孤独な子育て

同じ住宅の住人で待ちに待った赤ちゃんが生まれてもう少しで3か月になる。
そこの親子は、ここに入居した時からの付き合いなので、親子とも良く知った仲。
赤ちゃんのパパはとっても色白できれいな玉の肌のような赤ちゃんだった。

一寸やんちゃな男の子だったけど、すっかり社会に出てから、逞しい、いいお兄さんになり
可愛いお嫁さんをめとった。
彼のご両親家族は、近くへ豪邸を建て引っ越し、新婚さんだけが同じ住宅に住む事になった。

カタバミ

今時好感の持てるお嫁さん。顔を合わせばにっこりと「こんにちわ―！」と彼女から声をかけて
くれる。
共に20歳代の若さだけど仲良く生活していて、私が畑を耕していても、声をかけてくれる。
「赤ちゃんが出来たので、産まれたら抱っこして下さいねー」と言われて私も「未だ―？未だ―？」と
楽しみにしていたものだ。

先日もヤングパパが畑に「見て見て！」と抱っこして来たので、余程嬉しいんだな～。
私まで嬉しくなってしまった。
毎日、毎日大きな声で泣いているが新生児と言うのは、泣き声さえ可愛い。

だけどママともなれば、寝不足は続くし連日ではすっかり参ってしまう。
ノイローゼになる人もいる位だもの。

　オキザリス　　


外の掃除をしていると、ママが赤ちゃんを抱っこして「大きくなりました―」と見せに来た。
3か月経っていないのに、あやすと反応して笑ったりするので、すっかりベイビーの虜になってしまった。


「ママー、今が一番大変だけど寝返りが出来るようになると、夜泣きしない様になるから
もう一息頑張ってね」と何気なく言ったつもりなのに・・・・・
彼女の大きな瞳から大粒の涙がこぼれて止まらなくなった。
「とっても苦しいんです。パパも当てにならないし～～～」夜、遊びに出かけたりしちゃうらしい。

出産3か月位って、育児の不安も大きいし、赤ちゃんは昼となく夜となく泣き続けるし・・・・
ママも新米だからパニックしてしまう。実家も遠いし・・・誰も話し相手はいないし…。
どれ一つとっても不安で切なくて、赤ちゃんより自分の方が泣けて来てしまうらしい。

皆経験する事だけど、私もとっても辛かったから良く分かる。
「出来るだけ協力するから、遠慮なく言ってね」　「有難うございます」
「おんぶひもは有るの？」　「はい買って有ります」なんて会話の内に段々彼女の顔が
明るくなって来た。

　　　　　　　　　　　　　　

たった五分でもおんぶや抱っこをしてあげればホッとするだろう。背中におんぶして
お守する位何の大変も無い事だ。住宅は高齢者ばかりだから、赤ちゃんの笑顔は天使の笑顔。
だっこは転ぶと危ないので私はおんぶにしよう。

たった数カ月の事で、大分ママの方も楽になる筈だ。もう一息で夜泣きもしなくなる筈。

「お茶でも飲んでらっしゃい、買い物でもしてらっしゃい」と言ってあげよう。
私がストレスで一杯の時、そんな一言、一回でも言って欲しかったと遠い昔を思い出した。