赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

トランプ後のアメリカ コラム(341)

2020-11-12 21:01:41 | 政治見解



コラム(341):トランプ後のアメリカ


世界中が固唾を飲んで見ていた米大統領選挙は民主党バイデン氏の勝利となったようです。しかし、トランプ氏側がこの結果を不満として裁判で争う構えをみせており、12月14日の選挙人による投票ならびに来年1月6日の開票結果の確定までは、波乱の余地がないわけではありません。

当ブログは、トランプ氏の逆転の可能性は低いと見て、1月20日からスタートするバイデン政権が、アメリカ国内にどのような影響を与えうるのかを考えてみたいと思います。


アメリカの今後

大統領選挙で見られた国内世論の分裂は、バイデン氏が融和を呼び掛けても簡単には修復できません。近年のアメリカの政治家は、自らの立場や党派の統一や団結を促すためにあえて敵をつくって攻撃するという手法を取ってきたからです。

しかし、どのような理由であれ敵対し、人の感情を傷つける行為は、その後の修復が極めて困難になります。国民が気持ちの上で納得しない限り、国家内の感情の摩擦が簡単に収まらないのです。

また、バイデン氏はすでに体力の衰えが目立ち、大統領としての職務は短期間になると思われます。大統領が不測の事態には、副大統領のカマラ・ハリス女史が昇格することになりますが、彼女には外交経験が全くありません。外交ブレーンにはよほど有能な人材が必要となります。

仮に、バイデン政権が対中政策を誤った場合、共和党の大統領候補にも名前が出たテッド・クルーズ氏のような政治家が強い意見を表明し、世論がそれに追随する可能性も考えられます。

アメリカという国は民主党であろうが共和党であろうが、第二次世界大戦後の歴代大統領は、自国の利益を守るために「正義」を掲げて戦争を起こしてきた国です。朝鮮戦争、ベトナム戦争、レバノン侵攻、リビア爆撃、パナマ侵攻、湾岸戦争、アフガニスタン紛争、イラク戦争等々・・・。

非戦のイメージの強かったオバマ大統領でさえ、実際は無人機戦争の育ての親であり、大量の爆弾を世界でばら撒いた大統領と評されています。意外にも、歴代大統領の中で唯一戦争を起こさなかったのがトランプ大統領でした。

アメリカの大統領が誰であれ、これからも世界は分断と対立が続くと思います。しかし、分断と対立の奥には、世界が一つになるためのプロセスが内包していると考えるほうがよさそうです。

なぜなら、人々は分断と対立による悲劇を体験するからこそ、人々が一つになることの大切さ、調和することの素晴らしさの意味を理解することができるからです。

これからの私たちは、イデオロギーやプロパガンダに煽られて分断と対立という激流の中に身を置くのではなく、目の前に現れている現実の奥にある真実はなんであるかを冷静に観察していく態度が求められているのではないでしょうか。




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