赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

コラム(12) 安全保障法制をめぐっての政界再編の動き

2015-07-11 00:00:00 | 政治見解


コラム(12):安全保障法制をめぐっての政界再編の動き

安保法制対案、民主党が維新の党に便乗

維新の党が安全保障法制の対案を提出しましたが、その際、民主党岡田代表は「維新の党案は民主党の案と基本的に同じ内容だ」として、国会への共同提出を前向きに検討する旨を表明しました。途中、二転三転しましたが、結局は、維新の党対案に民主党が便乗することになったようです。

岡田代表が維新の党案に便乗したことによって、民主党は「何も考えていない」ということを図らずも露呈してしまいました。集団的自衛権行使容認決定が昨年(2014)の7月に閣議決定されて一年も経つのに、他党案が出されるや否や検討もせずに飛びついたことがそれを物語っています。民主党の能力の無さが露見した事例と言えます。

政界の事情通はどうみるか

こうした岡田民主党の行動について、政界の事情通に背景説明をお伺いしました。

民主党は対案など全くありませんでした。国民の「アラ探しばかりの民主党」に対する批判を気にしているようです。

民主党の枝野氏が維新の党に対し「政権に手を貸すつもりか」と怒りをぶちまけましたが、それにはさすがに維新の党側もあきれたようです。松野氏も、安保法制の議論よりも政権打倒だけを口にする枝野氏に対し異常性を感じたようです。

対案の共同提出と言ってますが、民主党はなにもしていませんでした。一方、自民党は対案は維新の党が作成したことを承知しています。いまのところ、若干、維新の党の意向を取り入れた形で通過させても良いと考えています。



新たな展開、今度は、維新の党に亀裂が走る

維新の党と民主党による安保法制対案の共同提案が決まった時点で、今度は対案の発信元である維新の党の見解が割れています。新聞見出しにも「集団的か、個別的か…表現めぐり維新内紛 橋下氏は離党も示唆」とあります。これは、橋下徹最高顧問が、「維新は集団的自衛権を否定していない」、「個別的自衛権拡大説を押し通すのはおかしい」として党見解の破棄を主張しているからです。

この点についても前述の政界の事情通にご意見を伺いました。

橋下氏は安倍総理との会談でのお約束を守るつもりです。しかし、江田、松野グループがそれを無視し、民主との関係を継続しようとしています。

とにかく橋下氏は民主党が大嫌いで、維新の党が民主党と連携して何かをやることに苛立ちを見せています。橋下氏は党内を一つにまとめることは既に諦めているようです。

橋下氏は独自に自民党との連携を図る考えがあるようです。つまり、江田、松野のいわゆる結いの党グループ以外の党員が採決に臨み、可決させるというものです。

その前提には、橋下氏が提案した修正案を一定のレベルで自民党が呑むことが条件になりそうです。

維新の党の解党、分党、分裂などは避けられないようです。

一方、民主党は安保法制の基本的な独自案を持っていませんので、維新の党の分裂の余波を受け宙ぶらりんの状態になることが予想されます。

結局、本題とは別の「瑣末なアラ探し」に終始するようです。本当は国民の安全などどうでも良いと考えている民主党の本性が、鮮明に表れて来ると思われます。



維新の党が国会を変える目玉となった

『コラム(5):維新の党から始まる政治変革の流れ』でお伝えしたとおり、維新の党の国会に対する姿勢が民主党を慌てさせています。

橋下氏の「民主党ももっと考えるべきだ。審議拒否して強行採決に追い込み政府与党にダメージ。そんなの意味ない。野党は政府与党に対案をぶつけ、それを無視した与党にダメージを与える王道を歩むべき」というツィートが大きな影響力を与えたのは確かです。民主党も維新の党の流れに呑み込まれたと言っても過言ではないと思います。

民主党は安保法案の採決に応じると党の分裂につながるので、最後まで抵抗を続けると思われます。党の存立だけを気にしているのです。

一方、維新の党も内部の民主党に近い人たちとそうでない人たちの色合いがはっきりしてきました。政策論においても「集団的自衛権行使容認」派と「個別的自衛権拡大解釈」派に分かれてきています。政策的意見の違いは、政党として成り立ちませんので、政界の事情通のご意見の通り、分裂するしかありません。

ただし、維新の党にとっては政策的にスッキリし、また、選挙目当てで近づく人たちを排除するメリットもあると思います。

結局、政界は野党第一党の民主党が何も解決できない中、維新の党が再編と改革の目玉となりそうです。


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