赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

民主党が生き延びる道--安保法制成立後の情勢変化(2)

2015-10-08 00:00:00 | 政治見解




民主党が生き延びる道  安保法制成立後の情勢変化(2)

共産党に主導権を奪われ続ける民主党

民主党は特別委員会や本会議での過剰なパフォーマンスが国民の顰蹙を買うばかりでしたが、一方の共産党は院外闘争で衆目を集めていました。

民主党は戦いの主導権が取れないまま、共産党の戦術に便乗するしかありませんでした。

また、国会前のデモ隊から、マイクを手にした民主党の枝野氏に対し「お前のためにデモをしているんじゃない」と言われたように、戦略と実情の違いが認識できないことも露呈してしまいました。


国会終了後の政界再編の動きでも、その渦の中心は共産党と小沢一郎氏で、野党第一党の民主党が主体となって動いているようには見られません。

本来、反安倍勢力結集のためには数的に優位な民主党が主導権を取らねばならなかったのですが、集団的自衛権容認派から共産党と親和性を持つ人物まで混在するようではまとまるわけがありません。共産党の「国民連合政府」構想で揺れ動き、「壊し屋」の小沢一郎氏の画策の前にはなす術もなく。自らの立ち居地を定めることができないのです。


捏造された世論調査結果に踊らされる

それでも、民主党幹部は安倍政権打倒を掲げることで世論は必ず付いて来ると思い込んでいるようです。その原因はマスコミによる世論調査の内閣支持率を根拠としているからです。しかし、彼らは、民主党の支持率については直視していません。都合のいい数字ばかりを見て、世論は必ず民主党に味方するはずと思い込んでいるわけです【※1】。

【※1】9月の時事通信の政党別支持率によれば、自民党が23.3%、民主党が4.9%となっている。岡田代表らが「安保法制に反対する世論が7割を超えている」と発言するのは、自民党支持率以外が70%を超えていることを論拠としているからである。しかし、この調査では63.5%が政党支持はないと回答していることを留意しなければならない。

共産党と親和性のある枝野氏らは「国民連合政府」構想に積極的に応じようとし、細野氏や前原氏などは維新の党に接近して自らの地位を確保しようとしています。しかし、確固たる信念もなければ定見も持ち合わせない状態で野合しても結局は迷走を繰り返すだけです。


民主党の本質的危機

2016年7月の参議院選挙では、民主党参議院議員59名中、改選議員は42名にも上ります。この中には、国会審議の過程で何かと話題になった人たち【※2】が目白押しの状態です。

【※2】2016年改選の有名議員:北沢俊美(長野)、小川敏夫(東京)、輿石東(山梨)、福山哲郎(京都)、蓮舫(東京)、徳永エリ(北海道)、小西洋之(千葉)、比例では津田弥太郎(引退)、白真勲、有田芳生、田城郁、・・・(敬称略)

これらの方々は安保国会で派手なパフォーマンスを繰り広げましたが、これが選挙で吉と出るか凶とでるかは有権者の選択次第ですが、正直、あまりいい感触はないように思えます。

一方、民主党の支持母体である連合は、民主党支援強化を承認してはいるものの、自らの組織自体に危機感を抱いています。連合会長の古賀伸明氏は「連合のメッセージが職場や地域に届かず課題解決の選択肢として認識されていない」と述べている通り、労働組合の求心力低下は否めず、危機感を募らせています。


民主党が再生するには・・・

現状を見る限り、次の選挙で民主党が躍進する要素はありません。仮に、共産党や維新の党、小沢一郎氏らと大同団結しても、それは「対案なき反政府連合」に過ぎず、世論の支持を得ることは不可能です。また、野党勢力の結集が共産党主導であれば、世論がこれを許すはずもありません。2016年参議院選挙では改選数の半分の確保も厳しいのではないでしょうか。

民主党が国政政党として生き延びる道があるとするなら、安倍政権への罵倒をやめ、対案を通して政策での競争をすることです。

「日本はどういう国家であるべきか」とのビジョンを国民に提示し、「日本国民のための政党」へと自己変革した上で、国家像、憲法観、安全保障政策、外交政策、経済政策を明らかにすることが何よりも先決だと思います。



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