コラム(311):
関西電力の腐敗体質を見抜いていた橋下徹氏
関西電力の歴代トップらが、原発が立地する福井県高浜町の元助役(故人)から計3億2千万円分もの金品を受け取っていた問題、社長は言い逃れに終始し、謝罪会見の意味をなしていなかったように見えました。電力会社特有の傲慢な体質が露呈したといえると思います。
関電の体質については、筆頭株主である大阪市の市長だった橋下徹氏が、早くから関電の問題点を厳しく指摘していました。まるで今日の状況を見通しているかのような鋭い指摘です。
2015年1月、関西電力の電気料金の再値上げについて、
「大反対。社員の厚遇に切り込み、徹底した給与カットをすべきだ」、「顧問などに報酬を払い、はっきり言って公務員体質だ。もっと危機意識を強烈に持って厚遇に切り込んでもらわないと困る」、「値上げをするのであれば、経営陣を総入れ替えする必要」
と発言しています。
また、同年6月にも、
「僕は平成24年の株主総会で、『原発に過度に依存する経営をやっていたら回らなくなる』と筆頭株主として経営的な忠告をしてきたが、関電は一切、無視してきた。案の定、経営が苦しくなり、電気料金の再値上げということになったが、とんでもないこと。経営陣は失格だ」、「社外取締役に誰を入れているのか知らないが、全く機能していなかったのではないか。将来を読むのが経営者の仕事であり、完全に読み切れていなかったということだ」
と激しく批判しています。
関電に限らず、電力会社は地域全般にわたる電気事業(付帯設備の建設を含む)を独占しているため、経営は放漫、社員は官僚以上に傲慢体質が身に染み付いています。
このような風土ができた背景は、東電の原発作業場での様子からうかがい知ることができます。
原子力発電所では、被曝の恐れがある機器の補修、点検などの危険な作業は外部委託し、社員は安全な運転業務にわけています。これは1960年代に慣行化したもので、東電職員には自分たちが下請け作業員とは身分が違うという特権階級意識を形成させることにつながりました。
しかも、大きな問題が生ずると、電力会社は労使一体となって、会社側は自民党に、労組は野党に「陳情」と言う名の圧力をかけて問題の沈静化をはかります。圧力の源泉は、選挙支援と献金です。
選挙の支援体制は、会社や労組が推す原発推進派を応援しないと査定に響く、あるいは労組に睨まれるという恐怖心によって構築されています。さらに会社側は下請会社への強い締め付けや、関連事業者である大手企業にも選挙協力を強要して、一大集票マシーンとしての地位を築きました。
一方、政治献金は、オイルショック以降、企業や組合からの献金を止めた形にしていますが、実際には、各電力会社の役員や労組幹部らが個人献金の形で各政党や議員の政治団体に献金を続けています。与野党の政治家で電力会社、労組から献金をもらっていない議員はほんの一握りです。
したがって、今回の関電問題、関電の幹部は国民の前で頭を下げておけばいいくらいの感覚で、最終的には息のかかった政治家が何とかしてくれるだろうと、たかをくくっています。まして、電力業界の下請である菅原経済産業大臣程度なら何とでもなると思っているようです。
しかし、最大の難関は大阪の人びとです。何事があっても物言わぬ東京の人に比べて、大阪の人は本音で行動します。それゆえ、大阪では市民団体が騒ぐというよりも、人びとが自発的に集まって関電周辺で抗議活動を行い、流血騒ぎで逮捕者続出みたいになりそうな気配を感じます。
おそらく、関電は役員の辞任だけで済ますことはできそうにない事態に追い込まれていると思います。
お問い合わせ先 akaminekaz@gmail.com【コピペしてください】
FBは https://www.facebook.com/akaminekaz