赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

current topics(35) 韓国、MERSの現状 死亡者はまだ増える可能性

2015-07-01 11:30:00 | 政治見解
日本では話題になることが少なくなりましたが、韓国のコロナウイルスによる死亡者数は現時点で53名となっています。感染者の増加はほぼ終息しているのですが、状態の悪い患者もいて死亡者数はまだ増える可能性があります。韓国政府は正確な数字を発表しませんが、発表しないことのメリットがどれほどあるのかは疑問です。国民はこうした韓国政府を全く信用していません。降り続く雨と同じく暗い空気が韓国を覆っています。

 
※情報筋から当ブログに寄せられたニュースの要点をお伝えしています。

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中国の軍事覇権戦略と表裏一体のAIIB

2015-07-01 00:00:00 | 政治見解


赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』(35)

中国の軍事覇権戦略と表裏一体のAIIB

AIIBに「途中棄権」した7カ国

アジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設メンバー57か国のうち、フィリピン、デンマーク、クウェート、マレーシア、ポーランド、南アフリカ、タイの7カ国が署名を見送りました。

この問題に関して、国際情勢の専門家からの【第一報】は以下のものでした。

中国の主導するAIIBに、参加各国が次々に署名しているようです。

AIIBは軍事的戦略が背景にあることは間違いありません。単に経済的な枠組みの問題ではなく、中国にとって都合の良い軍事拠点の確保という意味合いがあります。フィリピンなどはその意図を察知しているので署名を見送っています。

EU関係国が署名した理由は、ギリシャのデフォルト問題があります。既存の機関では救済に限界が生じているので、AIIBを利用しEUの負担を軽減したいとする思惑があるようです。不可能に近いことなので、中国の出方次第では、その時点で参加を中止する可能性があります。



AIIBは中国の世界覇権戦略の中心軸

AIIBは「中国の経済戦略」であるとの見方が一般的ですが、その背景には経済的支配をテコとして、軍事面でも従属下に置こうとする中国の世界覇権の思惑があります。南シナ海周辺諸国での中国の行動がそれをよく表しています。

その本質を最初に見抜いたのが日本でした。6月のはじめ、ドイツで行われたエルマウ・サミットの席上、安倍総理は、中国の実態を具体的に提示しました。【※1】。
【※1】産経新聞引用:「アフリカにおける中国の援助は、アフリカの人々のために本当に役に立っているのだろうか」、「中国はフィリピンが『いらない』と言うのに金を貸し付け、南シナ海でトラブルが起きると『すぐに全額返せ』と言ってきた」、「ミャンマーで『難工事になるから無理だ』というのに、無理やりお金を貸し付けて山奥にダムを造らせて、結局途中で工事は中断してしまった」

中国の悪質な世界覇権戦略を認識したG7首脳は驚きを隠せなかったようです【※2】。
【※2】産経新聞引用:「AIIBにすでに参加表明した一部首脳は『わが国は日和見だった』と釈明。議長国ドイツのメルケル首相は『G7でAIIBに入っていないのは日本と米国とカナダ。自分たちは入ってしまった』とこぼした」。


なぜ、7カ国はAIIBへの署名を見送ったのか

情報筋からの【第二報】で、AIIBへの署名を見送った国々の実情が明らかにされています。

フィリピン、クェート、マレーシア、ポーランド、タイは日本の働きかけにより署名を見送りました。デンマークは日本とアメリカの働きかけで見送りました。南アフリカはアメリカの働きかけで見送りました。

日米両国がAIIBに対する本質的な危機感を共有したと考えられます。そしてAIIBの一連の動きが、アメリカの危機意識を目覚めさせ、TPP推進へ一気に動き出したのです。


アメリカはTPPで中国の軍事戦略を抑制する

以前からTPPは中国への牽制目的だとされてきましたが、TPPを主導した肝心のアメリカが議会の承認が得られず足踏み状態が続いていました。アメリカ下院は6月18日、TPPの前提となる貿易促進権限(TPA)法案について再採決を行い、賛成218・反対208で可決。6月24日に上院で賛成60・反対38で可決。これでTPP交渉は一気に妥結に向かうことになりました。

流れが変わった背景には、アメリカがAIIBの裏に隠された中国の軍事的戦略を明確に認識したからです。単に国際的な経済の枠組みや、自国の農産物の輸出入の関税云々の問題ではないことに気付いたのです。


EUの思惑と中国の思惑

さて、EU諸国でAIIBに参加した国々は、中国の覇権主義の本質を理解していないことにあると思います。しかも、GDP世界第二の経済大国として、また膨大な人口を抱えていることからマーケットの拡大に期待したこともその一因にあるはずです。その上、その中国がアジア全域にマーケットを広げようとするのですから、経済の鈍化に悩むEU諸国も中国の誘いには簡単に乗ってしまいます。

また、EUにはギリシャ問題【※3】があり、EU経済を直撃する不安がこの流れを加速したと思われます。
【※3】経済評論家の渡邉哲也氏は「『借りたものは返さなくてはいけない』これは当たり前の道理であるが、これが通用しないのがギリシャであり、『働いたら負け、返したら負け』の社会が更にひどい状態になってしまった」と指摘する。

しかし、そのようなEU諸国の期待は「うたかたの夢」で終わる可能性があります。情報筋からの【第二報】はこのように述べています。

署名した国々の中でイギリスはアメリカからも釘を刺されていて、AIIBの内情偵察が主目的となり経済的メリットがなければ早々に撤退することを考えています。

フランスは中国に対し軍事関係の輸出ができれば残るし、メリットがなければ撤退します。

ドイツはEUにとってメリットがなければ撤退します。

結局、中国にとって都合が良いだけの仕組みですが、参加国の多くは参加することで経済的な恩恵にありつけると勘違いしているようです。参加国の多くは自国の経済もままならないからです。


AIIBで何の利益も得られないということであればEU諸国もかなりドラスチックな動きをすると思われます。


中国経済破綻の可能性

中国は厳しい経済状況にあるようです。報道では「中国が0.25%の追加利下げ、昨年11月から4度目、株価下落と実体経済不振のダブルパンチに危機感」とあるように、中国では株式市場の下落が止まりません。また、中国政府はAIIBを通して諸外国からの資金を「中国の支援」として使う意図があるとも言われていました。

場合によっては、EU諸国はギリシャの負債に加えてAIIBの負債まで背負わねばならない可能性もあります。


挑戦する中国にいかに対処すべきか

現在の国際社会における主導権はアメリカにあります。それに対して中国はAIIBを前面に押し出してアメリカに挑戦しようとしています。

中国主導のAIIBの背景にははっきりと軍事拡大の意図があります。国家として成熟していない中国が軍事力を行使するまでのタイムリミットはそう長くないことを知っておく必要があります。

このようなとき、日本の取るべき道は、中国が暴走しないように対話の回路を維持するとともに、国内では安全保障法制の早期成立が大切な要素になります。

そして引き続き、アジア開発銀行の活性化を図り、アジア諸国の平和と発展のためのインフラ整備を推し進めることが大切です。その良き手本を示すことが、隣人である中国を間違った方向に向かわせない方法であると思います。


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