コラム(121):消費増税中止の分岐点
安倍総理はリーマン・ショック級の出来事が起らない限り、消費税を予定通り8%から10%に引き上げていく考えを示しています。
今年は年初から中国株の大幅下落により、世界の株式市場も大幅に下落し、それが日本の株価にも影響しています。また、原油価格の下落やシリア問題などが複雑に絡み合い、経済の見通しが不透明になっています。
当ブログでは昨年の10月と12月、政府に二度にわたり消費増税の中止を求める提言をいたしましたが、もはや消費税増税の中止を本格的に検討しなければならない時期にさしかかっていると考えます。
リーマン・ショック時の経済指標
2008年9月15日のリーマン・ブラザーズの破綻時前後の経済指標は以下のようなものでした。
・日経平均株価は9月12日(金)の終値の12214円から、10月28日には6994円まで下落した。
・ドル円は9月8日の109円から、16日には103円台の円高となり、年末には90円にまで推移した。
・2008年10月主要指標の推移でも軒並み下落している。
現在の情勢
中国株は、上海総合株価指数SSEが年初来で14%の下落、14日には一時2867まで下がり、昨年8月の安値である2850に迫りました。この影響で日経平均の終値が、19,033円(昨年12月30日)から、17,147円(1月15日)にまで下がっています。
中国は、昨年の6月12日に株価の大暴落があり、そこから1カ月足らずで時価総額4兆ドルを吹き飛ばし、8月には全世界同時株安となる事態を引き起こしています。この時は、中国当局が買い支えなどの対策を打ち出したため当面の重大危機は回避されました。
しかし、今年に入ってからは中国当局が市場介入しても、売り圧力が強まり、収まる気配がありません。
今後の予測
専門家の間では、世界の金融市場を「中国発のリーマン・ショック」が襲ってくると見ています。中国は不動産バブルが崩壊し、株安に加え輸出産業が不振で、中国経済の軟着陸は不可能だとの見方が強いのです。したがって、株価がさらに下がり続けるなら、繰り返し世界同時株安に陥ります。
日本は2014年の4月に消費税を8%に上げて以来、安倍政権が順調に推し進めた景気回復の勢いが鈍化しました。景気が大きく上向いていた2014年はじめと現在の景況感は大きく違います。ここで、さらに消費税を10%にまで上げると、アベノミクスの効果が完全に失われるどころか、日本経済の長期的な低迷は避けられません。消費増税は日本経済に致命的な傷を負わせることになります。
判断すべき分岐点
株価は市場の景況感がすぐに現れる指標だけに、経済動向の判断に重要なものとなります。
民主党野田政権末期は8,000円台の株価でしたが、安倍政権では2013年12月末で16,000円台を回復しました。しかし、消費税が8%になると14,000円台まで下落しました。増税が株価の躍進を止めたのです。
したがって、現在の経済環境の中では16,000円を割り込むと危険水域に入ったとみるべきです。
さらに15,000円を割ることになれば、消費増税中止の判断をしなければならないと思います。増税の影響で日本経済は持ちこたえられません。
また、多くの国が経済失速状態にあり、日本の推進力で経済を活性化させる必要から、伊勢志摩サミット前後に国際社会から増税中止の強い要請が来る可能性があります。
混乱した国際情勢の中で、世界経済の浮沈の鍵は日本が握っています。
今の日本には、何よりも希望を生み出す強い経済力が必要なのです。消費増税の撤廃を改めて要望したいと思います。
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