赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

新局面に入った日中、米中関係 コラム(59)

2015-10-15 00:00:00 | 政治見解



コラム(59):新局面に入った日中、米中関係


米中首脳会談の真相

米中首脳会談は、中国側の謳い文句であった「信頼関係の増進と疑念払拭の旅」とは裏腹に相互の溝の深さが浮き彫りになりました。

現地で取材していた情報筋も次のように述べていました。

・米航空機大手ボーイングに対して提示したジェット機300機の購入も、資金不足から実際は2機程度しか購入できないと見られる。ボーイング社もそれは先刻承知している。

・習氏は、マイクロソフトやアップル、アマゾン・ドット・コムなどの米ハイテク企業の幹部と会談したが、米企業側は歓迎の言葉とは裏腹に中国とは組みたくないと判断している。

・首脳会談では、中国によるサイバー攻撃や南シナ海での暴挙に対してアメリカからの強い抗議があった。それを中国が突っぱねたが、それにはオバマ大統領も激怒した。

・共和党の大統領選挙立候補者の面々も「南シナ海の人工島を爆撃せよ」とまで思っている。


実際、習氏への接遇も儀礼的なもので、同じ時期に訪米したローマ法王への歓待ぶりとは大きく違っていたことは、米中関係の軋みを露呈させるものとなりました。


国連で露呈した中国の資金不足

国連総会に出席した習氏は、一般演説の場で、「国連の活動を支援するため10年間で10億ドル(約1200億円)規模の平和発展基金を創設する」と表明しました。しかし、その一方で国連分担金の増額要請を拒否するなど、口先に過ぎないことがすぐに明らかになりました【※1】。本当は中国に資金力が無いことを意味しています。

【※1】10月8日、中国の王民・国連次席大使:「中国を他の発展途上国と区別することに反対する。わが国の支払い能力を超えた計算方法は受け入れられない。中国は経済規模が大きいが、1人当たりに換算すれば正真正銘の発展途上国だ。中国の支払い能力はここから評価する必要がある」(シンガポールの聯合早報網)。




日本への恫喝は資金目的

中国国内は経済環境が著しく悪化したため日本から如何に金を引き出すかを思案しています。いまだにAIIBへの参加を呼びかけていることからもよくわかります。しかし、日米関係が強固になった今、日米が連携している分野で日本に揺さぶりをかけることはできず、日中間の問題で恫喝しようと考えています。

現在、南京事件の文書を記憶遺産に登録した問題や、慰安婦問題を韓国と連携して登録しようとする行為も金銭対価を要求する手段です。かつて韓国が日本に対して行った「謝罪と引き替えの金銭要求」を模倣したものです。

また、中国公船による尖閣諸島接続水域への領海侵犯、「日本人スパイ」問題も同様で、あらゆることに難癖をつけながら、最終的には金銭対価を求めようとしているのです。


日本人の中国離れは加速する

以前、当ブログで「韓国への静かなる経済制裁【※2】」と書いたことがありますが、それと同様の現象が中国に対して起こりそうな気配になっています。

【※2】韓国への静かなる経済制裁:韓国政府や韓国メディアによる日本批判に対し、日本政府は細かく取り上げて反論をせず、積極的に韓国を排除しようともしていません。日本国民も不買運動をするわけではないのに韓国製品の購買意欲が低下し、渡航禁止を言うわけではないのに訪韓旅行者が低減しています。日韓の経済交流も減少し、韓国企業の低迷が続いています。専門家は「激しい憎悪や批判がその国への経済制裁に等しい状況をつくる原因になっている」と指摘しています。

問題は日本企業の中国からの撤退方法です【※3】。

【※3】専門家の指摘:「ほとんど資金の回収は望めないというのが現状のようです。さらに、撤退後の技術秘密保持や企業呼称の問題に加え、最も精神的に消耗するのは、上記プロセスの過程でパートナーと争いとなること、特に過去の経営方針の食い違いが蒸し返されたり、税務局・税関等の審査で企業内に内在していたさまざまな問題が噴出することです。このため、『撤退は合弁企業の設立より何倍も難しい』と言われています」。

また、中国は、日本企業の中国離れを怖れ、国内法を変えて国営企業に接収させる可能性があります。中国国内で63店舗を展開しているイオンですら例外ではありません【※4】。

【※4】8月12日に起きた天津市での大爆発事故では、現場から2kmしか離れていない店舗が大きな被害にあったが9月20日に1階部分の営業を再開した、なお、イオン側は中国政府に対して賠償請求はしていない。


中国が恐れていること

TPP交渉の大筋合意で巨大な経済流通圏が整備されるとともに、安全保障面でも重要な結びつきとなり、中国の覇権戦略は後退を余儀なくされています。

その上、国内には習氏に迫る大きな危機が存在します。経済の失速で国民の不満は鬱積し、また、共産党幹部同士の対立や軍部の不満は勿論のこと、過剰な人権弾圧に対する国民の憎悪の度合いは日ごとに激しさを増し、政府への反発は最高度に達しています。中国地方都市では役人が殺害される事件も多発し、これが北京に飛び火することを怖れています。また、次の主席と目される胡春華氏が、習氏の失敗を待ち望んでいることもあり、中国国内は何が起きてもおかしくない状況にあると言えます。

安倍総理の訪中が中国暴走の歯止めとなることを望みます。


最後に、米中間の最新情勢について、当ブログが最も信頼する情報筋の見解をお伝えします。

習主席の訪米の際、ローマ法王が同日に訪米しましたが、
これはアメリカが意図的に仕組んだものです。宗教弾圧を強める中国をこのような形で牽制したのです。

また、習主席訪米の直前、中国軍機が米軍機に異常接近した事件は
中国共産党が軍を掌握しきれていないことを如実に表している出来事で、
そんな習主席をアメリカが信用するはずはありません。

GDPなどの統計数字の嘘もアメリカは見抜いているようです。
中国経済の悪化の度合いを一番良く分析しているのもアメリカです。

習主席の失政が重なっていることから、習主席の今後の去就も党内で囁かれています。

また、次のアメリカ大統領の時には決定的な対中路線の見直しがあると思われます。




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