皆さんは「難曲」と聞くと、どう感じます?
ものすごいスピードで指が動く、超絶技巧
を思い出すと思います。
今回は、別の意味の難曲を紹介します。
私はバイオリン弾きなので、バイオリンの曲
を中心に紹介します。
最初は、バッハ。
クラシック界では、「バッハに始まり、バッ
ハに終わる」と言われています。
若い頃は、「そんなことは、ねえだろ」と思
っていたのだが、近頃は、理解できるように
なりました。
無伴奏バイオリンソナタの一部。
赤い囲み部分に注目です。
「どこが、難曲なの?」
物理的に、音が出せない和音なのだ。
バイオリンは、弦が4本。G、D、A、Eです。
指は4本。全音符を鳴らしながら、4分音符
を鳴らすことはできないのだ。
「えっ、音符は3つだけど?」
詳しく説明すると長くなるので、短く
言うと、弦の音程と押さえる指の関係
で、できないのだ。
バッハ先生の頭の中には、和音が響いている
のだろうが、実際には弾けないのだよ。
なんで、こんな曲、作っちゃったのか?
たぶん、バッハ先生は、鍵盤楽器の感覚
で、書いたのかもしれない。
「んで、どうするの?」
無伴奏バイオリンソナタ・パルティータの楽
譜を買うと、いたるところに、有名な演奏者
の「私だったら、こう弾きます」という変更
楽譜が掲載されています。
演奏者は、それを参考にしながら、自分なり
の解釈で演奏しています。
楽譜を見ながらCDを聴くと、「そう、きた
か」みたいな感じを、味わえます。
次は、パガニーニ。
あまりの超絶技巧のため、「悪魔に魂を売っ
た男」と呼ばれました。
いまだに、彼を超える演奏者はいない、と
されています。
ピアノのショパンコンクール、バイオリンの
パガニーニコンクールが、頂点です。
彼は、ほとんど楽譜を残しませんでした。
楽譜にすると、彼の演奏スタイルがすぐに、
パクられてしまうのです。
「聴きたかったら、お金を払って、チケット
を買ってね」というスタイルだった。
24のカプリースの一部。
ピアノでは、目一杯指を広げても、せいぜい
1オクターブをちょっと超えたくらいしか鍵盤
を押せない。
バイオリンも同じで、1番の人差し指を押さえ
て、いっぱい指を広げて4番の小指を押さえて
も、1オクターブをちょっと超えるぐらいなの
だ。
それが、それ以上広げなければならない。
それも、連続である。
手の小さい女子は・・・まあ、無理だね。
CDは、いっぱいあるので、演奏できてる人は
いるんだが・・・
最後は、ボレロで有名なラベル。
ツィガーヌという曲だ。
「白い菱形」の音符は、フラジオレット、ま
たはハーモニクスといって、軽く指を押さえ
て、口笛のような倍音をだす音。
「+」の音符は、指ではじくピチカート。
弓を持った右手ではなく、左指ではじくの
だ。
人差し指で押さえて、中指ではじく、という
ような感じである。
「+」がない通常の音符もあるから、高速で
弾いたり、はじいたり、を繰り返すのであ
る。
私なんか、実際に演奏しなくとも、見ただけ
で、「できるわけない」とわかる(笑)。