呼ばれていた時の定義は、「核物質の防護に関する条約」によれば、規制される物質は、濃縮ウランやプルトニウムといった核物質であり、規制対象行為は国際輸送時の盗取等に限定している。
これが「核セキュリティ」となると規制対象は核物質プラス放射性物質が追加され、規制対象行為も核物質の使用、貯蔵、輸送での盗取、及び原子力施設そのものに対する破壊行為、更には核物質と放射性物質の不法譲渡と輸出入管理を含むもので、対応措置も不法行為防止と検知などの予防措置と、有事を際の破壊行為なども含まれるのだ。

この「核セキュリティ」が一般に知られるようになったのは、なんと言ってもオバマ大統領がノーベル平和賞を受賞するきっかけとなった2009年4月のプラハ演説だ。オバマはこの演説の中で核セキュリティが最も重要であると強調し、実際にオバマの核政策で一番注力している分野となっている。
それとプラハ演説では「1年以内に核セキュリティに関する世界サミットを米国で開催」するとも発言しており、この言葉は、その通り実行され2010年4月12日、13日両日、第1回目の「核セキュリティ・サミット」がワシントンで開催された。第1回「核セキュリティ・サミット」には、驚くことに核兵器不拡散条約(NPT)加盟を拒み続ける核兵器保有国であるインド、パキスタン、イスラエルも参観している。

第2回「核セキュリティ・サミット」は、今年2012年3月26~27日、韓国ソウルで開催され、第1回の「核セキュリティ・サミット」以降の各国の取組状況の報告と今後の取り組み、及び原子力安全と核セキュリティとの関連性等について議論が行われた。しかし、第1回の「核セキュリティ・サミット」と第2回「核セキュリティ・サミット」の間、実は日本と米国だけの2国間作業グループ「日米核セキュリティ作業グループ」が組成されており、第1回会合を2011年1月(東京)、第2回会合を2011年8月(米国サバンナリバー)、第3回会合を第2回「核セキュリティ・サミット」直前の2012年2月(東京)開催されている。米国が核セキュリティ分野において作業グループを立ち上げて活動しているのは通り日本だけだ。

「日米核セキュリティ作業グループ」の米国側参加者は、国家安全保障会議(NSC)、国務省、国防総省、国土安全保障省,連邦捜査局、原子力規制委員会(NRC)が参加。日本からは、内閣官房、内閣府、防衛省、警察庁、文科省、経産省、国交省、海上保安庁が参加する本格的なものだ。
実際この作業グループでの検討提案により2010年11月、六ヶ所再処理工場での核物質防護訓練を米国側関係者が視察し、引き続き東京で実施された武力対抗演習ワークショップに参加している。日本も2011年11月、米国クーパー原子力発電所での武力対抗演習を視察し、原子力規制委員会本部での核セキュリティのワークショップに参加している。

この核セキュリティで一番重要視されているのが、所謂「核鑑識技術」である。
核鑑識技術に関しては、第1回「核セキュリティ・サミット」において当時の鳩山総理が、核鑑識技術を3年以内に確立し、国際社会と共有することを表明しており、これを受けて2010年10月5日~6日、(独)日本原子力研究開発機構 (JAEA)主催の「核鑑識に関する国際ワークショップ」(International Workshop on Nuclear Forensics Following on Nuclear Security Summit)が開催されている。

このワークショップには、核鑑識に関係する研究所が参加している。主立った所では、欧州共同体超ウラン元素研究所(ITU/EC)、韓国原子力研究所(KAERI)、原子力機構、ロスアラモス国立研究所(LANL)、ローレンスリバモア国立研究所(LLNL)など。政府機関としては米連邦調査局(FBI)、米国土安全保障省、米核安全保障局、国際機関からは国際原子力機関(IAEA)、核テロに対抗するグローバルイニシアテ
ィブ(GICNT)、核鑑識に関する国際技術ワーキンググループ(ITWG)が参加している。

核鑑識に関するワークショップが日本の東海村で開催されたのには理由がある。実はIAEAの核査察の際の核物質探知技術を原子力機構の核物質管理科学技術推進部・技術開発室が開発しているのだ。これは余り知られていないが、IAEA保証措置局の下部組織である「保障措置分析サービス」(SGAS:Safeguards Analytical Services)の「核物質分析研究所」(NML:Nuclear Material Laboratory)オンサイト・ラボが六カ所村の再処理施設に隣接してある。このオンサイト・ラボでは日本の核物質試料を分析している。

さて核鑑識技術とはどのようなものか? 
核セキュリティの対象となる濃縮ウランやプルトニウムは、製造国や製造施設、製造時期などにより、それぞれ固有の特徴を有している。「核の指紋」である。この指紋を割り出す事で当該核物質の製造元、製造国を特定する技術が「核鑑識技術」である。

例えば米国ハンフォード核貯蔵所のゴミ捨て場から発見されたガラス瓶に入っているプルトニウムを分析した結果これは1945年、長崎に投下された原爆に用いるために生産されたプルトニウムの一部であることが判明。プルトニウム同位体濃度や、再処理方法からそのプルトニウムはオークリッジに設置された原子炉「X-10」で生産され、その後ハンフォードの軍事用プルトニウム再処理工場「T-Plant」で再処理された。プルトニウムの場合、同位体が崩壊する時系列データ「プルトニウムの指紋」によりプルトニウムの製造起源が特定される。特にプルトニウム241がべータ崩壊してアメリシウム241になるが、このアメリシウムの量を精密に分析するとプルトニウムの年齢が算定される。

現在、核鑑識データベースの構築作業が進んでいる。このデータベースには、世界中のウラン鉱石と生産されて濃縮ウラン、プルトニウムなど核物質の試料を収集し、試料の物質構成、同位体比率、不純物成分などを詳細に計量分析して結果をデータベースに投入している。分析対象は、ウランやプルトニウムだけでなく、代替の核物質になり得るトリウム(Th)、ネプツニウム(Np)、アメリシウム(Am)、カリホルニウム(Cm)なども含まれる。

核鑑識においては、精密に同位体比測定、元素定量を計量し確定する必要があることから「表面電離型質量分析装置」(TIMS)を使った「同位体希釈質量分析法」(IDMS:Isotope Dilution Mass Spectrometry)が用いられる。IDMSは、試料中に存在する元素を定量する場合、同位体組成の異なる標準物質を添加し試料と均一に混合し、その後混合物から元素を分離する事で生ずる同位体組成の変化を「表面電離型質量分析装置」により精密に測定し、元素の濃度を特定する技術である。

IDMSには「スパイク」と呼ばれる標準物質(トレーサー)が必要で、核鑑識に用いるスパイクは、LSDスパイク(Large Size Dried Spike)とよばれる。LSDスパイクは、ウラン及びプルトニウムをmgオーダーで含んだ硝酸塩の乾固物を、ペニシリンバイアルの底に固着させた標準物質である。例えばプルトニウムの場合には、プルトニウム239を主とした金属標準物質から調製され、そのバリデーションには絶対測定が可能な電位規制クーロメトリーが用いられる。スパイク1本あたり2mgのプルトニウム、40mgのウランと言う構成が一般的。
日本はこの同位体希釈法による分析測定誤差は0.1%であり、核鑑識に十分対応できる能力を既に有している。
但し、国内ではプルトニウム標準物質を供給できる組織がなく、海外から調達しているが、供給は逼迫している状況で、国内で金属プルトニウム239の金属標準物質調製を行える体制の整備が急務とされるが、金属プルトニウムが何に使われるかを考えれば、国内での供給体制確立はそのまま核武装に直結する為、慎重な対応が必要だ。

核鑑識の試料分析に当たっては、測定に先立ちイオン交換や固相抽出などの前処理操作を行うなど厳重な措置を行い、IDMS以外にも鑑識対象試料により精密滴定法、波長分散型蛍光X線分析法、ICP・MS(四重極及びマルチコレクタ磁場型)、aスペクトロメトリー、gスペクトロメトリーも用いる。

さて、核鑑識に必要な十分な試料があれば良いが、核武装を行う国や組織は秘密裏にそれを行うので、試料の入手自体が困難だ。このような場合、空気中、土壌、海水など環境サンプリングを行い、採取された極めて僅かな塵など微粒子を分析して、「核の指紋」を割り出す事が必要となる。例えば、ウラン234が測定されるとウラン濃縮工場の存在が証明される。またウラン236が測定されると再処理工場の存在が浮き彫りとなる。

空中から核物質を採取する特殊な航空機が存在する。それは米空軍のWC-135。このWC-135については過去ブログ「北朝鮮長距離弾道ミサイル打ち上げと、沖縄・嘉手納基地の第82偵察飛行隊と第390情報中隊」にも記載している。

WC-135は、空気中の微細粒子を採取するフィルター・ペーパー付きの収集装置を備え、採取した試料を高圧力で保存する圧縮装置を備えている。WC-135は、ソ連のチェルノブイリ原発事故や、先のフクイチ(福島第1原子力発電所)など核事故などや、2006年の北朝鮮核実験の際にも嘉手納基地から航空自衛隊のT-4練習機が付き添いながら朝鮮半島付近に進出して環境サンプリングを行っており、北朝鮮の核鑑識に必要な試料の収集に貢献している。

超微細な核物質や放射性物質を測定する為、核鑑識対象試料の化学処理にはクラス100のクリーンルーム内で作業する必要がある。現在IAEAの査察官が、世界各地の核関連施設で「スワイプ」と呼ばれるふき取り試料でだと、プルトニウムだと1フェトム(10のマイナス15乗)グラムという微量まで検出が可能。WC-135も同様フィルターを装備している。

採取された試料は、スクリーニング分析が行われる。スクリーニング分析では、gスペクトロメトリーや蛍光X線分析が用いられ、この段階で核種の粗々特定する。その後、バルク分析を行い、パーティクル分析に至る。このパーティクル分析で、数pgの同位体比情報を走査型電子顕微鏡と蛍光X線にて位置的情報を得て,二次イオン質量分析(SIMS)、TIMSを使って検知・測定し、同位体比や産地の特定が可能な不純物の同位体組成得ることができる。最近では、LGSIMS (large GeometrySecondary Ion Mass Spectrometry)が用いられる。
この装置は、ウランやプルトニウムなどの同位体比をSIMSより10倍の高感度で、しかも高速に分解能測定が可能で、採取試料の核物質の起源を従来より正確に特定できる。特に前述のウラン234やウラン236の測定に関して信頼性が著しく向上するほか、超極微債な粒子や高いバックグラウンドの試料に対する分析能力も向上する。

何時ものブログより長くなったが、数日サボっていたので、頑張った?のかも知れない。

北朝鮮によるGPSジャミング攻撃~5日連続で航空機と船舶に影響

2012年05月06日 | 日記
韓国の中央日報は、北朝鮮が5日連続でGPSジャミング攻撃をしていると報道している。

イランのステルス RQ-170 捕獲 と GPSジャマーの脅威」でも書いているが、韓国の中枢機能が38度線に近接している為、北朝鮮のGPSジャミング攻撃には脆弱で、民間は勿論のこと韓国軍も含め対策が急がれる。

北朝鮮は、韓国国防部発表によれば開城(ケソン)にGPSジャマーが配置されているとしている。この開城からのGPSジャミング攻撃は、4月28日6時14分に開始されて、仁川空港と金浦空港、烏山空軍基地でGPSに障害が発生。その後も間歇的に攻撃が続き、国防部によれば5月2日10時までに252機の航空機にGPS障害が発生。その大部分は大韓航空など韓国内航空会社の航空機241機で、それ以外は、外国民間航空機9社の11機。

北朝鮮のGPS攻撃は、海上交通にも影響を与えており、仁川海洋警察署によると、GPS妨害が始まった4月28日午前8時から5月4日午前1時35分までに漁業情報通信局と海上交通管制センターが受理したGPS被害船舶は122隻に達したと発表している。この中には海洋警察の警備艇8隻も含まれると言う。

国防部は、韓国軍に影響は無いと、当然発表はしているが、経費削減の為に、商用GPSを多用している韓国陸海空軍の兵器・装備類への影響は当然ある。

現状では北朝鮮により単純なGPSジャミング攻撃だけだが、今後はGPS以外でのサイバー攻撃も行われる可能性が高い。北朝鮮にはまともな社会インフラは無くは失うものが無いため、貧者特有の捨て身のサイバー攻撃を計画しているだろう。
北朝鮮によるGPSジャミングやサイバー攻撃は、今後高度化し、巧妙化する事は必然であり、特に電力システムなど社会インフラへのサイバー攻撃の準備も、北朝鮮国内のサイバー部隊、及び韓国国内に浸透している工作員などにより準備されていることを考えると、今後の抜本的な対策が必要である。

もし、サイバー攻撃で社会インフラが攻撃され機能不全となった場合、韓国が失うものは余りにも大きい。

米陸軍のサイバー部隊 「第780軍事情報旅団」

2012年05月06日 | 日記
米陸軍は2011年末、第780軍事情報旅団を創設し、米戦略軍の隷下に配された。

第780軍事情報旅団は、陸軍のサイバー司令部/第2軍(ARCYBER/2nd Army) 指揮のもと陸軍情報保全コマンドの9個旅団の内の一つ。因みに情報保全コマンドの隷下旅団は、以下の通り。

①第66軍事情報旅団、②第300軍事情報旅団、④第470軍事情報旅団、⑤第500軍事情報旅団、⑥第501軍事情報旅団、⑦第513軍事情報旅団、⑧第704軍事情報旅団、⑨第780軍事情報旅団。

第780軍事情報旅団は、一番新しい部隊だが、従来の軍事情報収集ではなく、サイバー空間における諜報活動と防諜を担当する部隊で、軍事システムだけでなく、将来の紛争に備えて、仮想敵国の電力システム、民間通信システム、交通関連のシステムなど社会インフラそのものへのサイバー攻撃も行う。

部隊編成されて間もない事もあり、また従来の軍人にもとめられていたスキルセットで対応出来ない分野の為、まだ本部と1個大隊程度の戦力だが、他の旅団と同様に順次部隊編成を進め、数個大隊、約1200人程度の規模となると想われる。

NSAや空軍、海軍、海兵隊のサイバー部隊と共ともに、同旅団の動向を注視していきたい。


ジャクソン・ポロック展とイラン

2012年05月05日 | 日記
ジャクソン・ポロック展が東京国立近代美術館で開催されている。明日で展示は終わりだが、入場者数も10万人を突破したという。

ジャクソン・ポロックは、言わずと知れた20世紀のアメリカを代表する画家で生誕100周年。
不幸にも44歳の時、自動車事故で亡くなっているが、その彼を描いた映画「ポロック―2人だけのアトリエ」も製作されている。アカデミー賞・助演女優賞受賞作品だ。

以前のブログでも書いたが現代画家では、ジャン・ミッシェル・バスキアとジャクソン・ポロックが好きだ。

しかし、今回のポロック展で不思議な点がある。それはイラン大使館が後援している事。
ポロックはアメリカ人だからアメリカ大使館が特別助成するのは理解できるが、何故、後援がイランなのか?
関係者に聞いたところ、ポロックの最高傑作との呼び声が高い1950年製作の『インディアンレッドの地の壁画』はイランのテヘラン現代美術館に、実は所蔵されているのだという。
所蔵はされているが展示はされておらず、これは退蔵というべきか。しかし、実に勿体ない事で至極残念だ。

どうもパーレビ国王の奥さんが様々な美術品を買っていた愛好家だった。モジリアニやジャコメッティ、ピカソなどの現代美術の巨匠の名品と共にポロックの作品も買って鑑賞していたようだ。
パーレビ時代のイランとアメリカの関係は良好だったので、現代アメリカ美術を代表する傑作も王妃が買うと言えば当時は買えたのだろう。一体幾らで買ったのだろうか?

稀代の悪女とも言われるファラ王妃だが、集めたのは絵画だけでなく、宝石の収集も凄いとか。彼女の宝石コレクションは、国立銀行の地下にある「宝石博物館」として展示されていると言う。宝石に興味が無くとも一見の価値ありとか~

しかし、革命後のイランも親日国であり続けている国で、アメリカは喧嘩腰だが、大切にしたい国である。
ジャクソン・ポロック展は、明日までだが、時間が許せば、是非とも鑑賞される事をお薦めする。
皇居の緑も濃くなり、特に「江戸城・二の丸跡」の雑木林は散策するに最適の季節である~

チベットはチベット! 断じて中国ではない

2012年05月04日 | 日記
昨晩、久し振りに近所のTUTAYAに行き、フィリップ・シュテルツェル監督の「アイガー北壁」とブラッド・ビッド主演の「セブン・イヤー・チベット」を借りてきて観た。通常のゴールデンウィークなら上高地経由、枯沢でビールをノンビリと飲んでいる筈だが、今年は腰痛の為、登山を断念し、自宅に居る羽目になっている。雨も降っているし、DVDでも観るか~となった次第。

「アイガー北壁」はグランドジョラス北壁、マッターホルン北壁とともに、三大北壁の一つで、北壁から登頂を目指す幾多の登山家の命を奪ってきた最難関の北壁。このアイガー北壁も1938年7月24日、ドイツ隊のアンデレル・ヘックマイヤー、ルートヴィヒ・フェルクと、オーストリア隊のハインリッヒ・ハラー 、フリッツ・カスパレクの4人の想像を絶する様々な困難を克服してついに北壁は彼ら4人の前に陥落した。

「セブン・イヤー・チベット」は、アイガー北壁の初登頂者の一人であるハインリッヒ・ハラーの同名書籍を映画化したものだが、冒頭は8000メートル峰14座の一つナンガパルバッド(8126メートル)の登攀から始まる。
ナンガパルバッドは、ドイツ=オーストリアにとっては将に「運命の山」。ドイツはヒマラヤ8000メートル峰の登頂競争で、ナンガバルバット初登頂を国威を掛けて3度の遠征を行い挑戦したが、悉く失敗。1939年のハラー達の遠征も失敗に終わった。

ナンガパルバッド初登頂は、戦後の1953年にオーストリア人ヘルマン・ブールの超人的な突進により征服された。何故「超人的」という形容がつくかと言えば、8126メートルのナンガパルバッド登頂はなんと「無酸素」だった事による。
実は同じ年にエベレストもイギリス隊により、エドモンド・ヒラリー卿とテンジン・ノルゲイによって登頂されているが、彼らは酸素ボンベを背負っての登頂だ。1970年、日本人として最初の登頂となる松浦輝夫と植村直己の二人も背中には酸素ボンベを背負っての登頂。
因みに今のエベレストは、彼ら登山「屋」が捨てた酸素ボンベで、サウスコルなどは雪でよく見えないが文字通り埋め尽くされているような状況だ。ヘルマン・ブールはそれを無酸素でやってのけたのだ!凄い~

それとナンガパルバッドと言えばラインホルト・メスナーだ。
ブールと同じく無酸素で登頂している。しかもアルパインスタイルでだ。
彼は1970年に弟のギュンターと共にナンガパルバッドに登頂しているが、その後ギュンターは雪崩に巻き込まれたか、原因は不明なるも死亡。遭難した弟を捜してメスナーもナンガパルバッド山域を彷徨した。そのギュンターの遺体は2005年に発見されて故国で埋葬された。

さて、ハラーは、カラチでイギリス軍に拘束されるが、脱走を繰り返し、ついに脱走にアウフシュタイナーと共に成功する。目的地は、ヒマラヤの向こうにある中国。日本軍が支配する地域まで移動すると言う。当時は援蒋ルートがあり、ビルマから中国国内への輸送ルートがあったが、陸上移動はもとより、ハンプ超えと言われる輸送機や爆撃機でのヒマラヤ超えは、当時では非常な危険を伴うものだった。
3.10の東京大空襲をやった虐殺者カーチス・ルメイも「命懸け」と回想している。
それを徒歩でヒマラヤを越えて、紆余曲折を経てチベットに行った事は、それを表す言葉もない~文字通り言語を絶する。

ハラーとアウフシュタイナーの二人は、何とかラサに侵入し、居着く事ができた。ハラーは今のダライラマ14世の母親に呼ばれ、ダライラマのお近づきを得る事ができた。これもひとえにダライラマの旺盛な好奇心のなせる技。そうこうしている内に連合軍のノルマンディー上陸があり、ついに1945年5月にはドイツが降伏し、断固ハラーは帰国を決意する。

しかし、その当時からチベットへの中国人民解放軍によるチベット侵略が始まっており、「セブン・イヤー・チベット」でもその辺りが描かれている。勿論、中国共産党は国内での放映を禁止する。
このハラー以外でも中国のチベット侵略を書いた本は、多いだろうが自分が感銘を受けたのは中沢新一氏の師匠であるラマ・ケツン・サンポ氏の自叙伝「知恵の遙かな頂」である。ハラー達とは違い、逆にチベットからインドへの逃避行が書かれている。当時の緊迫した状況が窺える貴重な記述だと想う。

しかしながら、ついに1959年、ダライラマ14世がチベットを脱出しインドに至る事となった。この事は、既に予言されていた事で、まあ、チベットの偉いお坊さん達には「来るべきものが来たな」という諦観だったろう。
しかし、この逆の予言もある。中国のチベット支配は永遠では無い。

中国共産党は、ダライラマ離脱後、チベットの貴重な文化財や書籍・仏像・絵画などを破壊し、チベット人そのものを漢人との混血で汚そうとしており、この暴虐は、絶対に赦せない。
しかも1988年12月にチベット自治区の書記に就任した胡錦濤は、中華人民共和国建国後、初めての戒厳令を施行し、チベット人の当然の権利である自治を認めず、人民解放軍に命じてデモ参加者、及び関係の無い一般のチベット人を大量虐殺した張本人だ。

中国は青蔵鉄道を建設するなどチベット併合を着実に進めているように見えるが、共産党の目論見通りには行かない。
ダライ・ラマはインドからチベット・ラサに帰還するし、パンチェンラマの問題も解決する。
これは人知を超えている。予言は成就される為に成される。

チベットはチベットであり、断じて中国ではない。

カルトムービー 『ロッキー・ホラー・ショー』 と 『グレイトフル・デッド』 の類似性

2012年05月02日 | 日記

ブログでも書いたが超弩級カルトムービー 『ロッキー・ホラー・ショー』とツアーバンド『グレイトフル・デッド』と言う2つの現象には類似性を感じる。
その類似性とは、習慣性。常習性と言っても良いかもしれない。

福岡出身のいのうえひでのり氏が代表を務める『劇団☆新感線』が20年の構想を経て『ロッキーホラーショー』の舞台版を昨年2011年12月9日を皮切りに~今年2012年2月12日まで東京や福岡などで公演した。
主演は勿論、古田新太氏。古田氏の「フルタ」は、「ロッキー」の「フランクフルター博士」から取ったという。いのうえ氏もフルタ氏も大の「ロッキー・フリーク」を自称してはばからない。

『ロッキー・ホラー・ショー』は1973年にロンドン初演。原作はリチャード・オブライエン。
オブライエンの原作を翻訳したのは英語とフランス語に堪能な高橋ヨシキ氏。
ヨシキ氏も大のロッキーマニアで、いのうえ氏やフルタ氏両名より、その習慣性と言うか常習性は徹底している。
聞くところによればヨシキ氏が『ロッキー・ホラー・ショー』を鑑賞した回数は、舞台と映画&DVDを含め軽く1000回を超えると言う。

『ロッキー・ホラー・ショー』との類似性を感じるのは、アメリカのカルト的ロックバンド『グレイトフル・デッド』。
最近、『グレイトフル・デッド』のファン獲得と集金手法が注目を集めているが、それは彼らがソーシャルマーケティングの先駆者ではないかとして『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』が出版されている。

この本の著者デイヴィッド・ミーアマン・スコット氏でも、50回近くのライブに参加しており、『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』の共著者ブライアン・ハリガンもやはり100回以上デッドのライブに参加していると言う。舞台や映画、DVDの1000回も凄いが、ライブの100回も凄い。
『グレイトフル・デッド』の場合、彼らのライブツアーに一緒に全米をついてまわる人達も多数いたそうだだから、まさにカルト集団化していたわけだ。

超弩級カルトムービー 『ロッキー・ホラー・ショー』 と ロック・バンド 『グレイトフル・デッド』 の類似性と題しているが、本当にこの習慣性と言うか、常習性というかカルト的な『ロッキー・ホラー・ショー』 と 『グレイトフル・デッド』 には今後も注目していきたい~

最後に『ロッキー・ホラー・ショー』と同時放映されていたキッチュ・ミュージカル『ファントム・オブ・パラダイス』についても要注目ですね。