コラム(281):トランプ・安倍連合と中国
中国は自国の危機の時に日本にすり寄る
中国は国際的に孤立した時に日本を頼り状況の打開をはかります。
1989年6月4日の天安門事件では、G7 諸国から対中首脳会議の停止、世界銀行による中国への融資の停止などの制裁を受けました。当時の鄧小平は日本に積極的に働きかけを行い、宇野宗佑首相を取り込みG7で「中国の孤立はさせない」と主張させ、1991年には海部首相に円借款を再開させるように働きかけました。さらに、1992年10月に天皇訪中を実現させ、アメリカの対中経済封鎖解除のきっかけとなり、中国の国際的孤立化を終らせました。
そしていま、中国はアメリカによる関税引き上げなどで、再び国家としての存立の危機に直面しています。
そのため、中国は日本政府への非難は見られず、むしろ政財界の要人を中国に招き入れて、日本の協力を得るのに腐心しています。先般の靖国神社の例大祭で安倍首相が真榊を奉納しても中国は何も論評しませんでした。一年前とは対応が逆になり明らかに日本頼りになっているのです。
安倍首相は中国に懐柔されない
安倍首相は今月25日から訪中し習近平国家主席との首脳会談を行います。
中国側は以前とは違い満面の笑みで安倍首相を出迎えることになると思います。
しかし、中国が安倍首相を取り込むことは容易ではありません。
日本の国内メディアはあまり報道しませんが、先日ブリュッセルで開催されたアジア欧州会議(ASEM)において安倍首相は次のように述べ、出席者からの絶大な賛同を得ています。
・「貿易制限措置の応酬はどの国の利益にもならず、過剰生産能力の解決や、市場歪曲的な措置を除去する取組を進めていくべき」
・「アジアと欧州の発展には連結性強化が不可欠であり、そのためにも『質の高いインフラ』を国際スタンダードとしていくべき」
・「自由で開かれたインド太平洋の実現は、アジア・欧州の連結性強化に貢献する」
・「環境と経済成長の好循環を加速させる形で気候変動対策を推進していくこと、また、海洋プラスチックごみの問題に世界全体で取り組むための実効性ある対策のイニシアティブを打ち出していく」
・「朝鮮半島の非核化に向けて、国際社会が結束して安保理決議を完全に履行することが必要」
・「紛争は力や威圧に頼らず、国際法に基づいて、平和的に解決されるべきで、一方的な現状変更は許容されない」
・「行動規範(COC)交渉が平和で開かれた南シナ海につながることを期待する」
以上のように安倍首相は明らかに中国に照準を定めての演説をしたのです。
これによりこれまで消極的だったEU諸国が中国包囲網に加わり、国際社会として中国に立ち向かっていくことがこの会合での一致した結論となりました。その立役者が安倍首相だったのです。
トランプ・安倍連合
当ブログが最も信頼する情報筋は、トランプ大統領の対中攻勢と安倍首相の一連の行動が密接に関連付けられているとして、対中包囲網の現状を次のように分析しています。
トランプ大統領が中国に対する経済制裁を始め様々な形で攻勢をかけていますが、安倍首相も頑張っているようです。
今回のヨーロッパ訪問では、中国の一帯一路計画に正面から対抗し、それを潰す目的があったようです。
メディアが全然報じていませんが、安倍首相は「中国の一帯一路に対抗し、質の高いインフラパートナーシップの促進」を明確に表明しています。
これは「中国による質の低いインフラ整備」を指して言っているのです。
中国は一帯一路計画で発展途上国に援助するという名目で多額の金を貸して、借金のかたにその国の港や施設を乗っ取るわけです。
これほど悪質なやり方は許されるはずがありません。そこに安倍首相が待ったをかけたわけです。
しかも、中国は自分で作った一帯一路で金が回収できず二進も三進もいかない状況です。
中国は日本に頼るしかありません。当然、日中首脳会談のイニシアティブは安倍首相にあります。
トランプ・安倍連合がいよいよ本領発揮するときが来ました。
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