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コラム(130):原油安はアメリカの外交戦略
数年間100ドル以上で推移していた原油価格は、2015年には60ドル台に、今年の1月12日には一時30ドル割れしました。
アメリカ発の原油安
アメリカは制裁を解除して、イランを原油市場に復帰させるとともに、自国の原油油種を解禁し、利益を無視したシェールガスの輸出に踏み切るなど、原油価格の下落を助長する政策を続けています。
ロシアの国家財政に黄信号
ロシアの通貨ルーブルは1ドル=69ルーブル台と最安値水準に近づき、ロシアの株価RTS指数もリーマンショック直後の水準に迫っています。ロシアの1人当たりのGDPは8400ドルとなり、2年前の15000ドルから大きく激減しています。
ロシアは、主要な外貨獲得源の70%をエネルギー産業が占めています。一方、食料品を輸入に頼っており、ルーブルの急落は、そうした生活必需品の獲得が困難になる恐れがあります。
つまり、燃料・エネルギー製品の輸出価格の低下は、ロシアの国内経済に深刻な危機をもたらしています
中東情勢の変化
アメリカのイランに対する制裁解除により、イランの原油の供給が過剰となり、結果としてISの原油密売を絶つ効果がありました。ISの劣勢はこうした資金不足が原因です。
したがって、一連の原油安はアメリカの外交戦略の一環で、ロシアに対する経済制裁だと言えます。同時に、EU諸国への支援と中東に対する牽制が含まれているのです。
日本への影響
原油安は負の側面ばかりではなく、メリットも多々あります。
ガソリン価格の下落は自動車メーカー、航空会社や陸運会社、海運会社にも恩恵をもたらします。また電力会社にもいい影響を与え、製造業の工場などは燃料コストの低減で利益が増大します。メリットを最大限活用しておく知恵も必要です。
原油安は日本にとって必ずしも悲観する材料ではないのです。
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