万引きGメンというと何となくかっこええ!と思うかもしれないが、
実際にかなり暗い仕事。悪い事をする奴らというのが
当初は県都が付かなかった。元警官が2日間実習をしただけで現場に放り出された
3か月は補足できずただ 入院した後から、連続とか2日に一回の頻度で
窃盗犯を補足するようになった。
10m以上離れていても リップスティックのどれを盗んだか わからなければ
ならない。ひとり捕まえれば2時間程自由なので、2人同じ日に捕まえれば
日報と取調べとお見送り(パトカーまで)で終わる
ところで 声をかけた時点で逮捕となる。2度あわやという事が
あった。一人は未成年で大学も決まっていたが声かけに
素直に従ってと思ったら、逃げた。早いのなんので追いつけなかった。
ただ レンタルバックが置いてあるのをみつけて必ず戻ってくると確信したので
待っていたら案の定その通りになり、抵抗した。
実はズボンの後ろのベルト通しをつかんで持ち上げると、逃げられないのだ。
(ちなみに警察官の制服を見るとそこだけベルトを通していない)
こやつが窃盗したのはエロビデオ1本。反省の色なしで警察に渡した。
もう一回は チンピラ。同じくエロCDを盗んだので声掛け。
ーてめぇ何だ 声掛けする前に大きな声で怒鳴る騒ぐ
ーあー警備の者ですがぁ~
ーだからなんだ、俺が何かしたか?とジャージのズボンを降ろしたあほさん
ー右ポケットに何かないかなぁ~。何にもない事を願いますがズボン降ろすなら
ポケットも出してください~。何もなければ土下座でも何でもしますよ
というところで 警察が来た。大きな声で騒いでいたので通報されたのと、私が
店舗から出るときは 補足の時なので店長が通報。肩をどつかれたがいうと、
事後強盗罪になるので言わなかった。言わなかったけどこやつは前があった。
なのでワッパの現行犯逮捕。
会社からは間違えて声をかけてしまったら土下座して謝れとお達しがあったが、
幸い土下座することはなかった。いずれも、他の人が入っていて全く補足がないので
会社がきられそうなところばかり。そんでそういうところばかり回されたけど、
基本的にお店では店長しか警備が入っているのを知らない。
よく捕まえる店では警官と知り合いになったけど、もう一人必ず捕まえる年配の
女性がいて 「Yさんと君、あんまり捕まえないでくれよ。俺たちよりサラリーが
いいでしょ」いいえなのだけど。この店でチョコレート1枚を盗んだホームレスが
いて見なかった事にしようかどうしようか迷った。少なくとも人間性は良さそうで
で 見ないふりというか、殆どの犯人はどこで見られていたかわからないのだが
レジ付近でやってしまったので、同時に入っている制服警備に声をかけたので
止む無く 声かけして事務所に。申し訳ない事をしたと男の人が泣いて詫びた。
もちろんこの店は無条件に警察。3日間何も食べていないらしくて、また病気で
会社を辞めさせられたらしい。とりあえず警察が来るので、そこで一泊すれば
ごはんぐらい出るので・・・と。お見送り(パトカー)行く途中で是非頑張って
と小声で言った。パトに乗せられるときに深々と頭を下げてくれた。
こういう人は皆無に近い。きっと、再起をしてくれてると思いたいし、今でも
この人の事は忘れられない。
制服警備とはこの店などで同時に入る事は多い。
休憩所が同じ事務所なので、目くばせで・・補足に入るよーみたいな。
時たまだけど 警察で否認に転じる輩がいるので、何時何分にどこの棚から
どんな商品をとりどこにしまったかを必ずメモしていた。
私に最初教えてくれた人は元警官で、あの人を犯人に見立てて尾行してみなさいと
言われた。階段を下りていく人が踊り場で下の階の階段を降り始めるまで、動かない
私は見失うのでくっついて行こうとしたら 早いといわれた。警察の尾行って
こんな感じだとしたら気が付かないだろうなぁ~みたいな。
ちなみにテレビの取材で3日間で6人。プロ中のプロでもそれぐらいなので、
大抵は1か月に2人位が平均らしい。私は1点どりで捕まえていたが、一点どりは
常習犯が多いそうだと聞いた。理由はいつでも盗む自信があるからだそうだ。
予断と思い込みを排除しないといけない仕事。なんとなくやってみたいと思う人が
いると思うけれど、面白くない暗い仕事。
声をかけるのは右後ろからと決まっていた。理由は右利きの人が多いので、
振り向きざまパンチが来たりするから・・だそうです。
仕事を辞めたのは、この原則を破って声掛けしたらナイフで刺された。
運藤神経が無いのが自慢だったが、ひ弱なサラリーマンだと思った考えと
心の慢心があった。咄嗟に右手で防ごうとしたので、右腕に15cmの切り傷が
できた。鋭利な刃物で切ると最初は血がでないけど、繁華街にある大手量販店で
きゃーという悲鳴が上がったので制服警備が駆けつけてくれた。
私は 刃物を持った手を押さえていたが、制服の隊長が「離れろ」と言った。
離れたらまたさされるじゃんかぁ~と思っていたら、右腕から大量の出血が・・。
離れないので、制服警備の人が長い棒で犯人をひっぱたいた。あ、それ自分で
やりたかった・・けど。警察署が比較的近い場所にある為かパトカーが沢山来た。
救急車も・・・。あぁ大げさになっちゃった。ただ、刃物は持ったままだったので
さす又という道具を何本も使って店舗の壁に押しやりこん棒の長いもので刃物を
持った手をひっぱたいて、7人ぐらいが重なるように抑え込んで逮捕してくれた。
救急隊の人が来て袖をびりっと破いて「他に痛いところは?名前は?」といろいろ
聞かれた。結構出血していたので病院に搬送されて、警察官もきていてさらに
機動捜査(普通は機捜)の私服刑事等から事情を聞かれたりした。
今も 右腕にその時の負傷部位が縫合不全というと大げさだが皮膚が3mmくらい
の幅で15cmの長さで残っている。