コラム(285):外国人労働者受け入れ問題について
外国人労働者の受け入れの拡大とその管理のための出入国管理法改正が今国会最大の案件になっています。
野党政治家の言葉に違和感
この問題をめぐって、野党は反安倍内閣の立場から反対を表明しています。
共産党の志位委員長は「外国人労働者の人権が守られていない」と人権問題を絡めて反対しています。
また、自由党の小沢代表は「奴隷を買うようなものだ」と政府を批判しています。
この両者の発言に筆者は強い違和感を覚えます。
日本共産党は専従職員に対する給与さえ最低賃金にも満たない状況です。以前、当ブログが指摘したように内部の実情はまさにブラック企業そのものです。党代表がいくら労働者の人権を口にしても説得力はありません。共産党はそうした自己矛盾にさえ気づかないのかもしれません。
また、自由党の小沢代表の言葉には、小沢氏の傲慢な人格が表れています。筆者が国会議員秘書時代、議員会館で自民党幹事長だった小沢氏の事務所と隣であったため、秘書同士よく話しを交わしました。小沢氏の秘書は議員秘書とは名ばかりでまさに奴隷として扱われていました。朝から晩まで低賃金で働かされ、バブル当時でも毎日の昼食はインスタントラーメンで思わず同情したほどです。小沢氏にとっては、日本人であろうが、外国人であろうが、自分が雇った人間は奴隷なのです。
政府案に対して反対意見を表明する政治家の多くは、言葉の裏に自身の歪んだ人間観が潜んでいます。そのため国民は彼らの言葉に真実性がないことを感じはじめています。
政治家の意識変革が最優先
高齢社会が進む中、労働力の不足は深刻な問題です。しかも、人手不足が顕著な職場は若い人が働きたがらない分野です。労力に比して報酬が少なく労働基準法さえ遵守されないことがあるからです。
政治が解決しない限り、日本人の代わりに外国人労働者を受け入れようとしてもなんの解決にもなりません。むしろ、日本人が嫌がる仕事に従事する外国人労働者を蔑視したり、偏見と差別感情を助長させるだけになります。彼らが反日感情を抱きながら仕事をし、帰国すれば、国家間の関係を悪化させる要因にもなります。
この問題について自民党の甘利議員は「安く使えるから外国人労働を、という考えは全否定されなければならない。日本人と全く同等の処遇を保証することが外国人労働者の尊厳を守り、送り出す国に対する敬意に繋がる行為だ」と発言しています。久しぶりに政治家らしいまともな発言を耳にしました。
今後、日本で喜んで働きたいという外国人が増えることを期待したいと思います。
外国人を排斥する人たち
政府は外国人労働者の受け入れ拡大とセットの外国人の出入国や在留管理の強化を目的とする入管法の改正を目指しています。この法案の主旨は、日本国内で行方不明になる外国人労働者の防止やそれに伴う国内治安の整備にあります。そのため、必要な業種に限り一定の専門技能を有する外国人材を期限付きで受け入れようとしています。
この問題に対して懸念されるのは、反対する人たちが不安の感情を撒き散らそうとしていることです。
彼らは外国人労働者の問題に対し、「治安の悪化」、「日本人の雇用が奪われる」、「財政の負担増」、「文化摩擦による対立が生じる」などの論調を繰り広げ、外国人というだけで彼ら人を犯罪者扱いする人がいます。
日本文化の本質は寛容さで排斥ではない
彼らは、外国人が日本に入ってきたらこうなると言う推測だけで反対しています。マイナスの状況を想像して恐怖心と不安だけが先行しているわけです。その内心を隠すために「日本の良き文化が壊されてしまう」という言葉で正当化をはかります。
しかし、彼らの言う、日本の良き文化とは、良き伝統とは一体何でしょうか。
日本人は「大和の精神」と言われるような調和と寛容を重んずる人びとの集団で構成され、それが日本文化の美学となっているのですが、彼らの排他的かつ利己主義の主張は日本のよき文化と伝統とはおよそかけ離れたものです。
そして、「国や人種の壁を越えて受け入れましょう」という意見が出ると、「そんなきれい事では済まない問題だ」「ドイツやフランスなどでは外国人が暴動を起している。外国人は危険だ」と言い張り、いかにも日本を守るためには外国人の排斥が必要だと主張します。
しかし、諸外国での暴動事例は、外国人の人権が尊重されていないことに加え言葉が通じずに意思疎通ができないことが要因です。彼らの排除の論理が結局、不調和を引き起こし暴動にまで発展させるのです。この事実を厳粛に受け止めるべきです。
また最近、自民党の応援団の中には外国人に対する排他感情が強い人が存在しますが、それが安倍政権への評価を貶めていることに気づいていません。
日本は発展的な議論を示す時
外国人から見て日本は行きたい国なのか、外国人労働者が帰国後も日本で獲得した技術や知識を生かし母国を発展させることが出来るのか、日本とその国の相互の繁栄と安全保障に貢献する道であるかという視点が大切です。
正当な議論にも至らない不毛な国会ではなく、日本が世界の国々の発展と希望になるような議論を展開してほしいと願っています。
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