コラム(63):米海軍、南シナ海派遣の影響
TPP加盟国への伝達
中国が南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島の岩礁を勝手に埋め立て、軍事基地化している問題でアメリカは人工島の12カイリ(約22キロ)内に米海軍の艦艇を派遣することを決定し、関係各国に伝達しました。
当ブログに寄せられた情報筋の話では、「伝達された国々は、日本、オーストラリア、フィリピン、ベトナム、カナダなど」とのことでした。
これらの国々はTPP加盟国と、新たに加盟を希望しているフィリピンで、TPPが実は環太平洋の軍事的な協力関係でもあることを証明しています。
朝日新聞報道の悪癖
10月22日03時の朝日新聞デジタルには「米、中国の人工島12カイリ内に軍派遣へ 南シナ海」との記事が掲載されました。文末には「複数の米政府関係筋は朝日新聞に(政権は)決断した。あとは時期の問題だと語った」としています。
しかし、情報筋の話しでは「朝日新聞はアメリカ政府と特別なパイプがあるかのように誇張して書いているだけ。自らの存在感を示したくて仕方が無いのでしょう。」と述べています。朝日新聞の事実を簡単に歪めて報道する捏造体質はなかなか変わらないようです。
中国軍の動向
情報筋によると、米海軍が人工島の海域付近に入った場合、中国軍の強気の声明とは裏腹に、実際には手出しはしないようです【※1】。
【※1】中国共産党機関紙人民日報系の「環球時報」は15日の社説で、米艦艇が派遣された場合、「中国の核心的利益である地域に米軍が入った場合は、人民解放軍が必ず出撃する」と警告した。
一方、米海軍はいつでも攻撃できる態勢で、しかも至近距離から監視する方針のようで、中国に対して繰り返し「違法行為」をやめるように警告する模様で、しばらくはこの状態が続くと見られます。
しかし、中国軍は中央政府の指示に従わず、米海軍を過剰に挑発するなどのスタンドプレイがあり得ます。その場合、米海軍は瞬時に人工島を爆撃する可能性が高いと見られます。
アメリカが重い腰を上げた理由
慎重すぎるオバマ大統領も米中首脳会談では中国の傲慢さに苛立ち、米国内世論の中国に対する評価も低下しました。大多数の国民が中国に警戒感を抱いているのです。中でも、大統領選挙へ出馬表明している共和党の多数の候補者たちは対中強硬論に固まっているので、中国寄りだった民主党も世論を無視できなくなっています。
アメリカが腰を上げた本当の理由は、日本の安保法制の成立にあります。アメリカの最大の同盟国であるイギリスが当てにならなくなった今、日本は全幅の信頼を置ける存在となっています。安保法制によって、アメリカは後顧の憂いなく中国に対抗措置を講ずることができるようになったのです。
中国が「強いアメリカ」を再登場させる
米海軍の動向は、ベトナム、フィリピンを勇気づけました。両国も腕まくりして米海軍の到着を待っているようです。
米海軍が乗り出した時点で、中国は従来のような傍若無人な行動ができなくなります。これは尖閣諸島に対する対応にも見られます【※2】。
【※2】中国軍上将、国防大学政治委員の劉亜州氏は尖閣諸島をめぐる論文で、日本と中国が衝突すれば「中国は勝つ以外に選択肢はなく退路はない」、敗北すれば体制を揺るがす事態に発展しかねないとの危機感を示し「極力戦争を回避」すべきだと訴えた。
習近平氏の外交政策は、世界の警察官の役目から引こうとしていたアメリカを再び表舞台に登場させ、アメリカ国民の願いである「強いアメリカ」の引き立て役を演じたことになりそうです。
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