北朝鮮の軍事事情
最近の北朝鮮の動向分析です。
——北朝鮮の朝鮮中央通信は12日、金正恩総書記が、ロシアと6月に締結した「包括的戦略パートナーシップ条約」を批准するための政令に署名したと報じました。
この条約は、2024年6月に北朝鮮を訪問したロシアのプーチン大統領と金正恩総書記が署名し、ロシア側も9日に手続きを完了していました。武力侵攻を受けた際の相互支援を定めていて、批准書の交換により条約が発効されると、北朝鮮とロシアの関係が事実上の軍事同盟に格上げされます。
北朝鮮はロシアのウクライナ侵攻を支援し、ロシアに派兵する動きが相次いで確認されていますが、条約の発効によって、協力関係が一層強化されるものとみられます。(テレ東BIZ)―-
さて、あまり漏れてこない北朝鮮の動向について軍事専門家の分析を掲載します。(原文ママ)
最近の北朝鮮が危険であるように見えます。しかし、北朝鮮は危険ではないと、私は思っています。なぜなら彼らが今やっていることを見ると、専守防「御」体制を組んでいるだけだからです。
専守防「衛」という言葉は軍事用語にありませんが、専守防「御」という軍事用語はあります。彼らは南の韓国と交流すると、北朝鮮の体制が滅びてしまうと思っていて怖くて仕方ないのです。
それで南と繋いでいる南北道路を破壊している一方で、反チャイナとなってロシアとはものすごく仲良くしています。北朝鮮からロシアに3000名も派兵したと言っていて、全部で1万5000人くらいのその他の兵隊を送るのではないかと言われているのです。
その派遣隊に「ブリヤート大隊」という名前をつけて、ロシア側ではウクライナ戦争に派遣すると聞いています。最近の動きとして北朝鮮は親ロシア・反チャイナということで、日本や台湾にとっては良い傾向です。実際上ロシアへの北朝鮮の派兵に関して、チャイナは嫌な感情を持って批判しています。
北朝鮮は危険と言えば危険なのですけど、我々にとって危険ではないという言い方が正しいかもしれません。今の北朝鮮は専守防御の体制をとっていて、ロシアに派兵しました。それがブリヤート大隊と言って3000人くらいで編成されているそうです。その部隊が実戦の場所としてウクライナ戦争に投入されるのでしょう。
それと朝鮮半島の東側と西側にあった南北道路を爆破しました。もちろん韓国側が爆破したわけではなく、北朝鮮内の国境線に向かう道路の部分を破壊して、そこに要塞を作るそうです。要するに攻めの姿勢ではありません。攻めてくるなら道路は必要ですから、受身の姿勢になっています。これこそ専守防御の体制をとっているということです。そして、ロシアとは仲良くしていきます。今の北朝鮮は親露反中となっているのです。
この動きに対して、チャイナは望ましくないという非難声明を出しています。北朝鮮は全部で1万5000人くらいの部隊をロシアに送るのではないかと言われていますが、とりあえずブリヤート大隊の3000人くらいを送ったということです。この情報は敵対しているウクライナの方から入ってきています。
それでウクライナの方で「他国の戦争のために無駄死にするな」と書かれた朝鮮語のチラシを作って、前線で配るそうです。これに対しても中国共産党は批判しています。
これが明らかになったのは10月の半ばくらいでした。ウクライナにブリヤート大隊の3000人くらいを送り、その部隊に配属された北朝鮮人18名が脱走したとの情報もあります。北朝鮮の中には、そういう兵隊もいるでしょう。それに対して中国共産党は面白くないと言っているのです。
元々北朝鮮という国を作ったのはソ連ですから、ロシアと北朝鮮の結びつきは非常に重大なものと言えます。そして、チャイニーズとコリアンは民族的にも仲が悪くて、北朝鮮と中国は共に共産党の国でありながらも仲は良くないです。ソ連が主体で北朝鮮を押し立てて始めた朝鮮戦争が起きたときも、建国まもないチャイナとしては全然乗り気ではありませんでした。それで義勇兵という援助部隊を出そうとしなかったということです。
当時の毛沢東からすると、非常に迷惑な戦争だったと思います。自分たちは1949年に建国した直後だったので、国内情勢も落ち着かないときに近隣で戦争を始められてしまいました。しかも、朝鮮戦争を始めるかどうかということに関して、毛沢東は事前に相談を受けていません。朝鮮戦争はスターリンが始めた戦争というよりも、金日成がスターリンをけしかけて起きたような戦争です。どちらかと言うとスターリンを扇動して、彼の力も借りて一挙に韓国併合してしまおうということで始めた戦争でした。
それに対してチャイナが意地悪で、北朝鮮がやられているとき援軍を出そうとしなかったのです。これは明らかに中華思想であり、漢民族の朝鮮民族に対する差別感覚が出ていると思います。
チャイナからすると、北朝鮮がボロボロになって本当に敗北する寸前に出してやればいい、あるいは向こうから自分たちが中華帝国の方に頭を下げてきて「助けてくださいと懇願するまで助けてやらない」という傲慢さが毛沢東の決断に見えている気がするのです。
今の北朝鮮とロシアは同盟関係であると言っていいと思いますが、北朝鮮からすれば一番信頼できる後援者がロシアであると言って良いでしょう。その分、面白くないと感じる中国共産党から、それを非難する声明が出ているということです。
この北朝鮮の派兵そのものと言うより、2本ある南北道路を破壊しています。これは10月15日に道路を破壊しているということです。このことに関して、北朝鮮側は韓国の無人機(ドローン)が10月3日、9日、10日と3回にわたって平壌上空を侵犯したと主張していました。
要するに北朝鮮の防空体制は穴だらけと言っているようなものです。
繰り返しになりますが、平壌の上空に韓国のドローンが3回も侵入して飛んでいたと言っています。北朝鮮の防空体制はボロボロということですから、我々が北朝鮮の脅威を心配する必要はないのではないでしょうか。もちろんミサイルが飛んでくる危険性はありますが、それだけ国防体制も強化されていないという事になります。
それで韓国と結ぶ道路を破壊したことに対して、中国共産党としては「望ましくない」という態度を示すだけでした。