コラム(15):日経新聞の英国FT買収の損得勘定
日本経済新聞社は、英国の有力経済紙フィナンシャル・タイムズを1600億円で買収すると発表しました。日経新聞は、読者数で世界最大の経済メディアが誕生すると述べています。
結論を先に申しますと、日本経済新聞社は高い買い物をしたのではないかと思います。
今回の買収で日本経済新聞は一躍有名になりました。同業のマスコミ業界においては「すごいね」と言われるほどのものがあったことは間違いがありません。しかし、一般の人びとから見ると「フィナンシャル・タイムズって何?」というのが率直な感想で、特段の関心事項ではありません。
問題はフィナンシャル・タイムズと日経新聞の社風が一致しないことにあると思います。フィナンシャル・タイムズは売却されるとは言え、プライドだけは高いのです。その分、わがまま放題になることが予想され、日経新聞が統御できるかどうかは疑問です。フィナンシャル・タイムズ側から「伝統と格式の違い」を主張され日経新聞も黙らざるを得ないのではないでしょうか。
日経新聞としては、フィナンシャル・タイムズの持つ「権威」も含めて買収したつもりだと思います。しかし、売りに出された時点ですでに権威は失われているのです。したがって、日経新聞のこれまで培ってきた権威までも押し下げてしまう可能性があります。
日経新聞社は、余計な荷物を背負い、逆に失うものが大きく、結果的にあまり良い選択とは言えなかったのではないでしょうか。
日経新聞社の根本にはフィナンシャル・タイムスに対する劣等感の裏返しの感情が潜んでいたようです。優越意識を満足させたいがための買収は高い買い物だったと言わざるを得ません。
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